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暗殺者(02)

 セレンは淡々と続けた。
「ぼくのほうは、フルートがなぜそんな手加減をしたのか、よくわからなかった。彼だって、そう実戦に慣れているはずはなかったから、手加減するほうが難しかっただろう。
 そう思いながら、ぼんやりフルートを見ていたら、フルートは慌てて、『違うんだ』と言った。何が違うのだろうと思ったとき、わかってしまった。フルートはたぶん、ぼくが人を殺したくないだろうと思って、ぼくに嫌な思いをさせないために、敢えて敵を逃がしたのだと。それなのに、当のぼくは、自分に襲いかかって来た敵を皆殺しにしてしまったわけだ。きわめて一方的にね。
 ぼくは急に気分が悪くなって、その場に膝をついて吐いた。フルートはとんできて介抱してくれて、ものすごく真剣な声で、ありがとうと言った。ぼくが落ち着くまで、ずっとそう繰り返していた」
「・・・」
 また長い沈黙が落ちた。今度の沈黙を破ったのも、セレンのほうだった。
「さっき君が始末した刺客は、君が先手を取らなければ、君を殺していた。それくらいはわかる。もし、再び刺客が現れることがあっても、ぼくに気を遣う必要はないからね」

 フルートとフィリシアと合流し、宿に到着した後、ゼラルドは馬小屋で、たまたまフルートと二人だけになった。なにげなく、尋ねてみた。
「フルート。君は、セレンの剣の主なのか?」
 金髪の若者は、不思議そうな顔で振り向いた。
「なぜ、そのような話に?」
「違うならいい。ぼくの勘違いだ」
「いや、合っている。だが、どういう状況で、その話になった?」
「・・・刺客に襲われた」
 ゼラルドは言葉に迷いながら言った。その後のやり取りを、何と説明したものか。
 フルートを取り巻く空気が、すうっと冷たくなって、ゼラルドはぞわりと総毛だった。
「セレンに殺させたのか」
「違う。ぼくの刺客に、ぼくが対処した。そのあとで聞いた」
「ふうん」
 ゆっくり瞬きひとつして、フルートの温度は元に戻り、ゼラルドはほっとしながら、
「思い違いでなければ、内陸では、国王に対する忠誠が絶対だったはずだが・・・」
「正しい。セレンひとりが例外だ。時期が良かった。セレンには言うなよ」
 フルートは、屈託なく、にこっと笑う。
「その頃、一緒に勉強する友達が欲しいと言ってみたら、予期したとおりセレンの名が挙がった。儀式でセレンがぼくに剣を差し出したとき、父や母や博士たちは、誰かがディア家に打診して、向こうも了承したと受け止めたんだ」
「そうか」
 納得して場を離れようとしたゼラルドを、フルートの声が追いかけて来た。
「ゼラルド、君はいいのか」
 意味を測りかね、足を止めて振り返ると、フルートは、澄んだ青い瞳で、まっすぐにこちらを見つめていた。
「君は、この先もぼくたちに同行することを選んでくれた。だが、追われているのなら、この方角は危険な道だ。君は何か隠している。何なのかは聞かないが・・・自棄になるなよ」
「・・・心に留めておこう」
とだけ、ゼラルドは答えた。それでも時は無慈悲に過ぎてゆくと、知っていたけれども。

(完)

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