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(従者試験)(05)

 どう説明したら、光球が壊れたのは他者の妨害のせいだと信じてもらえるだろう。
 それだけを考えてギースのあとを付いて行ったリオンは、自分がどこを歩いているか、まったく意識していなかった。
 気がつけば、ギースはひとつの扉の前で立ち止まり、ノックしていた。
「失礼いたします。リオン殿をお連れしました」
「お入り」
 静かに返された、この声は。
 ギースに促されてリオンが扉を入ると、そこでは、久しぶりに間近で見るゼラルド王子が、書き物机の前の椅子から立ち上がったところだった。
 王子の自室だ! リオンは慌てて跪いて頭を下げる。王子はリオンの前に立った。学問所で聞いたことのある、落ち着いた声が降って来る。
「すまなかったね、リオン。このような迂遠な手続きを取らせてしまって」
「いえ・・・」
「ゼラルドさま。さっそくですが、彼の異議申し立てをお聞きになってください」
「異議?」
 王子の声が怪訝そうな響きを帯びた。次には少し冷やかになった声が降って来る。
「では、そなたは単に、矜持が少し高すぎただけ、ということなのかな」
 矜持? いや、ともかく、言うべきことは言わなければ。リオンは勇気を出して言った。
「お預かりした光球が割れてしまったのは、わたくしの力不足ではございません」
「それで?」
 王子はあっさり応じて、続きを促した。リオンは戸惑った。これ以上続けても、未練がましい言い訳にしかならないのではないか。だが、促されたからには続けるしかあるまい。
「妨害を受けにくい場所での再試験を希望します」
「再試験か。光球が割れるまで部屋の扉が開かないように、くらいの細工はしてあったのだが。では、ギース、再試験の手続きを」
「いやです。そのような手続きは致したくありません。わたくしのときは有無を言わさず取り立てられたのですから、今回もそうあるべきです」
「そなたらしい言いようだね、ギース。これを聞いて、リオン、そなたはどう思う?」
「おそれながら・・・合格者の意見も必要だと考えます」
 部屋の中に、しばし沈黙が落ちた。それから、王子が、少しだけ咎めるように、
「ギース。話していないのか」
「連れて来るように、とのご指示だけでしたので」
「そうか。では、ひとつだけ尋ねよう、リオン。顔をあげて」
 リオンが顔をあげると、王子は真面目な顔でリオンをじっと見つめていた。
「リオン、そなたは、何者かがそなたの光球を割ったと思っているね。では、その何者かが光球を割らなかったら、そなたはいつまで、あの光球を保持しようと思っていた?」
「わたくしが力尽きるまで、いつまででも」
 リオンは即答した。王子はうなずいた。
「そうだね。そのように見えた。だから私が割ったのだ」
「そんな・・・わたくしがお気に召さなかったのですか」
「ちがう。ギースが何度もノックしたのだが、集中しているそなたの耳に届かなかったからだ」
 リオンが黙ると、王子は、ふと笑った。
「つまり、合格したのは、リオン、そなただ。他の者はみな光球を割って逃げた。さて、あらためて、『異議』があれば聞こう」

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「従者試験」(05)、拝読いたしました。

まずはリオン、従者試験合格(?)、おめでとう!
って、なんてまわりくどい合格発表なんでしょうね(苦笑)。それもこれも、ギースの陰険な性格のせいでしょうね。明朗な性格の者なら、リオンの部屋の扉を開けた時にお祝いの言葉をかけていたでしょうから。

それから、やはりギースの発言権はかなりのものですね。リオンがかしこまっている中で、傲然と主君に反論できるのですから、これは王子付き従者の特権なのか、ギース個人のものなのか、それとも王子ゼラルドが目下の者の発言に鷹揚、あるいは無頓着なのか、果たしてどうなんでしょう。

しかしまあ、めでたくリオンが合格したということで、とりあえず無事にこのお話は終わりそうですね。
エンディングも期待しております。頑張ってください。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村@出先です。
コメントありがとうございます♪
あ、同じような時間にお互いにコメント書いてたんですねhappy01

連れて来いと言われただけだから何も話さずに連れて来ただけ、なんて、
気が利かないのではなくて、どう考えても、わざとですよねー。

そんなギースが、このあと結構しゃべるので、あと2回使いそうです~。

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