2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ひとこと通信欄

  • (2017/10/15夜)ご心配おかけして申し訳ありません。疲れて色々おっくうになっていますが、ごはんと睡眠はちゃんとしていますので、ご安心ください。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 夜を越えて(05) | トップページ | 夜を越えて(07) »

夜を越えて(06)

 一方、囚われの巫女を引き連れた黒マントの一団は、もう半分の集団と分かれたあと、神殿の最深部、祭壇のある大広間へと進入していた。ゼラルドは、気配を消して屍人の群れの中に身をひそめながら、あたりの様子を注意深く観察した。頭上から、かすかに祈りの声が聞こえて来るのは、もうひとつの集団が上の階で、補助となる儀式を始めたものと思われた。
 先導する5人の黒マントの指示で、一同は立ち止まり、石床に膝をついた。5人は深く頭を垂れ、呼ばわった。
「われらが指導者よ、おでましあれ! おでましあれ!」
 屍人たちは頭を下げなかったので、ゼラルドは屍人に紛れ、フードの陰からそっと様子を見ることができた。すぐに、幹部5人の目の前の空間がゆらゆらと揺らいで、人の形を作った。教団の指導者が、離れた場所から転移して来たのだ。この気配からして、月の聖者か。
 指導者は、黒っぽい服の上に、やはり黒いマントを羽織っていたが、フードはかぶらず、白い肌、黒い髪、黒い瞳をあらわにしていた。ゼラルドは複雑な思いがした。もしや、故国を同じくする者ではないのか・・・。
「つとめ、大儀である」
と、指導者は独特の抑揚で、ひれ伏す幹部たちに言葉をかけた。それから、
「月の女神の巫女よ、祭壇に進み給え。前座の儀式が済み次第、百人目の贄として、その喉を切り開くゆえ」
 巫女は引っ立てられ、背を押されて、よろめきながら祭壇に向かって歩き出した。
 ゼラルドは静かに言った。
「巫女よ、その必要はない」
 巫女は立ち止まった。指導者はさっと振り返って屍人の群れを見渡した。発言者を特定できないまま、指導者がもう一度巫女のほうを振り返ったときには、ゼラルドはすでに巫女の傍らにおり、懐剣で、彼女の腕の戒めを切ってやっていた。
 指導者は声を荒げた。
「巫女よ、その刃を奪い、その者を刺し殺せ。命令である。逆らうことはできないはずだ」
 聞いてゼラルドは冷笑し、巫女の腕に軽く触れて、一言、二言、何かつぶやいた。巫女の足元に銀色の輪がパッと広がったかと思うと、まもなく巫女の姿はかき消えた。
 指導者は、しばし唖然となったが、はっと気を取り直すと、
「貴様、月の聖者か。よくも、特別な贄を逃がしてくれたな。こうなれば、巫女の代わりに、貴様を贄としてやろう。皆の者、奴を確保せよ!」
 幹部5人と屍人たちは、すぐさま立ち上がり、武器を抜いて指示に従おうとした、が、ゼラルドのほうが対応は早かった。彼がさっと手を振れば、大きな弧を描く銀色の光が一同の身体を通り抜け、幹部たちは痺れた体を抱えてうずくまり、屍人たちは糸の切れた人形のように、床に崩れ落ちて動かなくなった。
 ともかく指導者を捕えなければならない。もはや他の者には注意を払わず、指導者に向きなおったゼラルドは、しかし、予期せぬ光景を見ることになった。
 指導者は、この不利な状況の中、逃げ出すでもなく、襲いかかって来るでもなく、いつのまにか祭壇の前に立ち、叫んでいた。
「わが神よ! 我を贄として捧げ奉る! 甦り給え!」
 そして、自らの喉を掻き切って祭壇の上に倒れ伏した。ほとばしる血が祭壇を染めた。
 いけない。聖者の血を供物として捧げては・・・!

人気ブログランキングへ

たぶんあと2回です。
年内には終わらせます。

« 夜を越えて(05) | トップページ | 夜を越えて(07) »

コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「夜を越えて」(06)、お待ちしておりましたー!

すごい、なんというインパクト! まるで往年の菊地秀行先生か夢枕獏先生の作品のノリを思わせるテンションの高さ!
前回が剣(ルーク)ならば今回は魔法(ゼラルド)と、見事に描き分けられております。いやあ、「ファンタジー」だなあ(笑)。

うーん、これはぜひ映像化(アニメでも実写でも)したところが見たい場面がたくさんありますね。
まあ、昨今の映像事情から鮮血が飛び散るシーンは、なんらかの「配慮」が加わるかもしれませんが・・・。

・・・時に、これはお訊きしていいものかどうか迷ったのですが・・・この「夜を越えて」の(03)が、いつの間にか欠番となっていたのですが、これは何か特別な事情でもあったのでしょうか?
あ、いや、もちろん無理に理由をお訊きしたいわけではなく、敢えてご説明したくないのなら、それはそれでは一向に構いません。ただ、通して拝読してきて、そこでいったんお話が切れてしまったものですから、いささか不審に思っただけのことです。

なんにせよ、いよいよエピソードはクライマックスへと突入して、まさに手に汗握る展開となってきております。どうぞ雪村さんにおかれましては、心身ともに落ち着かれて、着実に結末までお書きになっていってくださいませ。

今回はよりいっそう面白かったです。どうもお疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

わわ、(03)が消えていたとは! お知らせくださり、ありがとうございます。
あわてて復旧しました。が、元あったコメントは消えてしまいました。申し訳ありません・・・。

(06)にお褒めの言葉、恐縮です。
次回もコツコツ頑張ります☆

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/56361693

この記事へのトラックバック一覧です: 夜を越えて(06):

« 夜を越えて(05) | トップページ | 夜を越えて(07) »