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クルミの行方(05)

 マーニャはクルミを叩き続けて、中に入っている(とマーニャは思っていた)ドレスを、あるだけ全部吐き出させた。最初のうち3回叩くごとに出て来たドレスは、やがて3回叩くだけでは出て来なくなったが、マーニャが諦めずにずっとずっと叩いていると、ときどきポンと出て来ることがあって、なかなか叩くのをやめられないのだった。
 それでも、ある日、朝に1枚ドレスが出て来たきり、他に何も出なかった日があった。翌朝になっても何も出て来なかった。マーニャは全部出尽くしたのだと思い、念のためクルミを割ってみることにした。金槌で思い切り殻を叩くと、殻はガシャリと砕け散り、中はやっぱり空っぽで、少しだけ水のようなものが入っていたのがテーブルにこぼれた。
 朝食の準備をしていた母親は物音に振り返り、砕けたクルミを見て顔色を変えた。
「おまえ、ひとさまから預かった物を、どうしてこんな」
「もう何も入ってないもの。捨ててしまいましょうよ。それより、ねえ、窓の外。ちょっと変なお天気じゃない?」
「うん?」
 母親は窓の外を見た。空は急に暗くなりつつあり、雨が降り出していた。見れば、一片の黒雲が、こちら目がけて物凄い速さで近付いて来る。母親は口元を押さえて言った。
「おお、きっと、この壊れたクルミのせいだ。何か恐ろしいものが、罰を下しに来るのだ」
 雨はすぐに土砂降りとなった。稲妻のような光が眩しく光って、母娘は思わず目をつぶり、目を開けたとき、家の扉は開け放たれていて、そこに、濡れそぼった男が立っていた。
 その男が人間でないことは、一目見ればわかった。なぜなら、床に届くほど長い、青い青い髪が、自らの意思を持つようにざわざわとうねり、宙に持ち上がっていたからだ。
 男は険しい目つきでマーニャを見、母親を見、テーブルの上のクルミの残骸を見た。それからもう一度マーニャをじっと見て、口を開いた。
「・・・おまえは何者だ。なぜ、そのクルミを持っている」
 激しい怒りをはらんだ、低い声だった。
「わた、わた、私は・・・」
 鋭い視線に射すくめられて、マーニャはぶるぶる震え、ろくに口が利けなかった。代わりに母親が、やはり震えながら答えた。
「その子は私の娘です、旦那様。クルミは、娘が旅の女性から譲っていただきました」
「譲られた? そんな馬鹿なことがあるものか!」
 男は低く叫んだ。母親は懸命に言った。
「その女性は、娘とよく似た背格好をしていました。そして、舞踏会が終わったから、もうクルミはいらないと言って、この子にくださったのです」
 男はマーニャの全身をじろじろと見た。そして不意に当惑したようだった。
「・・・確かに背格好は似ているようだ。譲られたとは、嘘ではあるまいな」
「どうして嘘など申し上げることがございましょう、旦那様」
「・・・いずれにしても、すべて回収する。おまえたちの持つべき物ではない」
 えっ、とマーニャは声を上げかけたが、母親の手がマーニャの口をふさいだ。
 男がテーブルのほうに手を伸ばすと、クルミの殻はすうっと元の形に戻って宙を飛び、男の手に収まった。それを今度は、部屋にうず高く積まれたドレスの山に向かって投げると、クルミはパカリと開いて、すべての衣裳をシュウッと呑み込み、再び男の手に戻った。
「旅の女性とは、どこで?」
と、男は低く尋ねた。髪がざわざわとうねる。母親につつかれたマーニャが、あわてて、
「ま、街から、ひ、東に行った、森、の中で」
と答えると、
「そうか」
と言って、男は扉から出て行った。来たときと同じように稲妻が走ったあと、黒い雲は激しい雨を連れて、東へと去って行った。

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次回は週末かもしれませんbearing

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コメント

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

「クルミの行方」(05)、熟読いたしました。

いやー、マーニャはなんかパンクですねえ(苦笑)。私の好きなサイバーパンクの精神を持ってるんじゃないかと思わせる唯我独尊的行動は、まさにぶっ飛んでます。

しかし!
今回の主役は竜王の息子(ですよね?)!
いや、名乗ってないので一応、保留ですが、竜王の息子だとして、実にカッコいい! かつての彼なら怒りに身を任せて暴れ狂っていたかもしれないところを、それなりにキチンと交渉しています。

それにしてもさすがは魔法の物品、どこにあっても所在はわかるし、ハンマーで叩き砕かれても元の形に戻るんだから、まあ、問題の大半は解決した・・・のかな?

あとはもう一度、フィリシアの元に持って行って円満に事情を聞いてクルミを渡せばいいんですけど・・・なにやらまた一波乱ありそうな予感(期待)もありますね。

お忙しいとは思いますが、どうぞ続きを頑張ってください。楽しみに待っています。

いや、大変面白かったです。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
いらっしゃいませ。

うむ? サイバーパンクと唯我独尊に如何なる関係が・・・?
反発的、くらいの意味かしらん?

当方、「ブレードランナー」は雰囲気だけ好きで、
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はお気に入りで、
「マトリックス」は最初のだけ見て大好きです。
あとは積ん読している「マルドゥック・スクランブル」もサイバーパンクかな?
他にお勧めのサイバーパンク作品があったら、ひとつふたつご紹介いただけたら嬉しいですshine

どうもおはようございます、雪村さん。芝臣です。

今回はお願いに参りました。

毎回、ランキングにご協力してくださって大変感謝しているのですが、実はこの一週間の間、朝にやっていただいた時を除くと、夜7時台のアクセスではポイントが無効になってしまっているのです。

最初は私の操作ミスかとも思いましたが、一切、PCに触れなくてもダメで、いったいどうしたものかと苦慮しております。

それで、これは私の推測なんですが、いったんポチした後、しばらくはアクセスを控えてみてはどうでしょうか。どうも他のアクセスが同じ時間帯に被るとよくないのではないかという気がするのです。

なんにせよ、雪村さんのせっかくのご好意が無になってしまうのは、私としても非常に残念な限りなので、どうかご考慮をお願いいたします。

朝からぶしつけなコメントを送り、大変申し訳ありません。

どうも失礼いたしました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村@通勤電車です。
今回のようなご用件は、会話の流れを断ち切らないように返信を書いた後で、書き添えるのが良いと思いますよconfident

さて、ゆうべ時間をあけてアクセスしたときはポイントが反映されているように見えたのですが、他の方の分だったのかしら?
反映されないのはよくあることとはいえ、一週間続くと少し気になります。
今日は帰宅後に、普通に一度ポチって、一時間くらいして反映されなければ、ルータを再起動してリトライしてみますね。

すみません、雪村さん。芝臣です。

ちょっと配慮が足りませんでしたね。どうにも気になっていたもので・・・(汗)。

すみませんが、よろしくお願いします。朝、やっていただいた時は問題なく反映されるので、基本的にはポイントは入るはずなんです。なので、困惑しきってしまっているのです。

なんにせよ、お手数をおかけして、大変申し訳ありません。

どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。

ここのブログランキングは気まぐれで、INポイントの反映については、連続して数日ダメなこともあれば、飛び飛びで入らないこともあります。
時間帯や操作などに法則性はないと思います。悩まないほうがいいですよcoldsweats01
そういうのが気になる性分でいらっしゃるなら、ブログ村あたりのランキングにお引越しする手もありますが。

ひとまず、ポチッとテストの話題は芝臣さんちに移動します。
こちらでは、流れを元に戻して、サイバーパンク作品のおすすめ、お待ちしておりますconfident

どうもおはようございます、雪村さん。芝臣です。

昨日はいろいろとありがとうございました。

さて、それでは話題を戻すとしましょう。

私が敬愛してやまないのが漫画家の士郎正宗先生で、特に『攻殻機動隊』や『アップルシード』などは原作をきわめて好んでいます・・・が「パンク」とは違うかもしれませんね。

あと、いつかこういうお話を書きたい! というのなら、やはり漫画家・荒木飛呂彦先生の『バオー来訪者』ですね。変身ヒーローものって大好きなんですよ(苦笑)。

『マトリックス』も無印(第1作)は、たぶん一番好きな映画じゃないでしょうか。・・・なにしろ、あまりにハマった挙げ句、当時、ネオのコスプレ(サングラスに黒のロングコート)までしてしまったことまでありますからねえ(爆)。

うーん、とりあえず、こんなところですけど、まだ他にもいろいろあると思いますんで、思い出したらご紹介するかもしれません。

いや、朝からどうも失礼いたしました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
いらっしゃいませ。

「攻殻機動隊」も「アップルシード」も、サイバーパンク風ではありますよね。線引きできるほど詳しくはないのですが。
「攻殻機動隊」は、最初のアニメだけ見ましたが、やっぱり、雰囲気だけが好きって感じでした。
お話までまるごと好きなサイバーパンク作品って、なかなかないのですthink

そうですね、また「これなら」と何か思い出されることがあったら、よろしくお願いいたします。

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