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救出の報酬(05)

 ミーナが立ち去るのを見送って、セレンはその場をあとにした。見張りの男が転がっているのをそのまま捨て置き、元来た道を戻ってみると、赤毛の令嬢は言われたとおりに静かに隠れており、少し離れたところでは、意識を取り戻した大男が呪詛の言葉を吐きながら地べたに這いつくばっていた。セレンは大男に近寄って、
「君のリーダーも仲間も、もういない。君も、とっとと逃げたらいい」
 剣を抜いて手足のロープを切ってやったが、大男は立ち上がるとニヤリと笑って殴りかかって来たので、仕方なくもう一度、一切の手加減なく気絶させてやった。
『お待たせしました。大丈夫ですか、お嬢さん』
 令嬢に手を貸して、狭い場所から出してやると、
『わたくしは大丈夫です。あの、それで、わたくしの侍女は助かったのでしょうか』
『ミーナという女性なら、自力で逃げたそうです。もういませんでした』
『そうですか・・・なんとなく、そのような気がしていました』
 うつむいたその様子は、安堵したようにも、寂しそうにも見えた。それから、令嬢は顔を上げ、見えない目をセレンのほうに向けて微笑んだ。
『お優しいかたなのですね』
『え?』
『そんなふうにおっしゃってくださって。それに、血の匂いもしません』
 そうか、目が不自由な代わりに、いろいろと気の付くこともあるのだ。セレンは令嬢の手を取って、
『では、あらためて。セレンと申します。あなたを街までエスコートさせていただいて、よろしいですか』
『はい、よろしくお願いいたします、セレン様。わたくしの名はシェリアリア。どうぞシェーラとお呼びください』
 そうして二人は、寄り添って語らいながら、街まで戻ったのだった。

 陽の落ちる前に、セレンはシェーラを、彼女の泊っている宿の部屋の前まで送り届けた。明朝には、隣の街から迎えが来るのだそうだ。高名な医者に、目を診てもらいに行く途中なのだという。
『では、ぼくはこれで。今日はあなたと会えて良かった。ごきげんよう、シェーラ』
 そっと彼女を離そうとすると、シェーラは慌てたようにその腕をつかんだ。
『お待ちください』
『何でしょう? 何かご不便があるなら、遠慮なく――』
『いえ、そうではなくて・・・わたくし、まだ何も御礼を差し上げていません』
『ああ・・・。では、ぶしつけなことをお尋ねしますが、あなたには、どなたか心に決めた方がいらっしゃいますか、シェーラ』
『えっ? いいえ。わたくし、こんなふうですから、どなたにも迷惑はかけられません』
『では、少しの間、目を閉じていただけますか』
『え? でも、わたくしの目は』
『そういう決まりです』
『あ、はい』
 シェーラは目を閉じた。すると、鳥の羽根のように微かに、何かが唇に触れた。
『もう目を開けていいですよ』
『はい・・・あの・・・?』
 目の前のひとは、微笑んだようだった。とても優しい声が、
『ご褒美は、たしかにいただきました。おやすみなさい、シェーラ』
『はい・・・おやすみなさい、セレン様』
 ――奥手なシェーラが、何をされたのかに思い至ったのは、その夜、床に就いて目を閉じた時だった。自分が人並みにそんな経験をするなどと思ったことのなかった彼女は、びっくりしてベッドの上に飛び起きた。枕を手に取って、赤くなった顔を枕に埋め・・・そうして、ずっと、ずっと、枕を抱きしめていた。

(完)

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

遅くなりましたが、「救出の報酬」(05)、拝と読いたしました。

うわー、うわー、なんかもう読んでて恥ずかしくなってしまうようなオチですねえ(もちろん予想済み)。

『セレン武芸帳』かと思いきや『恋盗人セレン』ですから、事件の裏なんて確かにどーでもいいことなのかもしれません。
まったく、とっつあんがいないのが残念です。そしてシェーラの声はもちろん島本須美さん! となれば私の脳内では『奴はとんでもないものを盗んでいきました。貴女の心です」「・・・はい!」の名場面が再現されていました。

なんにしても、新参者のリクエストに快くお答えくださって、本当に感謝します。大変、満足いたしまし
た。ありがとうございます。

・・・それにしても大男のザコが、ホントにバカで笑えましたね。まあ、セレンの強さを見てないからなんでしょうけど(苦笑)。

どうもお疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

リクエスト条件に合うお話があって良かったですshine
読んでて恥ずかしくなるようなオチで、ニーズには合ってますよね?(笑)
シェーラのことは、「可憐だ・・・」と思っていただければ嬉しいですwink

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