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髪を編む(02)

「え、どうなったの?」
 フィリシアは、そうっと手を伸ばして頭の後ろを触った。
「・・・リボンの形? すてき! どうやったの?」
「もう一人のお姫様を呼んでくれたら、編むところを見せられるのだけれど・・・」
「すぐ呼ぶわ! 一緒に来て」
 フィリシアはセレンを連れて宿の部屋に駆け戻り、荷物から宝剣を出した。剣を少しだけ鞘から抜いて、
「ミルガレーテ? 忙しくなかったら、遊びに来てくれる?」
 フィリシアがそっと呼びかけると、ひと呼吸の間を置いたあと、さらさらと時の砂の流れるような不思議な感覚があって、ふわりと≪光り姫≫が姿を現した。金を紡いだような輝く髪に、雪のような白い肌の姫君は、今日は橙色のシフォンのドレスを着ている。
「なあに、フィル。・・・きゃっ」
 セレンがいるのに気付いて、ミルガレーテはフィリシアの後ろに逃げ込んだ。セレンは内心かなり傷ついたが、相手を怯えさせないように微笑して見せた。フィリシアは笑いながら、
「レッティ、見て、私の髪。セレンが編んでくれたの。あなたも編んでもらったらいいわ。どう?」
「え? あ、これ可愛い・・・」
 ミルガレーテは目を丸くして、フィリシアの髪に触れた。それから、そうっとフィリシアの陰からセレンのほうを見て、
「あの・・・セレン? わたくしもお願いして、よろしいでしょうか?」
「もちろん、かまいませんよ、ミルガレーテ」
 おずおずと近づいてきて後ろを向いたミルガレーテの輝く髪を、大事に掬い取って、セレンは同じように編んだ。隣ではフィリシアが、編み方を覚えている。
「はい、できましたよ、お姫様」
「フィルとお揃い?」
「お揃いです」
 ミルガレーテは振り向いて、花が咲くように笑った。
「ありがとう、セレン」
「どういたしまして・・・」
「ね、レッティ、私、編み方を覚えたから、ちょっとほどいて、私に編ませてくれない?」
「いやよ、せっかくセレンが綺麗に編んでくれたのに」
 女の子たちは、そのまま、きゃらきゃらとお喋りを始めるようだったので、セレンは邪魔をしないように、そっと部屋を出た。
 廊下で、フルートとすれ違った。こちらを見て、おや、と眉を上げ、
「何か良いことでもあったのか?」
 笑って尋ねながら、通り過ぎていく。
「うん、ちょっとね」
とだけ、セレンは答えて、その日はずっと、にこにこ上機嫌でいたのだった。

(完)

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そういえば、このお姫様たちはお互い愛称で呼びます。

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「髪を編む」(02)、拝読いたしました。

いやー、二枚看板娘勢揃いですねー(笑)。
なんとゆーか、ノリとしては「ファンタジー女学園もの」? みたいな華やかさがあって、思わずウチの私立ヴァルキューレ学苑「五人乙女」たちを思い出してしまいました(苦笑)。

まあ、前回が超ハードなバトル・アクションだったので、そのコントラストとして、こーゆー平和なエピソードが際立つのかもしれません。

ところで、ミルガレーテは今回の出現時、なぜセレンに対して警戒心を抱いたような態度を見せたのか、ちょっとわからなかったんですね。その後の流れからみても男嫌いというわけでもなさそうだし、セレン個人を嫌っているわけでもない感じなんで・・・突然、現れたら他人がいたので驚いたのかな?

ともあれ、今回は華やいだ、女性作家ならではの視点(女性の髪形)によるお話を、存分に楽しませていただきました。

どうもありがとうございます。お疲れ様でした。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

ミルガレーテが初めてセレンに会ってから、まだまもない頃のお話です。
彼女はまだセレンに会い慣れていません。

姫君ふたり出したお話を、華やかと言っていただけて嬉しかったですshine
どうもありがとうございますhappy01

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