2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

ひとこと通信欄

  • (2017/8/13朝)創作活動が進みません~。少しばかり夏休みをいただきます~。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 予告:「暗殺者」 | トップページ | 暗殺者(02) »

暗殺者(01)

 さびれた裏街道で、突然、背後に強い殺気を感じた。
 馬上で振り向きざま、黒髪の若者は短剣を投げつける。
 何か唱えかけていた刺客の胸に、短剣は深々と突き刺さった。道端に、どうと倒れる男。
 若者は馬を返し、下りて確認した。
 黒衣の男の息は、既になかった。
 若者は祈りの言葉を唱え、手をすっと動かして死体を消し去り、短剣を拾い上げた。
 ほんのわずかな間の出来事だった。

 この間、旅の連れは傍らに馬を止め、ずっと無言だった。
 黒髪の若者は、いくらか気まずく感じて、つい、言わずともよいことを口にした。
「セレン・・・人を殺めたことは?」
「あるよ」
 長い金髪の若者は、さらりと答えた。そして、気分を害したように続けた。
「何をいまさら。ぼくが動揺したようにでも見えた?」
「いや・・・すまない」
 ゼラルドは戸惑いながら、つい、要らぬ謝罪まで口にしてしまった。
 そのせいで、セレンのほうも戸惑ったようだった。
 二人はまた馬を並べて進み始めたが、奇妙な沈黙が落ちた。

 どういう心境か、沈黙を破ったのは、セレンの、こんな言葉だった。
「もう何年も前のことだけれど」
 ゼラルドは特に相槌を打たなかったが、セレンはかまわずに続けた。
「フルートと二人、城下町のはずれで、夕暮れ時、ならず者たちに囲まれてしまったことがあった。相手は、そこそこ腕の立つごろつき、といったところだったけれど、人数は多かったから、ぼくは手加減する気はなかった」
 ゼラルドは黙って耳を傾けた。
「もともと、ぼくたちは剣術の教師から、敵には容赦するなと教わっていた。ぼくたちに何かあったら国が乱れる、というだけではなく、また、単に油断は禁物だからというだけでもなく、中途半端に傷つけて逃がしたら、かえって禍根・怨恨を残すから、と。
 実戦は初めてだったけれど、敵の動きはきれいに見切れて、体は教わったとおりに動いた。自分が手を抜いたせいで剣の主を傷つけられることのないように、と思った。戦いはごく短時間で終わった。ぼくは自分が相手をした敵を、みな斬り殺していた。人を殺したのはそれが初めてだった。でも、振り返ると、フルートのほうは、首領らしき男を縛りあげていて、その他に人影はなかった。つまり、脅すだけで逃がしてやったわけだ。フルートは何気なくこちらを見て、惨状を知ると、呆然とした顔をした」
 ゼラルドは息をつめた。

人気ブログランキングへ

« 予告:「暗殺者」 | トップページ | 暗殺者(02) »

コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「暗殺者」(01)、じっくりと拝読いたしました。

・・・しかし、いや、どうもすいません(汗)。それっぽいタイトルだと、ついチャンバラを期待してしまう困ったヤツで(滝汗)。
おかげで雪村さんにも余計な手間をかけさせてしまって、まったくもって申し訳ないです(川汗)。

さて、それはそれとして。

今回は、予告にたがわず、冒頭からハードですねえ。
あの黒衣の男はいったい何者なのか、やはりローレインからの暗殺者だったのか、真相は明かさないまま、さらにストーリーは続きます。

で、こういう時のセレンは実にクールです。なので彼が単なる色男・優男ではない証拠でもあります。

しかし・・・その凄惨な人斬りについて、果たしてセレンはいったいどんな表情で語っていたんでしょうか。そして、セレンの人斬りの結果を見たフルートの反応はどうなのか? 次回が待ち遠しいです。

ちなみに参考までに書くと、ロシアの文豪・ドストエフスキーの作品(おそらくは『白痴』か?)の中に
『人を殺した者は人間の埒外にとび出してしまった者だ』
といった意味の文章があるそうです。
すなわち人殺しとは『人でなし』であるのだそうです。
(『柳生非情剣』あとがきより/隆慶一郎)

今回のエピソードを読んで、なんとも考えさせられるところではありました。

なんにせよ、次回の結末を大いに期待しておりますので、どうぞ心身を落ち着かれてお書きくださいませ。

また、余計なことを書いてしまったかもしれません。その際はどうぞお許しください。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

ためらいなく敵に短剣を投げつけるゼラルドのことも、
初めての実戦で悪者たちを斬り捨てたセレンのことも、
やっぱりいろいろ、作者としても考えます。
武器を携えるということの意味、とか・・・think

人を殺めて「人でなし」になった人は、
どこまで「人」に戻れて、どこから戻れないのでしょうね。

雪村さんこんばんは

早速拝読しました…

降りかかる火の粉を払う事と命の重みと言う事で難しいお話ですね

セレンの言葉の
剣術の教師云々…は雪村さんの言葉でもあると思います

正当防衛だし、数的不利の状況下で刀剣携行を許される法の中においては、合理的選択肢として有り得る事と思います
実力行使を避ける努力は必要でしょうが、互いに抜刀、又は銃をホルダーから外した状況下に至っては迷いや容赦は誤りとも思います

相手の刃が届く所で自らも身を晒す訳ですから
お命頂戴お覚悟!
命を奪う覚悟すなわち自らもまた命を落とす覚悟が必要という事かと…

そのうえでゼラルドが言わずともいいことを言ってしまっているのは
葛藤があるからだという風に解釈しました

必要な選択だったけれど、その痛みや重さを忘れてひとでなしにならないで欲しいというヒーロー像かなぁと感じました

ではまた

とり3さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

そうですね。「撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ」 …ですね。
(by フィリップ・マーロウとか、コードギアスのルルーシュとか)

ゼラルドが少し揺れたのは、同行者のせいもあるのかな、と思います。
一緒にいるのがフルートだったら、たぶん何も言わなかったと思うので。
行動を共にする人が異文化に属している(と思っている)とき、ふだん押し込めている自分の葛藤が表に出てしまうことって、あるような気がします。

雪村さんこんばんはhappy01paper

幾度もスパムで弾かれやっとコメし直しですcoldsweats01

フィリップ・マーロウ
movie映画のハンフリーボガードのイメージですが
shadowハードボイルド小説の原作のほうからでしょうか?

マーロウ本人の台詞では無いですが
「ギムレットには早すぎる」とかも含め
チャンドラー作品の有名な台詞がWikiに沢山載ってますね

コードギアスのルルーシュ…
ゲームよりもアニメ原作が先にあったのですね
勉強になりますwinkgood

色々深みのある世界観や美学
作品の奥行きは幅の広い守備範囲の恩恵かと

ゼラルドは・・・
スパイスの様にパーティーの面々に作用する役どころでしょうか
微妙な三角関係になってきつつあるのか気になる所でもあります


読むのは直ぐなのですがなかなかカキコ迄はできず…
cdROMでコソっと読み逃げですがご容赦をm(__)m

また、偶にふらっとコメで立ち寄らせて戴きます

ではまた

とり3さん、こんにちは。雪村です。
めげずにコメントしてくださって、どうもありがとうございます♪

フィリップ・マーロウは、映画のほうは見ていないですし、
コードギアスは、ゲームのほうには手を出していないので、
それほど守備範囲が広いわけでもないです~。
こちらこそ、コメントをいただいて勉強になります☆

微妙な三角関係・・・。よく見てくださっているのですね。
読み逃げOKですから、また気の向いたときにはお立ち寄りくださいconfident

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/56993246

この記事へのトラックバック一覧です: 暗殺者(01):

« 予告:「暗殺者」 | トップページ | 暗殺者(02) »