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花嫁候補(06)

「ばれていないとでも思っていたのか?」
と、フルートは真面目な顔で言った。「思っていた」などとセレンは口に出さなかったが、つい顔に出ていたのだろう、フルートは軽いため息をついた。
「ばかだな、長い付き合いなのに。君が初対面の女性に見とれて言葉を失ったのは、知る限り一度きりだ。ひとめ惚れだろう?」
「・・・」
「あれ以来、月が満ちゆく期間は、そわそわしているし」
「・・・」
「フィリシアに相談して、もっと頻繁に呼んでもらえばいいのに」
「いやだよ、そんな。恥ずかしい」
 セレンは視線を落とした。自分に言い聞かせるように、
「いいんだ。生きる世界が違うから。美しく純粋なまま永遠を生きるあの姫君に、ぼくの手が届くなどとは思わない。そんなこと、思うだけで失礼だ」
「指一本ふれずに崇めているだけで、本当にいいのか」
「・・・この前、髪に触らせてもらった」
「ふうん」
 フルートは首を傾げて、うつむくセレンを見ていたが、
「君がいいなら、それでいい。帰ろう」
 グラスを干して立ち上がり、その話は、それきりになった。

 その頃シェーラは、宿に向かう馬車の中で、侍女と話していた。
『来る時に話したわね。おじさまの勧めのとおり、神殿に入ってお仕えするつもりだって』
『はい、お嬢様』
『もう気が変わったと言ったら・・・愚かな娘だと思う?』
 侍女は少なからず驚いたが、口に出してはこう言った。
『よく考えてご自分でお決めになったなら、どのような道でもよろしいかと存じます』
『あのね・・・あの方がね』
と、令嬢は、はにかみながら言った。
『妻になりたいかと尋ねてくださったけれど、わたくし、目の見えない妻ではご迷惑がかかるから、本意ではありませんと申し上げたの。ただ、あの方のお側にいることを許されたかったから、叶うことなら妾にしてくださいとお願いしたの』
『・・・』
『あの方の家柄なら、本家から見放されたわたくしを妾にしても問題はないし、そんな形でも内陸の名家と縁ができれば、父はきっと、わたくしが初めて役に立ったといって喜ぶと思うわ。そう申し上げたら、あの方は、1年経っても覚悟が変わらなければ訪ねておいでと言ってくださったの。正妻にするか愛妾にするかは、そのあと決めるから、と』
『・・・お嬢様。たいへん申し上げづらいのですけれども』
『ふふ、そうね、他に何人も女性がいるのかもしれないわね。でも、いいの。あの方は、たとえ遊びの相手でも、傷つけたりせず、幸せにしてくださる方だわ。お側に置いていただけるかもしれないと思うだけで、わたくし、胸がどきどきして、とても嬉しいの』
 令嬢は微笑んだ。恋する乙女の願いなのだった。侍女は降参した。たしかに、神殿に入るより幸せに暮らせるのかもしれない。
『・・・1年あるのでしたら、まずは内陸の言葉をお勉強いたしましょうね』
『そうするわ! ありがとう、ライラ』

 それぞれの思惑を包んで、夜は更け行く――。

(完)

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