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夢の牢(04)

 話しながら、3人が靄の中を歩いて行くと、さほど離れていないところにセレンが立っていた。目を閉じて、口元に微笑を浮かべている。フィリシアが、
「セレン?」
と呼びかけたが、何の反応もない。しかし、
「セレン」
 フルートが呼んで、腕をぽんと叩くと、
「うるさいなあ」
と言いながら、眉を寄せ、目を開けた。
「せっかく良い夢を見て・・・」
 言いかけて、ミルガレーテに気付き、言葉を飲み込んだ。それから、そっと言った。
「あなたの夢を見ていました、ミルガレーテ」
「えっ」
 目をぱちぱちさせてから、ミルガレーテは、ふんわりと笑った。
「良い夢と言ってもらえて、嬉しいです」
 その笑顔を、セレンは眩しそうに見て、それ以上は何も言わなかった。
 さらに靄の中を進んで行くと、最後に、ゼラルドがいた。彼は、目を閉じていなかった。逆に、見開いていた。青ざめた顔で、彼だけに見えているのだろう目の前の「夢」を、じっと見つめていた。そして、誰が名を呼んでも、我に返る様子はなかった。一度だけ、セレンに呼ばれたとき、ローレインの言葉で『下がれ』と呟いたが、それだけだった。
 ゼラルドを取り巻く白い靄が、するすると濃くなった。
「いけない」
と、ミルガレーテが緊張した声で言った。手を伸ばし、ゼラルドの腕をしっかりつかんだ。
「このままでは、取り込まれてしまうわ」
「そんな!」
 フィリシアはもう一方の腕をつかみ、懸命に考えた。フルートはフィリシアの夢を見ていた・・・セレンはミルガレーテの夢を見ていた・・・もし、「身近な女性」の夢を見るのだとしたら、ゼラルドの場合は・・・決まっている、故国の妹姫のはずだ!
 そう思い至ったとき、知らず、フィリシアは呼びかけていた。
「お兄さま!」
 フルートとセレンが驚いたようにフィリシアのほうを見たが、フィリシアは必死の思いでゼラルドを見つめていた。ゼラルドは、びくっと肩を震わせた。そして、青ざめた頬のまま、ゆっくりと振り返った。視線がフィリシアの上で焦点を結び、長い沈黙ののち、
「・・・フィリシア」
 呟いて、ゼラルドは、はっとしたように辺りを見回した。フルートが、なだめるように、
「夢だよ、ゼラルド。君が何を見たにせよ、幻だ」
「幻・・・? 本当に・・・?」

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「夢の牢」(04)、繰り返し拝読いたしました。

さすが伊達男・セレン!(苦笑)。寝起きでもそば「本命」がいたら、スマートに口説く!(爆)
もし仮に他の女性(たとえばシェーラとか)の夢を見ていたとしても、彼はあの状況なら、絶対に同じセリフを言ったことでしょう!(かなり偏見入ってます)。

うーん、どうなんでしょうねえ。セレンにとってミルガレーテはやはり「女神様」的存在なんでしょうか。それで他の女性と深い関係になったり、挙げ句、「妻になる気はないか」とか言っちゃう・・・私としては、その辺、どうも釈然としないものがあって、フルートのセリフじゃないですけど、ほんと「お前、それでいいのか!?」と問い詰めたくなってしまいます。

一方、ゼラルドはかなりキッツイ「夢」を見せつけられたようですね。
まあ、フィリシアの推測どおり、実際の妹姫(ユリア)の「夢」ならば、読者的には「そりゃー悪夢もみるよなー」と思わざるを得ませんね。

それで、「夢」というものは本人の精神世界に大きく影響を与える物だと思うんですが、以前、「命令の指輪」の時にも書いたように、今回のゼラルドも、やはりなんとなく『エヴァ』的な感じを私個人は受けました。つまり、シンジ君が現実世界から観念的世界に落ち込むのをどうにかして助け出そうとする・・・といったような流れですね。まあ、あくまでも個人的な見立てなんで、むろん雪村さんはそんなことはほとんど意識していなかったとは思いますが。

それにしても、童話なら、王子さまがお姫さまを目覚めさせるのに、それが全く逆になってしまったのは、不謹慎ながら、いささか面白く思ってしまいました(苦笑)。

果たしてゼラルドが見た「夢」とはなんなのか・・・想像ですが、相当、ハードな悪夢だったんだろうと思っています。
なんにせよ、彼が現実世界に帰還できて、とりあえず一安心ですが、精神的外傷(トラウマ)が残らないことを切に祈りたいと思います。フィリシアの存在が今回ほど大きく感じられたことはないので、ゼラルドとしては当分、彼女に頭が上がらないかもしれません。

ともあれ、例によって言いたい放題、書いてしまいましたが、このエピソードは非常に興味深く、どう決着するのか、心待ちにしていることは確かです。

そんなわけで、今回も存分に愉しませていただきました。
次回(決着篇?)も心待ちにしております。どうぞ無理せず頑張ってください。

どうも失礼しました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪
そのうち芝臣さんのコメントのほうが、私の記事より長くなるのではないか、と思ったりもする今日この頃ですcoldsweats01

「夢・幻に囚われる」のは、ファンタジーでは割とお約束なパターンです。が、いざ例を挙げてみようとすると、案外思いつかない…。
助かるパターンとしては、幻が現実と矛盾して「幻だ」とバレて崩れ去ることもあれば、怪我などの痛みによって現実に引き戻されることもあります。
痛みによるパターンをさらに分けると、術にかけられた者が自らを傷つけて正気を保つ場合と、親しい誰かがひっぱたいてくれるなどで目が覚める場合があります。
と、そのくらいは説明できるのですが。

「夢の牢」では、誰が誰の夢を見たかと、誰が誰を目覚めさせられるかで、人間関係のおさらいをしています。
意外に声の届かない組み合わせもあれば、意外に声の届き合う組み合わせもあります。
ちょっとマニアックに楽しんでいただけたなら幸いですwink

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