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(従者試験)(08)

 月の塔に部屋の割り当てがあるリオンは、塔からの通いにしても良かったのだが、ギースにならって従者部屋に住みこむことにした。ギースは身辺整理を終えていたので、部屋の鍵はその日のうちにリオンのものになった。リオンは部屋によく風を通して、自分の荷物を運び込み、夜には王子に「おやすみなさいませ」を言って部屋に下がった――なんだか、まだ本当のことのような気がしない。
 しかし、翌朝、いつもどおり早朝に起きて身支度を整えてから、リオンは、はたと気がついた。じきに王子は隣の部屋で窓を開け、小鳥たちに餌をやるだろう。が、今日からリオンはそれを見られない・・・?
 今までよりもおそばにいられるのだから、仕方ない、あきらめよう、と思った矢先。
「リオン?」
 冷涼な声が、一度だけ呼んだ。眠っていたなら気付かなかっただろうくらい静かに。
「はい、ただ今」
 リオンは驚きつつ隣の部屋に入って、あるじの前に跪いた。部屋は朝日の光でうっすらと明るいが、まだ窓は開いていない。
 王子は静かに、
「そんなに畏まらないで良いから、いつも顔を上げていておくれ。――おはよう、リオン、早起きだね。ギースから聞いた。なぜ、私の起床時間を知っているのかな」
「おはようございます、ゼラルドさま。学問所に行く途中で、お見かけしたことがあったからです」
「・・・このような時間に? いつのことだろうか」
 問われたリオンは、ふと直感した。ここで中途半端な答え方をしたら、王子は今日から、朝の習慣を「無かったこと」にするつもりだ。せっかくの安らぎのひとときを。だからリオンは、腹をくくって正直に答えた。
「毎日この時間にお見かけしておりました。いつからかは、もう思い出せません」
 王子はわずかに目を見開いて、穴が開くほどリオンの顔を見つめた。予期せぬ答だったに違いなかった。しばらく沈黙が落ちたのち、王子はふいと顔を背けて、
「そうか」
とだけ言った。笑うとも泣くとも怒るともつかない表情をしている――と見ることのできたのは一瞬で、そのまま王子は踵を返して窓際に歩み寄り、窓を開けた。
「リオン、どこから?」
「失礼します・・・1階回廊の、あの端のところからです」
 リオンが立って行って指し示すと、王子は軽くため息をついた。
「あのような所から、よく。あの植え込みは取り除くように、あとで手続きを」
「かしこまりました」
 リオンは元の位置に戻って跪いた。王子は、集まって来た小鳥たちに餌をやり、それから、窓を閉めて向き直った。穏やかに、
「それでは、リオン。そなたには、この時間にここにいることを許そう」
「ありがとうございます」
「そなたは・・・おそらく、私の最後の従者になる」
「・・・え?」
「ゆうべ、聖札がそう告げていた。いずれ私の身にも何か起こるのかもしれない」
「・・・逆に、何事もなく、共に長い時を過ごせるのかもしれません」
 リオンが言うと、王子は寂しそうに笑った。その笑みと言葉を、リオンはその後、一生忘れなかった。
「ありがとう。そうだったなら、どんなにかいいだろうね、リオン」

 そしてリオンは忠誠を尽くした。王子と二度と会うことの叶わなくなった、その日まで。

(完)

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

すみません、今日はちょっと体調を崩して、まともな感想が書けそうにありません・・・。

非常に興味深い終わり方なので、後日、改めて感想を書かせていただきます。

まったく残念ですが、どうか少々、お待ちください。

どうもすみません。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
お加減の悪いときにまでご来訪いただき、恐縮です。
いつかも申し上げましたが、コメントは、「書きたいときに、書きたいぶんだけ」書いてくだされば、それでいいんですよconfident

具合が悪いときって、パソコンの画面を見るだけでもつらかったりしますよね…。
どうぞお大事になさってくださいね。

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

先だってはご心配をおかけして、どうもすいませんでした。
なにしろ不健康な人間なんで、季節の変わり目などではてきめんに具合が悪くなってしまうのです(苦笑)。

まあ、それはともかく。

先に雪村さんのあとがきを読ませていただきましたが、このエピソードはあのラスト7行でしみじみとした余韻が生まれるのであって、私は書き換えには反対ですねえ。絶対とは言いませんが。

特に最後の一行は、さまざまな想像ができて、見事だと思っていたので、これは残してほしいと思います。

さて、リオンとゼラルドは逃避行の後、また再会できるのでしょうか?
私は再会できる、そして今度こそ、どちらかが死ぬまで仕えるのではないか・・・あの一行はそれを示唆しているのではないかと、そう思ったのですが・・・甘いかなあ。

とりあえず、私はこの「従者試験」(08)を読んで、そう思いました。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村@やっと帰途につきました。
ぎりぎり今日中にポチリに行けると思いますが、間に合わなかったらごめんなさい!

ラスト7行は、現時点で私の書けるベストを書いたものではありますから、まあ当分はこのままです。
ラスト1行については、物語の進行に深く関わるのでノーコメントです。

しばらく不安定な気候が続くと思いますから、お互い気をつけて過ごしましょうね。
携帯の電池が切れそうなので、このへんで失礼します〜。

どうもおはようございます、雪村さん。芝臣です。

昨日はお疲れ様でした。にもかかかわらず、ポイントありがとうございました。何とか間に合っていました!

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
昨日は、コメント送信した3分後に携帯の電池が切れましたcoldsweats01
いろいろ間に合って良かったですconfident
ではでは~。

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