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花嫁候補(03)

『では、ぼくと一曲踊っていただけませんか』
『えっ』
 シェーラは驚いたようだった。すぐに首を振って、
『お気持ちはありがたく存じますが、セレン様にご迷惑をかけたくありません』
『迷惑だなんて。ぼくなら、あなたを転ばせたりはしませんよ』
と、セレンは笑った。そっとシェーラの背中に手を回して、
『行きましょう』
『・・・はい』
 セレンは言葉どおり上手にリードしたので、シェーラはつまずくことも転ぶこともなく、安心して踊ることができた。恩人である若者に偶然再会できたことも、そのひとと二人で踊っていることも、シェーラには夢の中のことのように感じられた。もっと踊っていたかったけれど、なんだか涙がこぼれて止まらなくなってしまったので、一曲しか踊れなかった。
 二人はバルコニーに戻った。偽りのない優しい声が、シェーラを心配してくれた。
『大丈夫ですか、シェーラ』
『申し訳ありません。見苦しいところをお目にかけてしまって・・・』
 シェーラは涙をぬぐって、恥じらいながら言い訳をした。
『わたくし、目が見えなくなって以来、こんなに嬉しかったことはなかったので・・・』
『失礼ですが、いつから見えなくなられたのですか』
『子供のころ、父のところに届けられたお菓子の中に、毒が入っていたのです。毒見が済んでいなかったのに、わたくしは勝手に食べてしまって・・・。命が助かったのは非常な幸運だと言われましたが、視力を失いました』
『・・・ジギリトギリス』
 セレンは呟いた。フルートの苦手な毒だ。耐性があってさえ、一時的に視力を奪われる。
『はい、その毒です。博識でいらっしゃるのですね』
『いえ。おつらいことをお聞きして、申し訳ありませんでした』
『少しも構いません。セレン様はわたくしの恩人なのですから』
 シェーラが落ち着いてから、二人はもう一度踊りに行ったり、食事を取り分けて食べたり、あるいはただ単に、楽しくおしゃべりをしたりした。シェーラの侍女は、介助が必要なときだけ、さりげなく側に来て手伝って、あとは距離をおいて待機してくれていた。
『ねえ、君、ライラと言ったね。君のご主人とぼくに、何か飲みものを持って来てくれる?』
 バルコニーで、セレンは侍女に用事を頼んだ。そうして、
『楽しいですか、シェーラ?』
『はい、とても』
 シェーラは笑顔で答えた。セレンは柔らかな声で、さらに尋ねた。
『今日はご褒美はいただけるのでしょうか?』 

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「花嫁候補」(03)、拝読いたしました。

で、ですが、その・・・いや、なんでもないです。ただ、今回に限り、セレンを後ろからド突いてやりたくなりましたね(苦笑)。

そして、シェーラ嬢がもう、「可憐な乙女」そのもの、しかも「悲劇(障害)」つきなので、ロマンスもののヒロインとしては、ある意味、「竜王の館」の時のフィリシア以上の完璧さ、少なくとも私個人はもはや何も注文をつけることはありません(萌え)。

まあ、ストーリーについては、次回が一つの山場になるんだろうか・・・などと予想しておりますが、ちょっと疑問・・・というか、気になったことがありまして、それはこの世界(時代)ではメガネのような視力補正器具はあるのだろうか、ということです。

実は私も幼少期に片目を負傷して、大幅に視力が低下し、小学校入学時にメガネ着用を学校側から指導されて以来、今日に至るまでメガネがなくてはロクにものも見えないという状態なので、多少なりともシェーラ嬢の苦労の一端がわかるような気がしているんですが、彼女ほどではない程度の視力悪化を補正する器具があれば、かなり多くの人々が助かるでしょうし、魔法的なアイテムなどでも存在すれば便利だろうなあ・・・などとふと思ったのですが、あまり深くは考えていませんので、どうぞ脇に置いておいてください。

なんにせよ、「ロマンスの極致」に身もだえしながら(苦笑)、続きを楽しみに期待しております。

さあ、次回、シェーラ嬢はいかなる「ご褒美」を出すのか、セレンは責任取ることができるのか?
などと、アレコレ考えながら今回のお話を何度も読み返しておりました。

どうぞお体に気をつけて、無理せず大いに頑張ってください(?)。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

ルーペは既にあると思いますが、メガネは無いかもしれません。少なくとも普及はしていません。
もしかしたら、どこかの先進的な眼医者さんが、独自に作らせているかもしれませんが…。
魔法の作用による視力矯正は、これも曖昧な言い方になってしまいますが、時と場合により、出来ることも、出来ないこともあります。

次回もベタベタな展開です。
様式美を大切にしています(笑)

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