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SF「夜景都市」(未完)

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夜を越えて(03)

 ルークとゼラルドは、静かな夜の闇の中、何やら石造りの建物の中に、ふわりと降り立った。壁石の隙間から、かすかに月光が差し込んでいる。
 よくよく耳を澄ませば、ささやくような女の声が、ずっと同じ言葉を繰り返しているのが聞こえた。曰く、
「慈愛深き月の女神よ、わが祈りを聞き届け給え。願わくば御使いを遣わせしめて、汝が信徒を邪神の手から救い出し給え・・・」
 祈りの言葉を聞き取って、ルークが面白そうにつぶやく。
「ぼくたちは月の女神の御使いなのか?」
「そうなのだろう」
と、真顔でゼラルドが応じた。そのやり取りが聞こえたのか、祈りの声は途切れて、
「・・・誰? 誰かそこにいるの?」
 震える声が問うた。すぐ近くだ。声のするほうに数歩歩けば、そこに牢があった。牢の中には、明り取りの窓の下、月光に照らされて、一人の若い娘が床に座り込んでいた。娘は二人を見て何か叫ぼうとしたが、ルークが素早く、
「静かに! 俺たちは敵じゃない」
 言葉をかけると、かろうじて声をのみこんだ。よく見ると、右耳にだけ、紅い耳飾りを嵌めている。
 床には、聖札が13枚ずつ2段並べられており、うち2枚のカードが表を向いていた。ゼラルドがちらりと見て、
「祈り届けば、救いの手、来たりなん」
 無表情に読み上げると、娘ははっとゼラルドを振り仰ぎ、うなずいて、
「何度やっても、そうとしか出なかったから・・・」
 かすれた言葉の終わりは、か細く消えてしまった。ゼラルドは首をかしげて、
「何度やっても? まあいい、まずは、これを返そう」
「あ・・・あたしの・・・」
 鉄格子の隙間から、娘は耳飾りを受け取って、左耳に嵌めた。
「どこかで失くしたと思ってた・・・。ありがとう」
「それで、君の望みは何なのだろう。見張りはいないようだが、牢から出せばいいのかな」
「それもあるけど。それだけじゃないわ・・・」
 娘はゆるゆると首を振った。
「できることなら、あたしを捕まえた狂信者たちを、何とかしてほしいの。そうでなければ、また誰かがさらわれて、殺されてしまう。彼らの神を、よみがえらせるために」
「滅びた神が生贄を得て復活するというのか。もし本当なら、邪神に間違いないが」
 ゼラルドは眉をひそめ、娘はうなずいた。
「百の贄をささげる、と言っていたわ。あと少しだ、とも。明日、日が昇ったら、あたしは祭壇に引き出されて、殺されて、荒ぶる神に喰われるのだと聞かされたわ・・・」
「・・・とすると、贄を逃がせば儀式も中止になり、大元を絶てなくなってしまう」
 ゼラルドは考え込んだ。娘はその様子をじっと見ていたが、
「必ず、助けてくれる・・・?」
「ああ」
「じゃあ、あたし、儀式まで捕まったままでいるわ・・・」
 それまで壁にもたれて黙っていたルークが、驚いたように体を起こした。
「いいのか?」
「あたしは巫女なの・・・。祈り届けば、救いの手、来たりなん。あなたたちを信じるわ」

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コメント

管理人の雪村です。
操作ミスにより2012/12/10頃に削除してしまったと思われる記事を、2012/12/21に復旧いたしました。
しかしながら、いただいたコメントとお返ししたコメントは復旧不能で、大変残念かつ申し訳なく思っています。
コメントを付けてくださっていた芝臣さん、本当に申し訳ありません。

消えてしまったやりとりの内容は、
今回はファンタジーな雰囲気になりましたね、とか、
空間転移先への現れ方は術者の好みによっても変わりそうです、とか、
ゼラルドがメインでルークがサブなのは珍しいですよね、とか、
管理人が39.8度の熱でダウンしたため続きは遅れます、などであったことを補記しておきます。

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