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夜を越えて(05)

 まだ陽光の微かな早朝の薄闇の中。フードをかぶった黒マントの群れが、さわさわと石牢を訪れて、無言で巫女の娘を引っ立てた。娘は後ろ手に縛られて、うなだれて牢を出た。
 少し離れて隠れていたルークとゼラルドは、視線を合わせて軽くうなずき、ゼラルドはフードを目深におろして一団に紛れ込んだ。教団の指導者が姿を現すまでは、感づかれないよう、術は使わないと決めてあった。
 そうして、ルークが物陰に隠れながら後を追って行くと、なるほど、昨夜ゼラルドが予見したとおり、さらに多数の黒マントの群れが現れた。新しい一団は皆、ずるり、ぺたり、ずるり、ぺたり、と歩いた。そう、それらは命なく、術をかけられた屍人なのだった。
 黒マントたちは、合流したかと思うと、また、ふたつの集団に分かれた。それぞれ、生きている者の半分が、屍人の半分を従える構成のようだ。片方の集団は、巫女を連れ、祭壇を目指して神殿奥へ進んでいく。もう片方の集団は、階段で上の階に向かっている。
 ルークは、巫女のいる集団をゼラルドに任せ、自分はもう片方の集団を追って階段を上った。全体を大きく二分したからには、こちらの集団にも何かの役割があるはずだ。儀式の阻止と、指導者の排除という目的を達成するためには、その役割を果たさせてはならないだろう。
 階段の上は行き止まりの廊下だったはずだが・・・と、前の晩に確かめた構造を思い起こしながら後をつけていくと、その廊下の突き当りで、黒マントたちはいくつかの壁石を押し込み、先に続く道をひらいた。隠し通路だ。ルークはためらわず、最後のひとりに続いて自分も通路を通った。
 通り抜けた先は、石造りの広間だった。天井と壁の一部が壊れて瓦礫の山ができているため、ルークの姿は集団から隠されている。広間の真ん中では、黒マント5人が外向きに輪になって座り、目を閉じ、手をつないで、詠唱を始めていた。
「よみがえれ、荒ぶる神。帰り来たれ、われらが神・・・」
 屍人たちも、5人を取り巻くように座って、輪を形づくる。つめたい体は、ゆらゆらと前後左右に揺れている。
「よみがえれ、荒ぶる神。帰り来たれ、われらが神・・・」
 5人の詠唱は徐々に熱を帯びた。
「帰り来たれ、われらが神・・・ここに、われらが信仰の証を捧ぐ・・・」
 5人の黒マントのうちの一人が、ひれ伏すように頭を低くし、その傍らで、屍人が立ち上がり、剣を振り上げた。
 自ら首を刎ねられる気か! ぞわりと背筋に寒気を感じながら、ルークは反射的に飛び出して、剣を持った屍人に切りつけた。ずぶりと屍肉を切った傷はジュッと音を立て、屍人はどうと倒れて動かなくなった。
 しかし、この場ではルークのほうが邪魔者だった。ひれ伏していた黒マントは、体を起こし、敵意を剥き出しにした。
「何者だ! 儀式を妨げる奴め」
「その儀式に何の意味がある。自らの命を失えば、得るものは何もない」
「われらの神が蘇れば、われらには新しい永遠の命が与えられるのだ。邪魔をするな!」
 5人は詠唱をやめ、互いに手を放して立ち上がり、剣を抜き放った――おそらくは今まで幾多の贄の血を吸ってきた剣を。屍人たちにも号令をかけた。
「しもべたちよ、あの者を倒せ!」
 屍人たちは、のろのろと立ち上がって、これも全員が何らかの武器を抜き放った。
 ルークは剣を構えた。階下に異常を知られてはならない。こうなってしまったからには、できる限り速やかに戦闘を終わらせる必要がある。
 朝日の差し込み始めた広間に、金色の刃が風となって走った。
 広間に立っているのは、ルークひとりになった。
 ルークは剣を振って血糊を払うと、広間を横切った。続きの間の床は大きく崩れている。ルークは床に膝をつき、階下の様子を窺った。

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体調は回復しつつありますが、
師走ゆえ忙しい毎日です。
遅れがちですがお許しを。

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「夜を越えて」再開、お待ちしておりましたが、どうぞ体調や家事その他とご相談の上、無理なくストーリーを進めていってくださいませ。

が、しかし!
今回はまさに期待通り、いや、期待以上のノリで全編が描かれており、まさにファンタジー! まさに冒険譚とでもいうようなドラマティックなストーリーで、思わず「おおーっ!」と瞠目してしまいました。

屍人(ゾンビ?)、隠し通路、「神」のために自殺すら厭わぬ狂信者たち・・・これはいままでにないインパクトを与えて、かなり雰囲気を変えているように思います。
なにより、ルーク(フルート)が対人戦闘におよんで相手を本当に斬ったのは、これまでの物語では初めてではないでしょうか。
そして、活劇の描写がいい!
『朝日の差し込み始めた広間に、金色の刃が風となって走った。』
この詩的なまでの簡潔な描写は、今後、私も参考にしたいくらいです。

なんにせよ、なにかこのエピソードは作品全体から見ても、一つのポイントになるような気がしていますので、ぜひぜひ万全の状態で最後まで書き上げてくださいませ。

うむ、燃えました。どうもありがとうございました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

数行ずつ、ちまちま書き足していった文章が、どうにか一回分、仕上がってリリースできました。
敵一掃は簡潔すぎてご不満だろうと思いきや、お気に召していただけたのは何よりです。

やや凄惨な絵柄になっていることについては、賛否両論あるかもしれませんが、
実は見た目ほどのことはなかったりして・・・。あしからずcoldsweats01

次回もコツコツ頑張ります~。

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