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(逃避行)(06)

 実り月13日。ユリア姫の誕生日。
 その日は朝からよく晴れていた。他の王族の誕生日と同じように、城下では、おふれ係が、祝いの言葉をふれまわりながら、菓子を配って歩いた。城中も城下も、お祭り気分で浮き立っていた――海に目を向けた者だけは、いつもと違う紫色にぎょっとしたが、すぐ、聖王家の祝典の日であれば常にないことも起こるだろう、くらいに考えて、むしろ得心できた思いで、胸騒ぎを忘れてしまうのだった。
 宴は昼からだった。ゼラルドも盛装した。白地に銀と紫を配した服を身に着け、まぶたに薄く群青色の粉を乗せ、青紫の耳飾りを付ける。身支度さえ整えてしまえば、今朝は他に何の予定も入っておらず、主従は旅の準備に専念することができた。
 午後になり、ゼラルドが祝宴の広間に足を運ぶと、ユリアは、この日のためにあつらえた、白と紫のふんわりしたドレスを着て、にこにこと上機嫌で義兄を待っていた。
「とても綺麗だね、ユリア」
と、ゼラルドは微かに笑みを浮かべて言った。お世辞ではなく、本当によく似合っていた。
「ありがとうございます、お兄さま」
と、ユリアは答えて、ぽっと頬を染めた。ゼラルドは穏やかに続けた。
「今日は、訪れる人たちの声をよく聞いてあげなさい。ぼくも、ずっとそばにいるから」
「はい!」
 嬉しそうに答えたユリアは、自分が軽い暗示にかけられたことに気づいていなかった。「ずっとそばにいるから」――その言葉が嘘だったと彼女が気付くのは、夜、来賓の対応をすべて終え、踊ろうとして義兄を探したときのこととなった。

 実際には、ゼラルドはほんのひとときを広間で過ごしただけだった。彼が退出しても、引き止める者は誰もいなかった。ゼラルドとリオンは旅装に着替え、ひっそりと城を出た。
 国境へと跳ぶ前に、主従は太陽の塔に立ち寄った。祝宴のために人の出払った塔では、かつて王女の呪詛を受けながらゼラルドに救われたギースが、ひとりで留守居をしていた。もともと、太陽の塔は月の塔に比べて、抱えている聖者の数が少なく、訪れる者も少ない。誰かひとりに留守を任せるにあたり、志願したギースがそのまま指名されたのだ。
「お待ちしておりました、ゼラルド様」
「ギース。そなたを巻き込んですまない」
「お気遣いは無用です、わが君。必要なことを、速やかに済ませましょう」
 いくつかの手続きが粛々と実行され、ギースは厳かに述べて儀式を締めくくった。
「ゼラルド・ルイーラ・ルーズヴェルン。汝に、新たなる名を与える。汝の称号は、本日この時点より、ルインドゥーラとなる」
 それは、≪月の力≫と≪太陽の力≫を共に操るゼラルドに、真の名を与える儀式だった。
 ゼラルド・ルインドゥーラ・ルーズヴェルン。それが王子の、新しい真の名となった。

次回、すこし間が空くかも…。

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コメント

度々、どうもすみません、雪村さん。芝臣です。

わあ、ギースだ-!
懐かしいなあ。あの「従者試験」を貪るように読んで、毎回のように感想(コメント)を書いていたことが、まるで昨日のことのように思い出されます(しみじみ・・・)。

なんにせよ、彼はちゃんと己の言葉を証明したわけですね。さすが、几帳面なギースです。うん、立派、立派。

さて、ではそうなると、リオンの兄にして次期宮廷警護隊長候補(でいいのかな?)でもあるレムルスの登場もあるのでしょうか。これから先がとても楽しみです。

今回は懐かしさのあまり、思わず飛び入りしてしまいました。どうもすみません。

さて、ならば、ここらで一休みさせていただいて、それからまた続きを読ませてもらいますね。

いやいや、どうも失礼いたしました。
それでは、また。

芝臣さん、
飛び入り(?)のコメント、ありがとうございます♪

連載途中って、コメントをいただく機会が少ないので、
ぴょこっと初見の印象を書いてくださるのは参考になります。
先を楽しみにしてもらえるのって、力づけられますconfident

レムルスについては、ちらと出るか出ないか、微妙なところです~。

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