2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ひとこと通信欄

  • (2017/10/15夜)ご心配おかけして申し訳ありません。疲れて色々おっくうになっていますが、ごはんと睡眠はちゃんとしていますので、ご安心ください。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« (逃避行)(09) | トップページ | (逃避行)(11) »

(逃避行)(10)

 翌日は風が強く、白い砂がもうもうと舞い上がって、追うものと追われるもの、双方の視界を遮った。遠見しても砂漠を見通すことができる者は一人もおらず、砂漠に踏み入った誰もが、術で砂嵐から身を守りながら、ただひたすら歩くより他になかった。
 ゼラルドとリオンは、≪大境界≫を目指し、広大な砂漠を西へと進んでいた。どのような術も通さない≪大境界≫を越えることができれば、ひとまず二人は自由を手に入れることができる。一方、追手も、だいぶ離れてはいたが、同じように西へと進んでいた。なるほど、聖王家に属する者を占えるのは聖王家の者だけだが、従者に関してなら、誰もが占える。もちろん、そのことを王子が予期できないはずはなく、したがって従者は囮だろうと考える向きもあったが、少なくとも従者が「誰かと」共にいることは聖札から読み取ることができたし、他に手がかりがない以上、まずは従者を捕えてみるしかない。
 暗殺者たちは、すばやく移動した。術で身を守りながら砂漠を駆け抜け、力が尽きると仲間の術者をその地点まで呼び寄せて交代する。これを繰り返して、追跡対象との距離を確実に縮めていき、ついに、その日の昼過ぎに、一度で跳べる距離にリオンを捕捉した。
 捕捉されたことを、リオンも検知した。彼は冷静に、主に報告した。
「来ます。ひとり、ふたり、・・・5人です」
「わかった。ぼくを守れ」
 ひゅん、と、砂嵐の中に、黒い衣の暗殺者たちが出現した。暗殺者たちは、リオンと共にいる王子を認識し、ためらうことなく全力で襲い掛かった――ためらったら最後、自分たちの命が危ないと知っていた。彼らはリオンの張った結界を破るために、ほんの僅かな時間を割き、その遅延によって命を落とした。呪文の詠唱を終えていたゼラルドの手から、銀色の鋭い刃が5本放たれて、暗殺者たちの胸を正確に貫いたのだ。暗殺者たちは、地面にくずおれて動かなくなった。
「私ひとりの命を守るために、何人を殺めることになるのだろうか・・・」
と、王子は低く呟いた。すぐに追手の増援が来るだろう、こちらも手加減する余裕はない。
「ゼラルド様、どうか今は、御身を守ることのみをお考えください」
 追うものと追われるものとの死闘が始まった。少しずつ西へと場所を移しながら、戦いは昼も夜もなく続いた。明け方、少しだけ攻勢が弱まった、その貴重な時間を、主従は移動でなく休息に充てた。近づきつつある≪大境界≫。逃れるのが先か、力尽きるのが先か。
 立ったままでの休憩だったが、ゼラルドがふと見ると、リオンはうつらうつらしていた。すっかり巻き込んでいる。暗殺対象はゼラルドであって、リオンではないのに。
 そのとき、王子の頭の中に、直に響く声があった。細く、切羽詰まった、若い女性の声。
≪どうか、わたくしに、大境界を越えるお手伝いをさせてください!≫
 ゼラルドは警戒しながら、声に出さずに問うた。
≪汝は何者か≫
≪わたくしの名はミルガレーテ。あなたがお持ちの剣に、ゆかり深き者です≫
 剣――。ゼラルドは、故郷の海から贈られた金色の長剣のことを思い出した。

« (逃避行)(09) | トップページ | (逃避行)(11) »

コメント

どうもこんにちは、雪村さん、そして他の読者の皆様。芝臣です。

来ましたね、ミルガレーテ!(なんかギースの時と同じ書きだしのような・・・。苦笑)

ハラハラ、ドキドキ、これぞまさに「冒険譚」! といった感じで、私も同じモノカキとしてこの姿勢だけでも見習わなくてはなりません。

とにかく、ミルガレーテの登場により、このお話に彩りがまた1つ加わっただけでなく、ゼラルドとリオン主従の逃避行は、いよいよ風雲急を告げてきました。ほんとうに、この先が楽しみです。

なお、先のコメントでは書き忘れましたが、私の小説ブログ「芝臣祐太郎劇場・新館」へは、コメント欄外に表示される私の名前をクリックしてくだされば、すぐに転移(おや?)できます。すぐに完全転移できなくても、しばらく待てば自由に閲覧できるようになりますので、どうぞご安心ください。・・・とりあえず、念のため。

ともあれ、次回を楽しみに、今回はこの辺で失礼いたしましょう。

どうもありがとうございました。
それでは、また。

芝臣さん、
こちらにもコメントありがとうございます。

既にミルガレーテをご存知の方にも、
まだミルガレーテの他の話を読んでいない方にも、
今回のお話のキーパーソンが登場したことを感じていただければいいな、と思いながら書きました。

こまめに反応していただいて、ありがとうございますclover

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/58077992

この記事へのトラックバック一覧です: (逃避行)(10):

« (逃避行)(09) | トップページ | (逃避行)(11) »