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  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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(あの子どこの子)(04)

「そうなの?」
と、セレンはルークを振り返った。不安げな表情を作ってはいるが、ルークが何と答えるか面白がっていることが、瞳に透けて見える。ルークは大まじめな顔でセレンを見つめ返して言った。
「君を初めて見たときから、綺麗な子だと思ってた。でも、いま君のことを大切に思うのは、見た目のせいじゃない。君が繊細で、優しくて、その魂の色が美しいからだ。顔がどうとか、胸がどうとか、そんなことはどうでもいい。他の誰よりも、君が一番、特別に大事なひとなんだ」
「ルーク・・・」
 セレンはびっくりしたように目を大きくした。というのも、ルークと会ってまだ間もない頃、都の子供たちとルークの仲の良さにセレンがやきもちを焼くと、ルークは今の台詞と似たようなことを言ってセレンを落ち着かせてくれたものだったから・・・なのだけれども、いま聞くと、どれだけ恥ずかしいことを言わせてしまっていたのかがよくわかる! セレンは目を伏せ、うっすらと頬を染めた。
 ローザは脇で、こぶしを握りしめ、わなわなと震えながら何事か喚いているようだった、が、ルークとセレンのほうは、半ば、もうどうにでもなれという気持ちだった。そっと顔を寄せて、形ばかり、キスを・・・する直前に、ものすごい勢いでローザが割って入って、二人を引き離した。二人はちらりと視線を交わして苦笑した。良かった、止めてもらえた、な。
「ばか、ばか、ばか! せっかく私が、好きになってあげたのに!」
 ローザはぽろぽろと泣いていた。ルークは、向き直って、少し困ったように、
「ローザはさ、俺のどこが好きなわけ?」
「顔が良くて、お金持ちなところ!」
「それって、俺でなくてもいいんじゃないか?」
「だめ。他にそういうひと、知らないんだもん」
 ルークは迷いながら言葉を重ねようとしたが、セレンが制して、一言、静かに、
「ごめんね」
と言った。ローザは、さっとセレンのほうを向き、打とうとするように手を振り上げたが、ルークに「おい!」と咎められると、手を下げた。二人の顔を見比べたあと、ぴたりと泣くのをやめ、
「もう知らないっ!」
 叫んで踵を返し、走り去って行った。うしろ姿が見えなくなったところで、二人はそっと、つないでいた手をほどいた。
「行っちゃったね。けっこう可愛い子だったね」
「は? どこがだよ」
 ルークはげんなりした様子で、
「俺たち、これを1週間やんなくちゃいけないわけ?」
「ううん、今日だけ。決着はついたんだし、ほとぼりが冷めるまで、来なければいいよ。ニルスに賭けで勝ったから、みんなも文句は言わない約束」
「へえ! もしニルスが勝ってたら?」
「1週間、やらなくちゃいけなかったんだ。君が来ようが来なかろうが、ぼくがこれをさ」
 セレンは肩をすくめて、スカートをつまんで見せた。
「ルーク! セレン!」
 仲間たちが、わらわらと近づいて来る。女の子たちは顔色を変えている。
「ちょっと! さっき、二人でキスしてなかった?」
「してねーよ、ばーか!」
 ルークは取り囲まれてしまう前に、
「じゃ、あと、まかせたから」
 するりと抜けて、逃げて行ってしまった。

 ローザは大人になってから、幸せな結婚をして、宝石商の跡を継いだ。優秀だったので、王家にもディア家にも出入りするようになったが、国王にも、ディア家当主にも、子供のころ会ったことがあるとは、ついに気付かなかった。面白がったセレンが、自分と同じ色の髪を受け継いだ娘に、あのときのセレンと同じ髪型をさせ、深緑色のワンピースを着せていたときだけ、はっとして親の顔を見直したが、彼女がチェックしたのは父親でなく母親の顔だったから、やっぱり気が付かなかったのだった。

(完)

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

「あの子どこの子」(04)、すなわち完結、どうもお疲れ様でした。
予定よりも一日早いアップに、私も正直、驚いてしまいましたが、体調の方は大丈夫でしょうか?

まあ、それはともかく。

冒頭から途中までこちらはハラハラし通しでしたよ(苦笑)。
まずルークの「告白」のセリフは、とても女心がわからない朴念仁とは思えない、極上のラブソングのような甘く、それでいて真摯なもので、思わず小田和正とかビリー・ジョエルとかエルトン・ジョンあたりのCDを探ってしまいました(笑)。

まあ、即興ではなく、原型は以前に言っているとのことですが、それも相手はセレンなんですから、こういうところでこの二人の仲に疑いの目が向けられることにもなっちゃうんですよねえ・・・コワいコワい。

そしてコワいといえば、問題の接吻シーン! あれはもうマジでしたね。ローザが強引に止めなかったら、完全にやっちゃっていたでしょう。そりゃあ「ルークLOVE」の女の子たちは心穏やかではすまされないだろうなあ、と思います。

それと、これはあくまでも想像なんですが、ローザはこの一件を除けば、結婚するまで相手を振ることはあっても、二度とフラれなかったんじゃないかなー、という気がしますね(苦笑)。あるいは、大幅に性格が変わって乙女らしくなったとか。・・・むろん勝手な推測ですが。

それにしてもフルート「陛下」や、既婚者となったセレンの姿をチラッとでも見れたのは嬉しかったですね。セレンはあんまり性格は変わっていないようですが、さて、奥様は一体、誰なんでしょうねえ。・・・まあ、今はいろいろ、想像の翼を広げさせてみたいとおもいます。

ともあれ、今回はある意味、舞台演劇にもなりそうなコメディ・タッチのエピソードで、最後のBL的展開も含めて、非常に楽しめました。GWの不規則な日程の中、本当にお疲れ様でした。どうぞしばらくはゆっくりと心身をお休みになって、じっくりと次回作についてお考えくださいませ。

ほんとうにどうもありがとうございました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
コメントありがとうございます♪

春の多忙なスケジュールは落ち着きつつあり、体調もまあまあ安定しています。
お気にかけていただいて、ありがとうございます。

で、以前より事あるごとに、ルークとセレンの仲が怪しく見えるとおっしゃるのは、私の知る限りでは、芝臣さんお一人なんですけど…(笑)
とはいえ、今回は確かに、少しそれっぽかったかなあと思うので、気持ちわるいと言わずに楽しく読んでいただけたのは何よりでした。

個人的には、セレンがローザを見送ったあと、「可愛い子だった」と感想を述べるのが、彼らしくて気に入っています。

どうも、度々すみません、雪村さん。芝臣です。

ええー、そんなにBL疑惑を連発していたかなあ・・・?

うーん、ちょっと自信がなくなってきた・・・(汗)。

ま、まあ、もし、雪村さんが作者的にどうも違和感があるなどの問題があるとおっしゃるなら、こちらも意識して自重することに異存はまったくありませんし、そもそも冗談の範疇でのつもりだったので、別に真剣に疑っていたわけでもありませんしねえ(苦笑)。

なんにしても、あの二人が本来は「健全」であることはわかっているつもりなんで、その点はまったく大丈夫です。一応、念のため。

ああ、やれやれ(頭をかく)。

いや、どうも失礼いたしました。
それでは、また。

芝臣さん、こんにちは。雪村です。
フォローありがとうございます♪

芝臣さん個人のご感想としてなら、愉快なときも不快なときも、言っていただいて構いませんよ~。
「そうか、そういう見方もあるのか」と、参考になります。
よろしくお願いいたします☆

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