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夜を越えて(07)

 祭壇の上に流れ出たおびただしい血は、すぐにブクブクと泡立ち始めた。何か、ひどく良くないものが、血の海の中に蘇ろうとしていた――おそらくは、いにしえの悪しき神が。
 神。だとしたら、人の子がその復活を阻むことなど、できるものだろうか?
 祭壇から、にゅっと緑色の巨大な腕が突き出され、こぶしを開いた。人の胴回りほどもある太い腕の先は、指が7本生えた巨大な手だった。腕は祭壇の外へと伸び、広間の床にバシンと手をついた。同様に、もう一本の巨大な腕が現れて、これもまた広間の床に手をついた。両の手で体を支えながら、こちら側に出て来るつもりなのだ。
 距離をとって身構えたゼラルドの目の前で、しかし、2本の腕はドロドロと溶け落ちた。地の底から響く声が、呻いた。
≪足リヌ・・・。足リヌ・・・。モット寄越セ・・・≫
 そうか、贄の数が足りていないのだ。不完全な神――。
 ならば復活を阻むこともできるかもしれない、とゼラルドは決意を固めた。そもそも、聖なる国の王家に生まれ、太陽の神からも月の神からも最大限の恩恵を受けている自分が為さなければ、いったい他の誰が邪神の復活を阻めるというのだ。
 祭壇から突き出された新しい腕に、ゼラルドは銀色に輝く光の刃を放った。光は巨大な腕を通り抜けたが、腕は何の反応も見せず、祭壇の外にバシンと手をついた。ゼラルドは術を切り替え、次には金色に輝く光の刃を放った。今度は、光が通り抜けたあと、腕は少し怯んで、祭壇の外に出した手をひっこめかけたが、結局ひっこめずに、手をつきなおしただけだった。
 なるほど、とゼラルドは冷静に分析し、レティカの宝剣を抜き放って、その黄金の刀身に、太陽の力をいっぱいに溜めた。恐れずに踏み込んで緑色の手首を薙ぎ払えば、邪神の手首はジュウと音を立てて切り落とされ、残った腕部はくねりながら祭壇の中に戻って行こうとする、そこへゼラルドは追いすがり、宝剣によって腕を祭壇に縫い止めた。腕はシュウシュウと音を立てながら、干からびて行く・・・。
 祭壇に倒れ伏していた教団指導者が、急に体を起こした。喉元はぱっくりと裂けており、もはや流れ出る血も残っておらず、とても生きているとは思えない。宝剣を放して跳びすさったゼラルドを、指導者は濁った眼で見て、口を開いた。言葉など出るはずがないのに、聞こえた。
≪寄越セ・・・オマエノ血・・・≫
 邪神に死体を乗っ取られている! ゼラルドが金色の光の刃を放つと、指導者はぶるぶると震えたが、おかまいなしに歩み寄って来る。ゼラルドは目の端で祭壇の宝剣を確認した。まだ邪神の本体は散り切っていない。あの剣を引き戻すわけにはいかない。
 もう一本、宝剣があれば。そう思ったとき、ゼラルドはルークのことを思い出した。ルークは宝剣を持っている。そういえば目印として服を白くするのだった、と、今さらながら全身を白に変えながら、階上の様子に耳を澄ますと、さっきまで聞こえていた祈りの声が聞こえない。階上の儀式はどうなった?
 襲い来る指導者から逃れ、術の力を借りて大きく跳躍し、広間に積まれた瓦礫の山の上に軽やかに降り立ったゼラルドに向かい、指導者は口を大きく開き、その口の中がボウッと光り始めた。攻撃の光を吐くつもりだ。ゼラルドがもう一度跳躍しようと身構えたとき。
 凛とした声が、遥か頭上から降った。
「ゼル、使え!」
 その言葉とともに、目の前の瓦礫に、レティカの宝剣が突き刺さった。ルークの剣だ。
 ゼラルドは宝剣を引き抜いた。ただちに、その刃に太陽の力を満たし、指導者に向かって跳んだ。朝日の中に、純白のマントがひるがえる。金色の刃が指導者を切り下ろした。
≪ギィィィィィ・・・!≫
 指導者の体は真っ二つになり、灰となって散った。
 今度こそ、終わり、だった。

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「夜を越えて」(07)、熟読玩味いたしました。

素晴らしい! まさに期待通り、いや、期待以上のシーンの連続! これまでの比較的、静穏とも思えるストーリーの中にあって、なにか目が醒めるようなエピソードとなったのではないかと思います。

「邪神」の描写も気合いが入っていましたし、さらには死んだはずの指導者が再び襲いかかってくるところなど、ホラー映画さながら、私はともかく、この凄惨な場面にはやはり賛否両論分かれるかもしれませんね。

それにしても、今回は完全にゼラルドが主役のエピソードでしたねー(苦笑)。魔法もアクションもバリバリこなして、最後もトドメの一刀を放つ・・・これまでの彼からしたら、ちょっと考えにくいものがありました。・・・むろん、全てキマっているので、なんの文句もないんですけど。

ともあれ、よい「クリスマス・プレゼント」をいただきました。残りの一話(エピローグ?)はどうぞゆっくりお考えあって、お書きくださることを期待いたします。

いや、どうもありがとうございました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

「ゆがんだ城」で幾つもハンデを背負って戦っていたゼラルドに、今回はハンデなしで戦ってもらいました。
・・・と思えば、とくに意外な展開ではないのですよ~。

お褒めの言葉をありがとうございます。恐縮です。
あとはお話を畳むだけ。いえいえ、気を抜かずに頑張ります☆

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