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(逃避行)(01)

 その贈り物を、王子は一目見て気に入った。――と、リオンはすぐに気が付いた。
 それまで退屈を装って、椅子の肘掛けに物憂げに頬杖をつき、冷めた目で使者たちを見やっていた王子が、ほんの一瞬、その瞳に驚いたような表情を浮かべていた。喜怒哀楽を殺して久しい王子が、つい見せてしまった、わずかな心の動き。
 もちろん、リオン以外の誰にも気づかれることのないまま、その驚きは速やかに、冷笑によって上書きされてしまった。玲瓏な声が、そっけなく使者に告げる。
「役目、大儀であった。それは従者に世話をさせよう」
 何か褒め言葉を期待していたのかもしれない使者は、努めて落胆の色を見せないように、贈り物をその場に置いて、挨拶の言葉を述べ、引き下がった。王子の従者であるリオンは、進み出て、その贈り物を引き取った。
 雪月7日。聖なる国ウェルザリーンの、第一王子の誕生日を祝う宴において、幸い死者は一人も出ることなく、人々を安堵させた。王子は山と積まれた金銀宝石には一向に興味がない様子で、召使たちに片付けをまかせ、義妹のユリア姫に乞われて少し踊ったあと、いつもの無表情で自室に引き上げてしまった。

 リオンは、ただひとつ王子から預かることになった「贈り物」を、大切に王子の自室に持ち帰った。王子は自室に戻るとすぐ、興味深げに、その「贈り物」をのぞきこんだ。「贈り物」は、まるで新しい主人を既に覚えたかのように、
「ご機嫌うるわしゅう、ゼラルド様」
と、なめらかに話した。つい先刻、使者が得意顔で覆い布を取り去ったときと同じだった。
 それは、金の鳥籠に入った、大きな、鮮やかに赤い鳥だった。翼の中ほどは黄色くて、翼の先と、長い尾は、明るい青色をしていた。クチバシと足はオレンジ色。南国から来た、賢く珍しい鳥なのだそうだった。
「この鳥は、飛べるのだろうか」
「元は飛べたのでしょうけれど、贈り物の鳥ですから、風切り羽を切ってあると思います」
「ああ、そうだね・・・」
 王子はしばし無言で赤い鳥を見つめたあと、
「ぼくの部屋に置くと、ユリアがやきもちを焼くかもしれない。隣の部屋に下げて、そなたが世話をしてくれるだろうか」
「かしこまりました」
と、リオンは微笑して応じた。もちろん、言われる前から、そのつもりでいた。
 もう夜だからと、再び覆い布をかけようとすると、鳥は「おやすみなさいませ」と言った。
 王子とリオンは顔を見合わせ、それから、二人で鳥に向かって、おやすみと言った。
 王子の表情が常になく和らいでいることを、リオンは、素直に、嬉しいと思った。

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コメント

雪村さんこんばんは
執筆活動お疲れ様です(#^.^#)

従者試験を読了しまして
ついでにクルミの行方も読んだので
どうやらやっと連載に追いつきましたw

騎士隊長の息子…先にストーリーに絡んでいた兄と弟を
取り違えて、彼が試験で従者になるのかと
思ってましたがそういえば
確かに王子に好意的な弟君も言及でしっかり伏線がありました^^;


聖王家の白き竜の王子が素の顔を覗かせる早朝のひと時
小鳥好きもこのことかと合点がいきましたw

赤い小鳥の姫君、小鳥、火の鳥、赤い鳥
鳥が出てくるお話がちょいちょいあるので
もしかして作者の方も鳥がお好きなのかなぁ?
とちょっと気になってしまいましたw

ではまた

とり3さん、おはようございます。
コメントありがとうございます♪

ゆうべのうちに(03)をリリースするつもりで書いていたのですが、
ちょっぴり休憩するつもりが、すっかり寝入って、朝になってしまいましたcoldsweats01
これから(03)を仕上げます・・・sweat01

ストーリー、追いついてくださったのですね。
ありがとうございます。おつかれさまです。
言われてみれば、ちょくちょく鳥が出ますね。
鳥を飼ったことはありませんが、そうですね、鳥を見るのは好きですheart01
セキレイあたりが道を歩いていると、つい目で追ってしまいますchick

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