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ひとこと通信欄

  • (2017/8/13朝)創作活動が進みません~。少しばかり夏休みをいただきます~。

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SF「夜景都市」(未完)

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2013年4月

(あの子どこの子)(02)

 翌日の午後。ルークがいつもの広場に来ると、仲間のニルスが「こっち、こっち」と手招きをした。もうひとつの、噴水のある広場のほうへと歩き出す。
「きのうルークが帰ったあと、恋人役の女の子、決まったんだぜ」
「なあ、ずっと言ってるけど、俺、そういう面倒なこと、やる気ないからな」
「それがさ、ルークの知らない子なんだ。ほら、あそこ、噴水の脇。あっち向いて立ってる綺麗な子。見えるだろ?」
「知らない子? 余計わけが分からな・・・」
 言いかけた言葉が途切れて、ルークの目が真ん丸くなった。
「・・・ええええええっ!」
 視線の先では、深緑色のワンピースを着た金髪の少女が、頭の両脇で輪にした三つ編みを深緑色のリボンで留めて、うつむき加減に横顔を見せて立っていた。
 ルークは弾かれたように、まっしぐらに少女のところまで駆けて行った。真正面に立ち、少女の頭のてっぺんからつま先まで眺めて、つま先から頭のてっぺんまで眺め直して、目を丸くしたまま、やっと言った。
「なあ! いやなことは、いやだって言っていいんだぞ!」
 少女は、伏せていた長いまつげを上げた。緑の瞳と、薄く紅を刷いた唇に、はにかんだような微笑が浮かんだ。
「いつ、気が付いた?」
「いつ、って。ひとめ見れば気が付くことだろ」
「それなら、ニルスとの賭けはぼくの勝ちだ」
 そう、それは少女の装いをしたセレンだった!
 ニルスはあとから追いついて来て、
「ちぇっ、あの距離なら絶対ばれないと思ったのに。でも、ルークすげー驚いてたな。あはは!」
 ルークがあたりを見回すと、広場のあちこちから、様子をうかがっていた仲間たちがわらわらと集まって来た。口々に、「ばれないと思ったのに」「なんで分かったの」などと言いながら、ルークの驚きぶりが可笑しかったらしく、体を折って大笑いしている子も多い。
 ルークの機嫌が悪くなる前に、セレンは急いで言った。
「無理強いはされてないよ。ぼくが自分で、やるって言ったんだ」
 仕立て屋のパティがうなずいた。
「助かっちゃった。セレンなら安心だもん、みんな納得したわ。洋服は、あたしの姉さんの、よそゆきを借りたの」
「ふうん・・・」
 ルークは仲間たちを見回した。宿屋のアリスがいないようだ。パティが気付いて、
「アリスなら、家の手伝いをしてるわ。ローザが到着したら、教えに来てくれることになってるから、それまで二人は、噴水の前でおしゃべりでもしてたらいいと思うわ」

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次回は次の土曜かも…(>_<)

(あの子どこの子)(01)

 幼なじみの少女たちは、最近大人びて綺麗になって、なんだか以前とは別人になったかのようだ・・・と、思っていたのだけれど。
 その日、セレンが広場に来てみると、何人かの少女が、泣きわめきながら、髪を引っ張ったり、爪で引っかいたりして、つかみあいのケンカをしていた。周りを仲間たちが取り巻いて、ケンカを止めようとしているのだが、割り込めない。
 ルークが、うんざりした顔で声を張り上げていた。
「なあ、いいよ、もう。俺がしばらく来なければいいだけだろ」
「「そんなの、だめっ」」
と、一斉に振り向いて目を吊り上げる女の子たち。それはそうだろう、都の少女たちは、ほとんどがルークに片思い中だ。この快活で凛々しい金髪の美少年が、今日は来るか、明日なら会えるだろうか、と、毎日楽しみにしているのだから。
 ちなみに、女の子たちが密かに協定を結んでいることも、セレンは知っている。ルークについては、誰も抜け駆けしないこと、誰も独り占めしないこと。そう言いながら、ルークが都に来ている日は、皆あわてて家に戻って、髪型を整えたり、化粧をしたりして戻って来る。そのへんの事情に気付いていないのは、おそらくルーク本人くらいだ。
 で、今日のこの大騒ぎは、いったい、どういうわけだろう?
 ルークは、セレンに気づくと、ほっとした顔をした。
「セレン、ちょうどいいところに。あと、まかせるから」
「えっ」
「また明日な!」
 まぶしい笑顔を残して、走り去ってしまった。こんなとき、ルークは少しずるい。
 が、ルークがいなくなると、女の子たちは毒気を抜かれたように静かになった。セレンが皆に事情を聞いてみたところ、だいたいこんなふうなことだとわかった。
 以前、よその街から、宝石商が娘を連れて訪れて来たことがあったという。それは「セレンのいない日だった」そうで、ローザという娘は警護付きで遊びに出て来たが、「つんとお高くとまっていた」ので、都の仲間たちは良い印象を持たなかった。何より皆の反感を買ったことに、ローザはルークを一目見るや、「あの子のお父さん、お金持ち?」と尋ね、たぶんそうだという回答を得ると(都の子供たちは何となくそう思っていた)、ルークに駆け寄って腕を組み、何度振り払われても、一日べったりでルークを困らせたのだった。
「その子が、また来るのよ! 明日の午後から1週間!」
と、宿屋のアリスが、憤懣やるかたないという口調で言った。仕立て屋のパティが続けて、
「だから、誰かがルークの恋人のふりをしようってことになったの」
「それで、あたしがやるって言ったのに、パティが」
「アリスは絶対だめよ! どさくさに紛れて何かするに決まってるじゃない」
「だって恋人らしく見せなくちゃ」「ほらね、だからあたしが」「ちがう、あたしが!」
と、また周りを巻き込んで騒ぎになりかけるのを、雑貨屋のエリナが止めた。
「ねえ、ケンカしないで! 落ち着いて話し合おうよ」
「エリナはいいわよねー。関係ないもんねー。別のひとが好きなんだもんねー」
 アリスは意地悪く言ってから、はたと気が付いたように、
「あ、そっか。じゃあ・・・エリナなら、許す。どう、パティ?」
「なるほどね・・・わかった、エリナなら許す。特別に、ルークと腕を組んでもいいわ」
「えっ、あたし? ルークの恋人役なんて・・・やりたくないんだけど」
「わがまま言わないの。エリナなら、ルークとキスとかしないでしょ。安心だもん」
「キスなんて、するわけないじゃない! ねえ、あたし、ほんとに嫌なんだけど」
 エリナは困りきった顔でセレンのほうを見た。助けて、と顔に書いてあった。それでセレンは、よく考えるひまもなく、つい、思いついたことをそのまま言ってしまったのだ――。

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予告:(あの子どこの子)

お待たせしております。
かろうじて目処が立ったので、予告だけ出させていただきます~。

セレン(+ルーク)の番外編です。
全3回か4回です。

今週も、物を書く時間はあまり取れないので、
スタートが火曜日で、2回目は土曜日になるかと思われますsweat01

よろしくお願いいたします。

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作者より:状況報告(20130420)

今週も「あっ」というまに過ぎてしまいました。
こんなに早く過ぎてしまうとは…sweat02
まだ書き出しを模索している段階です。

土日は頑張りどころですが、創作以外にも色々あるため、良くて「予告記事が日曜夜」になりそう。
それより前にチェックしてくださる方のために(ありがとうございます)、状況報告を更新しておきます。

それでは、いましばらくお待ちくださいませ。
んー、タイトルも決まらないなあ…。

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作者より:状況報告(20130415)

楽しいイベントも、楽しくないイベントも、春だから(?)詰め詰めです。
この1週間、創作ぜんぜん進みませんでした・・・bearing 

しかしながら、いろんな体験が物語を育てると考えれば、これはこれで良いのでありましょう。
そして、改めて目次の並び順など眺めつつ考えてみるに、やっぱり次回は、ルークとセレンの番外編になりそうな気がします。

次回の更新は週末になると思います。
予告記事が書けたらいいなあと思います。
いましばらく、お待ちくださいませ。

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作者より:「甘い、すっぱい」

今までで、いちばん地味なお話かもしれませんcoldsweats01 
「特別な出来事は何もなかったけど、ほんのり何かが色づいた気がする」読後感を目指しました。
そうなっていなかったら、「ただの地味な話」なので、しばらく様子を見たあと、んー、どうしようかな。

登場人物を紹介する記述がない点については、反省しつつ、力の限界を感じています。
どの話も独立して読めるのが理想とは思いつつ、今回のように全部すっとばしちゃうことも…。
さしあたりはご堪忍くださいsweat02

それでは、また一週間後に、予告または状況報告の記事でお会いしましょうwink

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甘い、すっぱい(02)

 何の苦労もなかった。するすると器用に木を登ったフィアは、控えめにいくつかの実をもいでカゴに入れ、あとは太い枝の根元近くに座って、しばらく見晴らしを楽しんだ。
(子供の頃なら、もっと高くまで登れたけれど。今はもう、体が重くて無理ね・・・)
 流れる雲を見ていると、徐々に日は傾いて、西の空は美しいオレンジ色に染まっていく。ずっと眺めていたかったが、足元が暗くなる前に降りなければならないから、一番星を見つけたところで撤収することにした。まずは、ロープのついたカゴが先だ。
 カゴを下ろしていると、下から声をかけられた。
「おーい、フィア! セレンに見つかったら叱られるぞ!」
 戻って来たフルート王子、というより、フィリシアをフィアと呼ぶなら王子のほうも、身分を伏せたルークと言うべきか。ともかく、金髪の若者は手を伸ばして、果物の入ったカゴを受け取ってくれた。
「いま降りるから、ちょっとあっち向いてて!」
「いいけど、落ちるなよ!」
 フィアは一歩ずつ慎重に降りて、とん、と地面に帰り着いた。
「カゴ、ありがとう。セレンは一緒じゃなかったの?」
「途中で置いて来た。こいつが走りたがったから」
 ルークの横では、愛馬がぶるると鼻を鳴らしている。抜きんでて俊足の白馬だ。
 カゴの中を検分したルークは、率直に、
「これ、すっぱいんじゃないか?」
と言う。フィアは答えて、
「砂糖漬けか、蜂蜜漬けにしようと思って。あなたたちも食べるでしょ?」
「飲みものに入れたいな。砂糖漬けでも、すっぱいのでも。でも、もう少し向こうに」
 カゴをフィアに預け、すたすたと歩いて行って、ルークは一本の木の下で跳び上がり、ひとつ実をもいだ。
「ほら、すこし甘いやつ。このまま食べられる」
 種類の違うティルの実を、カゴに入れてくれた。フィアは目を丸くした。
「ありがとう、気が付かなかったわ。こっちを取れば良かったかしら・・・」
「砂糖漬けにするなら変わらないだろ。けど、こないだ思ったけど、君はさ、こんな感じだよな」
 ルークは同じようにして、もうひとつ取り、きゅっと拭って、皮ごとかじりつく。
「こんな感じって?」
「甘すぎなくて、さっぱりした感じ」
「えっ? えーと・・・えーと・・・ありがとう」
「うん」

 ほどなくしてセレンが戻って来て、ゼラルドも帰って来て、みんなで簡単な食事をしたあと、フィリシアがお茶を入れた。
 お茶の中には、切り分けられた、甘くてすっぱい果物が一切れずつ入っていたが、どこの王女様が木に登って取って来たのかは、フルートとフィリシアだけの秘密なのだった。

(完)

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甘い、すっぱい(01)

 まだ日が落ちるまでには時間があったが、次の村は遠いのだそうだった。
 今日は村外れの空き家に泊めてもらうことにして、日没まで自由行動になった。

 いつものように、最初にゼラルドがふらりと姿を消した。誰にも見られない静かな場所で、黒髪の王子は聖札を使ったり、術の鍛錬をしたりするのだ。
 次いで、フルートとセレンが、明日の道を下見して来るからと、馬の荷を軽くして二騎で出かけて行った。
 誰について行っても邪魔になるだろうと思ったフィリシアは、「行ってらっしゃい」を言って、一人で居残った。逆に言えば、一人で残らせてもらうことができる程度には、みんな旅に慣れて来て、姫君にも多少はひとりの時間が必要だし、非常識な無茶もしないだろうと、信用してくれるようになったということだ。
 今晩泊まらせてもらう空き家を片付けておこうかしら、とも思ったものの、よく晴れていたので、青い髪の姫君は、せっかくだから村の周りを散歩することにした。

 ぐるりと村を一回りしてから、土手を上って、今日やって来た道に出てみた。明日はこの道を東に向かう。
 東のほうに体を向けたフィリシアは、少し離れたところに、道沿いに立ち並ぶ木々を見つけた。その枝ぶりから、もしかしてと思って歩み寄ってみれば、思った通り、ほとんどがティルという果物の木で、いくつも実をつけていた。
(でも確か、この季節に実る種類は、すっぱいのではなかったかしら)
 思いながら見上げると、それでも、手の届く範囲は既にもぎ取られているようだ。
(お砂糖か蜂蜜に漬けておいたら、美味しくなるのだけれど・・・)
 この村で砂糖や蜂蜜が手に入るかどうかは分からない。だが、もぎ取られている実があるということは、食べている者があるということだ。そう思いながら、フィリシアは木の根元に視線を下げて、目をぱちぱちさせた。そこには、持ち手にロープを結びつけた、小さな手持ちカゴがあった!
(収穫用、よね? 共用のカゴ、よね? ということは、つまり・・・)
 姫君、というより、今は身分を伏せたおてんば娘のフィア、は、左右をきょろきょろと見てから、カゴを拾い上げ、持ち手を腕に通した。
 頑丈そうな木を選んで。
 幹に手をかけた。

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予告:「甘い、すっぱい」

仮タイトルです・・・sweat02 
たくさん考えたけど、どれも気に入らなくて。
そして、例によって、しばらくはこのままだと思います。

フィア(+ルーク)の日常のお話。
長めの全1回か、短めの全2回になります。

土日のどこかで更新します。
よろしくお願いいたします。

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