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石の大蛇(04)

 セレンは、まだ燃えているたいまつを拾い上げた。空になった石の台座の上で、四隅の明かりがシュンと消えて、真ん中に白い魔法陣が浮かび上がった。
「帰れと言わんばかりだが」
と、フルートは暗い部屋の中を見回した。骸骨だった灰の散らばる中に、大蛇だった石の塊がごろごろと転がっている。
「一日たてば元通りなのかもしれない。入口を封印できるか、ゼラルドに相談してみよう」
「・・・そうだね」
「君が来てくれたおかげで早くカタが付いた。なぜここに?」
「え?」
 探しに来たら鈴の音が聞こえて、と答えかけて、セレンはフルートの質問の意味に気づいた。守るべきフィリシアを放り出して来たのか、ということだ。
 ゼラルドに任せて来た、という答えは、口にしようとしたセレン自身を驚かせたので、言葉にならなかった。フルートのほうも、怒る気配はなく、むしろ可笑しそうな顔をして、それ以上は尋ねず、代わりに、
「この魔法陣の先が、帰り道でなく新しい蛇の部屋だったら、半分まかせるからな」
と言った。
「うーん、そろそろ剣は限界だと思うな」
「ゼラルドのまじないか?」
「・・・うん」
 二人が踏み入った白い魔法陣の先は、ありがたいことに、元の部屋だった。神殿の入口まで戻ってみると、東の空は、うっすらと白み始めていた。

 青い髪の姫君は、毛布にくるまって、荷物を枕に、すやすやと眠っていた。日中はいつも、にこにこと笑顔を絶やさず、泣き言ひとつ言わないが、本当は疲れているのだ。
 ゼラルドは火の番をしていたが、二人を見ると立ち上がった。若者たちはフィリシアを起こさないように、ひそひそと話した。
「セレン、君の剣を見せてくれ」
 ゼラルドに言われて、セレンは剣を抜き、まずは自分がしげしげと眺めた。この旅のために名匠が打ってくれた剣だったが、なんだか剣の生気が――もしそういうものがあるのだとして――失われている気がした。
 トン、と剣の切っ先を地面に突き立ててみると、剣は半ばからポキリと折れてしまった。驚いたものの、なんとなく、納得はした。ゼラルドが冷ややかに、こう言うまでは。
「なぜ、君はそう愚かなのだろう。ぼくは、剣を見せるようにと言ったのだ。折れる前なら、まだ手の打ちようはあったのに」
「・・・そういうことは早く言ってくれ!」
「君がぼくの言うとおりにしていれば良かっただけの話だ」
「言い方というものがあるだろう」
「二人とも、そのくらいで」
と、フルートは遠慮なく割って入る。
「折れてしまった以上、大きな街で新しくあつらえるしかないな。それよりゼラルド、一緒に来て神殿の奥を見てくれないか」
 セレンとゼラルドは、ちらりと不機嫌なまなざしを交わして、交代する。
 朝日がゆっくりと昇りつつあった。もうじきフィリシアも目を覚ますだろう。
 いつも通りの平和な朝が、訪れようとしていた。

(完)

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コメント

生きるということは・・

悲しいかな 何かと戦い
自分を守り、
誰かを守るということなのかと思います。

希望と悲しみ・・
ワンセットで、二人三脚。

彼らの旅に幸多かれと
祈りますshinehorse

P.P.montiさん、
コメントありがとうございます♪

誰かを守ることで自分を守り、
自分を守ることで誰かを守れるけれど、
ときには、自分を投げ出さなければ
大切な何かを守れないこともある…。

大切なものが増えると、そのぶん、
強くもなれるけれど、弱くもなります、ね。

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