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(逃避行)(04)

 リオンは、王女に呪い殺された鳥を、一階の回廊の端に埋め、花の種をまいた。
 形見として残した2枚の赤い羽根を、大切に持ち帰って、王子と1枚ずつ分けた。
 王子は、羽根をそっと撫でて、
「50年、生きるはずだったものを・・・」
 言ったきり、しばらく言葉を失っていたが、ふと我に返って自嘲した。
「このようなときにも、ぼくは涙一滴こぼさないのか。なんと冷たい人間だろう」
「ゼラルド様は、冷たくなどありません」
 リオンは、自分の頬を流れ落ちる涙をぬぐいながら抗議した。心の中で続けた――泣いている私も、優しくなどありません。鳥のために泣いているわけではなく、あなたが泣けないから、代わりに泣いているだけなのです。
「リオン。そなたに、話さなければならないことがある」
「何でしょう?」
「従者の任を、解かれてはくれないだろうか」
「・・・エメルを守れなかったからですか」
「違う。それは私の責だ。そして私はいつか、そなたのことも守りきれなくなるだろう」
 王子は思いつめた目をしていた。
「ユリアの呪詛は、経験を積み、どんどん強くなっている。ぼくに気づかれずにエメルを殺したのだから、おそらく既に、ぼくでは抑えきれないのだ。ユリア自身はまだ、自分の力がぼくより強いと気づいていないかもしれない、だが、気づくのは時間の問題だ。悟れば、ユリアは必ず、リオン、そなたを呪うだろう。だから・・・」
「おそれながら申し上げます」
 リオンは落ち着いて、優しく答えた。
「私は月の聖者として、自分の身は自分で守ります。鳥のように易々と殺されはしません」
「だが」
「もし、私の幸せを考えてくださるなら、どうかこの命が尽きるまで、おそばにお仕えさせてください」
「リオン、どうして・・・」
 王子は少し困った顔をした。それから、うつむいて、低く、迷うように言った。
「・・・もうひとつ、任を解きたい理由がある」
「何でしょう?」
「そなたにだけ、話す。ぼくは・・・この国を。・・・去ろうと思っている」
 リオンは耳を疑った。次期国王が、国を・・・去る? 何かの聞き違いだろう。
「考えてごらん、リオン」
と、ゼラルドは視線を上げて、もはや迷わずに、静かに言った。語られた次の言葉に、リオンは背筋が寒くなるのを感じた。
「もし、ぼくが王となり、ユリアよりも国の民を重んじたら、ユリアはどうすると思う?」

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