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(逃避行)(12)

≪では、従者はここに置いて行こう≫
 ゼラルドは、あっさりと決めた。もともと、リオン本人がこれほどまでに強く望まなければ、連れて行くつもりはなかったのだ。
 リオンは悲しむだろう。この忠実な従者が、追手から見つかりやすくなる危険を冒してまで同行を選んだことには、きちんと理由がある。もちろん、買い物の仕方ひとつ知らない貴人の身の回りの世話をする、ということもあったろうが――。
 そもそも、ゼラルドにとって、生きるということは、少しずつ死に近づくことだ。少しずつ死んでいくこと、と言い換えてもいい。なるほど彼は、子供の頃から物静かな性分ではあったが、そんな彼にも控えめながら喜怒哀楽はあった、そして、それらの感情は日々の営みの中で、がんじがらめに縛られて、徐々に麻痺して、ぽろぽろと抜け落ちて行った。人は、笑わずとも、泣かずとも、生きていけるものなのだ、と、彼は自分の身をもって知った。かろうじて残ったのは、打ち解けて安らぐことの許される場所と、許されない場所、その区別のみだった。――リオンはきっと、リオンなりの自負を持って、ゼラルドがその残された最後の安らぎを手放さずとも良いように、同行を申し出てくれたのだ。
 だが、不要だ。自分の心は、とうに虚ろだ。ただ、鳥籠から出て、地に落ちたいだけだ。
 ミルガレーテは、ゼラルドの返答を聞き、頷いて、言葉を続けていた。
≪ひとつ警告があります。決して忘れないでください。あなたは術の融合によって、大量の生命力を消費します。回復には時間がかかるでしょう。そして、もし、あなたが将来、再びこの力を使うことがあるならば、そのとき、あなたの命は必ず失われるでしょう≫
≪了解した≫
 自分はここで、この美しい姫君に騙されて、今まさに命を落とそうとしているのかもしれない。それならば、それでよい。所詮、命とは、すべからく、死に至る病なれば。
 ゼラルドは手を伸ばし、リオンの額にそっと指を触れ、従者が目覚めたときに思い出せるようにまじないをかけて、優しく言った。
「そなたは、生きよ」
 追手はじきに、リオンを回収するだろう。そして、王子を最後に目撃したリオンは、記憶を探られることはあるだろうが、残された身として、軽い罪にしか問われないはずだ。
 ゼラルドはミルガレーテとともに、少しだけ場所を移して、わずかな偽装工作をおこなった。それから、この神秘的な姫君の指示に従って、空間を跳躍する手続きに入った。
≪まず、その剣に、太陽による瞬間移動の力を移してください≫
 言われるまま、黄金の剣を抜き、太陽の力を流し込む。
≪重ねて、月による瞬間移動の力を流し込んでください≫
 そのようなことが可能だろうか、と半ば信じられない思いを抱きつつ、言われたとおりにしてみると、確かに可能だった。生きて在ることの力が、剣に満ちて行くのを感じた。
≪そのまま、わたくしが導く場所へと、跳んでください≫
 示された点は、非常に遠くだったが、彼は躊躇なく跳んだ。空間を大きく折りたたみ、くぐり抜け、まだ届かずに、折りたたみ、くぐり抜ける。姫君が共にいるのを感じる。
≪もう少し。もう少しです。お願い、届いて!≫
 祈ってくれる者があるなら、届かねばなるまい。出せるだけの力を出し切った果てに、彼は目的地に到達した。そこがどこなのかを見定める余裕はなく、出現とともに、ゼラルドは気を失った。

あと1回です。

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コメント

どうもこんばんは、雪村さん。芝臣です。

今回はただ一言だけ。

「頑張れ―!」(ゼラルドにも、リオンにも、ミルガレーテにも、そしてもちろん雪村さんご自身にも届きますように!)

どうも失礼いたしました。
私も頑張ります! ・・・なるべく、またぶっ壊れない程度に(ホントか? 汗)。
それでは、また。

芝臣さん、
応援ありがとうございます♪

ええと、作者は特に頑張らないつもりなんですが…coldsweats01
気遣ってくださるお気持ちだけ、確かに受けとりました。

逆に、芝臣さんには、
「あまり頑張らないでくださいね~snail
という言葉を贈っておきます。
届きますように。

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