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クルミの行方(03)

 数日後。不機嫌なマーニャは母親とケンカして、小鳥に姿を変え、家を飛び出した。
 街からだいぶ離れた森の上まで飛んだところで、少し気持ちが落ち着いて来たので、森の中に舞い降りた。小鳥の姿のまま、泉の水を飲んで、木の枝にとまって休んでいると、なんという偶然だろう、そこに「彼女」が――あの青い髪の娘が、やって来たのだった。
 素顔を見るのはこれが初めてだったし、着ている服も簡素だったから、本当にあの舞踏会の彼女なのかどうかは、本当を言えばわからないはずだった。でも、青い髪はこのへんではあまり見かけないし、背格好も同じだし、きっと彼女だわ、とマーニャは思った。
 娘は、水を浴びに来たらしく、服を脱いで木の枝にかけ、首にかかった何かを外して、これも木の枝に引っ掛けると、泉の水を浴び始めた。何を枝にかけたのだろうと、小鳥のマーニャが近寄ってみると、それは銀の紐を通したクルミの実だった。どうしてクルミなんか、と思ったのは一瞬で、マーニャはすぐに気が付いた。そのクルミからは、とても強い魔法の匂いがした。舞踏会の素晴らしい衣装と関係があるのかしら、そう思ったら、マーニャはどうしてもそのクルミが欲しくなった。幸い今なら気付かれまい。
 小鳥のマーニャは、そっと銀の紐を嘴にくわえて、クルミを枝から外し、そのまま空に舞い上がって、まっすぐ家まで飛んで帰ったのだった。

 帰宅したマーニャは人間の姿に戻り、クルミを手のひらに乗せて、魔法を試そうとした。
「クルミさん、クルミさん、私に空色のドレスを出してちょうだい」
 語りかけたが何も起こらないので、テーブルにトントン叩きつけてみた。
「クルミさん、クルミさん、私に空色のドレスを出してちょうだい」
 やっぱり何も起こらない。思案していると、そばで見ていた母が、ため息まじりに、
「おまえ、それをどこで手に入れたのだか知らないけれど、魔法の道具は時に、自分の主人を心得ているものだよ。早く返しておいで」
「うるさいな。お母さんは黙っててよ」
 マーニャは言ったが、ひらめいた。あの娘になりすませばいいんじゃないかしら。
 マーニャは髪の色を青く変えた。背丈も少し変えた。顔はよく思い出せなかったが、目の色は、きっと青。胸の大きさはこんな感じ、腰の細さはこんな感じ・・・。
 思い出せる限りを真似てから、マーニャはクルミをトントン叩きながら唱えた。
「クルミさん、クルミさん、私に空色のドレスを出してちょうだい」
 果たして、クルミはパカリと開いて、中からシュウッと青色の煙が立ち上ったかと思うと、舞踏会の一晩目に見たあの空色のドレスが、マーニャの腕の中にパサッと落ちて来た。マーニャは大喜びして、どきどきしながら試しにかぶってみると、あちこちサイズが合わなかった、が、自分の体格のほうを合わせればよいのだった。造作もないことだ。
「クルミさん、クルミさん、私に夕暮れ色のドレスを出してちょうだい」
「クルミさん、クルミさん、私に虹色のドレスを出してちょうだい」
 これで、マーニャの憧れた3着のドレスは、ぜんぶマーニャのもの。マーニャは嬉しくて、とっかえひっかえドレスを身にまとっては、くるくると回った。
 ひと晩眠って、翌朝になると、マーニャは再びひらめいた。クルミを叩いて唱えた。
「クルミさん、クルミさん、他にもドレスがあるんじゃない? みんな出してちょうだい!」

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

雪村さんのお薦めで、「近況報告」的な文章をブログに公開しました。書いてよかったと思います。ありがとうございました。

まあ、それはともかく。

「クルミの行方」(03)、拝読いたしました。

いよいよ本筋に入ってきたようですね。やはりマーニャがクルミを盗んだ犯人でしたか。

しかし、魔法の物品には匂いがあるというのは面白いですね。まあ、気配とか雰囲気みたいなものなのでしょうが、一般人にも感じ取れるものなのでしょうか。

あと、マーニャがフィリシアにかなり近く変身できたのは、(いやらしい意味でなく)、裸の体を見たからでしょうね。実際、作中でも体型を調整しているような描写があって、個人的にはファンタジーよりもSF(サイバーパンク?)を連想してしまいました。

ともあれ、フィリシアに化けたマーニャ、なにやらムチャなお願いをクルミにしているようで、これからいったいどうなるのか、続きを楽しんで待っています。

どうもお疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。いらっしゃいませ。
アウェイもいいけど、ホームは大事です。良かったですねconfident

サイバーパンクも嫌いじゃありませんが、毎回のコメントを拝見するに、
芝臣さんはあまりファンタジーをお読みにならない方なのかしら? と感じます。
たとえてみれば、「三国志」も「銀英伝」も読んでいるけど「グイン・サーガ」は読んでない、みたいな「匂い」を感じます。
ファンタジーを作る側の適性は十分にお持ちだと思いますけれども。

「匂い」は、ある程度その分野に親しい人間にわかるもの、ではありませんか?wink

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