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クルミの行方(07)

 雨の中、フルートの目の前5歩先で、巨大な何かが空より降り立ち、人の姿を取った。
 その姿かたちは、かつて「竜王の沼」の底で会った、竜王の息子に間違いなかった。
 あのときとは違い、目を爛々と光らせ、長い青い髪が、うねうねと宙に広がっている。
「そこをどけ、人間!」
 地の底まで轟くような怒声。
「断る! 何の用だ!」
 雨音にかき消されないように、フルートも声を張る。竜王の息子は応じて、
「ここに姫がいるのだろう。姫に聞きたいことがある。これを――」
 突き出した手を開くと、クルミが乗っていた。髪がざわざわと波打つ。
「――なぜ他人に譲り渡したのか、その理由を聞きたい」
「譲り渡した? 誰がそのようなことを」
「譲られた本人から聞いた。姫も所詮は人間だ。これを姫に渡したのは侍女の過ちだった。だが何か事情があったなら、聞いてやってもよい。ここを通せ。通さなくば力ずくでも」
「それを信じたのか? 馬鹿な!」
 フルートは怒鳴った。
「そのクルミひとつ失くしたことで、フィリシアは毎日泣いているんだぞ! 通すものか!」
 フルートは剣を抜き、構えた。たとえ相手が人でなくとも、剣さえあれば戦える――!
 だが。竜王の息子の反応は、フルートの予想しなかったものだった。空中でざわめいていた長い髪が、うねるのをやめて下に落ちた。雨足が少し緩んだ。長い沈黙ののち、竜王の息子は口を開き、大切そうに言葉を発した。
「フィリシア・・・と、いうのか、姫は。良い名だ」
 フルートは驚いて尋ねた。
「知らなかったのか?」
「互いに名は告げていない。問うような非礼もしない・・・姫は泣いてくれているのか」
 フルートははっとして、自らが相手に多くの情報を与えてしまったことに今さら気付き、苦い後悔を感じた。だが、フィリシアが竜王の息子に名も告げていなかったと知ったことで、フルートの胸をふさいでいた重い不快感は、すっと消えて行った。
 フルートは剣を収めた。雨に濡れた髪を鬱陶しそうにかきあげて、一度深く呼吸してから、竜王の息子をまっすぐに見つめ、静かに告げた。
「姫の真意を疑った貴殿に対して、道を開けるわけにはいかない。だが、そのクルミを失ったことで、姫が深く嘆き悲しんでいることも事実だ。かといって、私がそれを預かって姫に渡すのでは、貴殿としても本意ではなかろう。そうであるならば――」
 フルートはひとつの提案をした。竜王の息子は、フルートのうしろにある扉を見やって、しばらく動かなかったが、やがて悲しい顔でうなずいて、それを受け入れた。
 稲妻が光り、フルートの目の前で、竜王の息子は巨大な竜となって、天に昇って行った。

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

まず、今朝のお忙しい時にウチにご来訪くださいまして、大変感謝しております。ポイントもうまく入りました。ほんとうにありがとうございます。

さて、それはそれとして。

「クルミの行方」(07)、拝読いたしました。

うーん、なんとなく頭に思い浮かんだ言葉としては「男の戦い」というものでした。
いや、ギリギリのところで実際の戦闘は回避されているんですが、フルートと竜王の息子(やっぱりそうでしたか)のフィリシアを巡る精神的なぶつかり合いは、読んでいて「うーん、キツイなあ」とため息をついてしまいました。

それにしても惚れた女が絡むと、竜王の息子もやっぱりあんまり変わっていなかった・・・ように思えますが、それでも話し合いに応じるところは成長したのかな、とも思いますね。

さて、フルートの提案とは果たしてなんなのか、それを想像しつつ、次回もまた楽しみにお待ちしています。

どうもお疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
いらっしゃいませ。

竜王の息子がおとなしく帰ったのは、フィリシアのことを疑ってしまった引け目のせいだと思います。
フィリシアに会わせてあげられなくて、少し可哀想ですけれども。

ポイントは入れられる範囲で入れているだけですから、基本スルーでOKですよ。
むしろ、あまりポイントの話をされると、ポイントのほうが大事なのかしら、と複雑な気分になったりします…sweat02

どうも朝早くすいません、雪村さん。芝臣です。

ちょっとランキングに惑わされていたようで、雪村さんにも必要以上にご迷惑をおかけしてしまいました。

以後はこの件について、あまり話題にしないようにいたしますので、どうかお許しください。

もちろん、私にとっても物語の方が大事ですから、これからも無理のない範囲で頑張ってくださいね。

このエピソードの結末を楽しみにしています。

どうも大変失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村@もうすぐ始業です。

あわわ、こちらこそ、失礼なことを申し上げてすみません。
いつもコメントありがとうございます。

今回のエピソードは、あとは畳むだけです。
うまく畳めますように。
今日リリースできるかな、明日になっちゃうかな…。

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