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(逃避行)(11)

 ミルガレーテと名乗った女性の声は、さらに続けた。
≪従者の方が眠っていらっしゃる今なら、私も姿を現すことができます。差し支えなければ、金色の剣を、抜いていただけないでしょうか≫
 ゼラルドは、声の主を完全に信じたわけではなかったが、どのみち状況がこれ以上悪くなることもないだろうと考えた。長剣を取り出し、静かに鞘から引き抜くと――、さらさらと時の砂の流れるような不思議な感覚とともに、美しい姫君が姿を現した。薄く光をまとっているので、金を紡いだような髪も、抜けるように白い肌も、闇に浮かんで、はっきり見える。緊張のためか、姫君はうつむいて、胸の前でしっかりと手を組み合わせている。
 それから、ミルガレーテ姫は、そっと視線を上げ、手をほどいて、一礼した。
≪初めてお目にかかります、ゼラルド様。きちんとしたご挨拶は、また機会がありましたときに。今は、あまり時間がありません。お伝えしたいことは2つあります。ひとつは、あなたが関所を通らずに大境界を跳び越える手段があるということ。もうひとつは、その方法では、従者の方を連れて行くことはできないということです≫
≪・・・その方法を、具体的に聞かせてもらえるだろうか、ミルガレーテ姫≫
 ゼラルドは半信半疑で促した。術によって≪大境界≫を越えるすべがないのは、世の中の常識だ。≪大境界≫を挟んだ向こう側については、遠見も瞬間移動もできないのはもちろんのこと、聖札で占うことすら難しい。逆に言えば、それらの術が≪大境界≫を通り抜けてしまったら、世界が混沌に陥りかねない、ともいえる。
 ミルガレーテは頷いて、説明した。
≪大境界は、複数の人が力を合わせても通り抜けできないようになっていますが、一人の人が複数の術を同時に使うことについて考慮していません。また、実際に、月の力と太陽の力を両方使える人であっても、同時に両方を発動させることはできません≫
 ゼラルドは無言で頷いた。まさしくそれは、彼自身のことだ。ミルガレーテは続けた。
≪けれど、両方の力を共に引き受けられる媒体が存在するなら、話は別です≫
≪ああ。しかし、そのような媒体は存在しない≫
≪あるのです。それが、その剣です≫
 ゼラルドは、驚いて手元の剣を見下ろした。ミルガレーテは続けて、
≪その剣の刃は、ただの金ではありません。太陽の力だけでなく、月の力も受け止めることができます。両方の力を流し込めば、2つの力による瞬間移動を融合発動できます。それは、大境界の想定していない力です。大境界を越えることができるのです≫
≪・・・だが、未知の場所には転移できない≫
≪わたくしが導きます。わたくしは、人であって、人でない者。大境界の東側でも西側でも、宝剣のあるところに出現できますし、内陸にも心当たりの場所があります≫
≪そうか。そして、融合した術の発動者は大境界を越えるが、私の従者は、月の力しか使わないから、媒体があったとしても越えることは叶わない・・・≫
≪そのとおりです≫

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コメント

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

凄いですね、今回は特に。
さすが、ご自身で「SF好き」とおっしゃったように、これはもう「ファンタジー」や「メルヘン」を越えて、ほとんど完全に「SF」そのもののようにすら感じました。

まったく、今回ほど鮮やかにミルガレーテ姫の姿が想像できた回はありません。
いや、ミルガレーテばかりでなく、彼女と「念話(?)」しているゼラルドや、彼の持つ「黄金の宝剣」なども、実に色鮮やかに目に浮かぶようでした。

しかし・・・新たな道が示される一方、ゼラルドとリオン主従の別離もまた近づきつつあるようで、なんとも言えぬ予感に胸が痛みます。

願わくば、せめてそれが永訣ではないことを心から祈ります。

・・・どうも失礼いたしました。
それでは、また。

芝臣さん、
コメントありがとうございます♪
あっというまに、最新の回まで追いついてしまわれましたね。

このへんは、きちんと書くか、ざっくり書くかで、少し迷いましたが、結局、連載1回分を使わせていただきました。
説明の長い回なので、読者の方によっては、「細かいことは置いといていいのに」と思われるかもしれない回です。
すんなり読んでくださった方がいることに、ほっとしました。

SFとファンタジーの親和性は高いですからね~。
科学で説明するか、魔法で説明するか、という違いなのかもしれません。
SFとメルヘンも、意外と親和性が高いのではないかと、個人的には思っています。
たとえば、よく言われることながら、かぐや姫のお話って、メルヘンでありながらSFだと思いますshine

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