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花嫁候補(04)

『ご褒美?』
 シェーラは戸惑って聞き返し、
『この前お会いしたときのように』
 言われて、前回の別れ際に唇を重ねたことを思い出した。しかも、気付いてみると今この瞬間、シェーラはひとけのないバルコニーで、いつのまにか、長身の若者の腕の中にすっぽりと納まってしまっていたのだった。シェーラの頬が、ぽうっと赤くなった。
『あの、セレン様・・・』
 シェーラがそっとセレンの胸を押して遠ざけようとすると、セレンは笑みを含んだ声でささやいた。
『一夜限りの恋は、おきらいですか、シェーラ?』
 からかわれていると思ったシェーラは、真っ赤になって「きらいです」と答えようとしたが、そう口にのぼせるより早く、ふんわりとやさしく抱きしめられていた。耳元をくすぐる、ひそやかな甘い声。
『それとも、相手がぼくではご不満なのでしょうか?』
『えっ・・・』
 かわいそうなシェーラは、しどろもどろになった。
『いいえ。・・・あの、はい。いえ。あの・・・ん。・・・んん・・・』
 侍女が飲み物を持って戻って来たとき、女主人は、どう見ても遊び慣れていそうな若者の胸に、くったりと、折り取られた花のように体を預けていた。
 飲み物を受け取って「ありがとう」と微笑む優美な若者に、何か抗議すべきだろうかと、誠実な侍女はしばし悩んだが、目の不自由な女主人がこれから歩むだろう日陰の道を思えば、たとえひとときでも幸せな時間が過ごせることを、むしろ喜ぶべきだという結論に達した。したがって、予期された次の依頼にも、動じることなく応じた。
『では、少しの間、君のご主人様と二人だけにしてくれる? 次の次の鐘が鳴ったら、この場所で君にお返しするから』
 慣れた仕草で握らされたチップは、ぴかぴかの金貨で、申し分なかった。
『かしこまりました、旦那様』
『では行きましょう、シェーラ』
『はい・・・セレン様』
 そのあと二人がどこでどんな時間を過ごしたのか、侍女は知らない。ただ、次の次の鐘が鳴ったときに迎えに行くと、女主人は先刻と同じように、溶けてしまいそうな風情で若者の胸にすがっていて、けれど髪には結い直し、編み直したあとがあって、それになんだか――
 ――なんだか、いっそう、美しくなっていた、のだった。

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あと2回かかりそうです。

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「花嫁候補」(04)、拝読しました。

うーむ・・・色男、遊び人としてのセレンの面目躍如、といったところでしょうか。つまりはゼラルドが非常に嫌っているであろう部分ですが。

なんかもう、「あらあらあら」って感じで事が進んじゃって、これ、いままでのセレン(少年時代も含む)を知らなければ、あるいは反感を覚える人もいるでしょうねえ。

ただまあ、私も最終的にはあの侍女(ライラでしたか)と同じ結論に達して、特に動揺することなく、二人の甘美な時間を見送ったわけですが・・・問題はこの後ですね。
シェーラ嬢は「一夜限りの恋のお相手」で済む女性ではないと思うので、ほんと、セレンは男性として責任を取らないとイカンのではないかと強く思います。

ああ、だからタイトルの「花嫁候補」なのかな? いや、実際にどういう意味になるかはまだわかりませんが・・・。

それにしても、今回は色っぽかったですねえ。肝心のシーンはすべて読者の想像に委ねているので、ある意味、果てしなく様々な場面が広がって、ズバリ書くより非常に効果的でした。いや、これは私も今後、ぜひ参考にしたい手法です。お見事でした。

さて、あと2回で、どう決着をつけるのか、私個人は何か単なる活劇以上に緊迫感を感じています(苦笑)。

そんなわけで、次回もぜひ拝読させていただきと思っております。
どうぞお体に気をつけて、無理なく頑張ってください。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

読んでくださる方が中学生でも大人でも、それぞれ好きなように想像をふくらませて楽しめるように、と思って書きました。
「書いてあること」はたいしたことないんですが、「書いてないこと」を自由にお読みいただきたいと思っています☆

「色っぽい」は今回、褒め言葉ですね。どうもありがとうございます。

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