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(幼きもの)(06)

 次の日、博士は、南国の動物を描いた手書きのスケッチを何枚か持って行った。王子は喜んで、本棚からきれいな動物図鑑を取り出し――こういう立派な書物を持っているあたりは豊かな国の王子ならではだ――、博士のスケッチと見比べながら、いろいろ質問したり、自分も真似て紙に描いてみたりした。
 博士は、スケッチについて説明しながら、冒険の話をぽつりぽつりと話し、わざと少し短い時間で切り上げて、カード遊びができる時間を作った。
「そんなにお気に召したなら、私の絵はさしあげますよ、フルート様。それと、新しいお話を始めるには中途半端な時間になりましたから、あとはババ抜きでもして遊ぶことにいたしませんか」
「あのゲームは、つまらなくて嫌いです」
と、王子は即座に言った。マシュモッシュ博士はあきらめず、
「そうですか? 私は、フルート様とババ抜きをして遊んでみたいですなあ」
と交渉した。いや、ババ抜きを二人で遊んでも確かにつまらないだろう、が、これはきっと、ドゥーイット博士がくれたヒントなのだ。
 王子は、なにげない様子で、マシュモッシュ博士の目をじっと見た。無邪気なのに、なんでも見透かしてしまいそうな青い瞳。しばしの沈黙のあと、にこりと笑って言った。
「わかりました。それでは、やりましょう。ババが最後に残ったほうが負け、ですよね」
 カードを配って、場に捨てて、相手のカードを引いては捨て、引いては捨て・・・。
 最後に王子のカードが一枚、博士のカードが二枚になった。博士はわざと、ババのカードを、王子が取りやすいように押し出した。王子は頓着することなくそのカードを引き、ババだとわかると手元でカードをよく混ぜた。博士が引くと、またババだったが、切り混ぜたあと取りやすいように押し出してやると、王子はそのカードを引いてくれる。
 次に博士が引いたカードも、またまたババだった。博士はカードをよくよく混ぜてから、今度はババでないほうを押し出した。本当に「聡明な」王子なら、そろそろ学習して、押し出されていないほうを取るはずだ。あるいは、「裏の裏をかいて」と考えるかもしれないが、迷う様子くらいは見せてくれるだろう。
 実際、王子は初めてためらった。小さな手を伸ばしかけて、ひっこめる。うんうん、それで、どちらを取るつもりかな?
「・・・あのう、先生」
 王子は困ったように言った。
「何でしょうか、フルート様?」
「そのう・・・」
 王子は、かわいらしい、ささやくような小さな声で言った。
「札が逆ですよ?」

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コメント

どうもおはようございます、雪村さん。芝臣です。

「幼きもの」(06)、読ませていただきました。

昨日は疲れ果て、アップには気がついていたんですが、そのまま寝こけてしまいました(苦笑)。

それで改めて読んだのですが、フルート王子、ほんと、可愛い顔をして「敵」の痛いところを突く、まさに「フルート・・・怖い子・・・」(ガラスの仮面)ですねえ。

なんというか年齢以上に大人びているように思えて、中学生の優等生的な雰囲気すらありますが・・・さて、それがどう「ルーク」に変わっていくのか、なにかそのきっかけでもこのエピソードで語られるのでしょうか。

なんにせよ、このエピソードの結末が予想できないので、最後まで見極めたいと思います。

では、ポイントを入れさせていただきますね。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございますdiamond

中学生は、カードゲームしても、まずは自分が勝つことしか考えないですよ~spade
相手が取ってほしそうなカードを取ってあげて、しかも、それが間違ってるみたいだから教えてあげようという発想は、7才前後の、相当に素直で優しく育っている子供の発想だと思いますheart

作者的には、せいいっぱい気遣いながら的外れなところも、その発言内容をよく考えると「・・・恐ろしい子!」なところも、いかにも7才の彼らしい、と思いますclub

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

いままで黙っていましたが、実は私も10年来の病身で、クスリの副作用に悩まされる身です。

失礼ながら病名は明かせませんが、それでも、創作活動と、この『遥かな国の冒険譚』と出逢えたことはまさに幸せだったと思います。

ああ、もちろん命に関わるような大病ではありませんから、どうぞご心配なく。
ただ、黙っているのが我慢できなくなったので、いま、ここで明かしたのです。

いまは自由に創作活動ができる、それだけで充分です。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。

そのことは以前にもチラッとお聞きしたことがあるような。
でも、ちゃんと書きたいと思ってくださったお気持ちは、ありがたく受け止めさせていただきます。

「転んだひとの視線の先に、ひっそりと咲いている小さな花」のようなものを作りたいです。
こんな小さなサイトに、出逢えて幸せと言ってくださる方のいることが、私には幸せです。
どうもありがとうございます。

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