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髪を編む(ルーク編)

 朝食のあと、ルークが水を詰めようとして水汲み場に行くと、先に来ていたフィアが、近くで髪を編んでいた。きれいな青い髪を束ね、頭の後ろで一本の三つ編みにしている。
「女の子って、器用だよな。いや、セレンもだけど」
 なにげなくルークが言うと、フィアは笑って、
「私は不器用なほう。セレンは器用だけど。あっ」
 編み終わりそうだった髪を、結わえ損ねた。長い三つ編みは先のほうから、はらりと解けてしまった。
「もう・・・。ほらね、不器用なのよ」
 フィアはがっかりしたように言ってから、くるりと後ろを向いた。
「ね、ルーク、よかったら三つ編み、編んでくれない?」
「えっ」
「だめ? 私、ちょっと手が疲れちゃった」
「いや、だめっていうか。編んだことない」
「えっ」
 フィアはびっくりしたように振り向いた。
「三つ編み、編めないの?」
「そんなに驚くことじゃないだろ。男はふつう、編むことないんだから」
「セレンの髪、編んであげたりしないの?」
「頼まれたことない」
「そうなの?」
 フィアは目をぱちくりさせた。
「ふうん、男のひとって、三つ編み、編めないんだ・・・。ごめんなさい。よくセレンが編んでくれるから、つい・・・」
「セレンが、君の髪を?」
 ルークは聞きとがめた。
「うん、すごく器用なの。私が出来ない髪型も上手に編んでくれるし」
「三つ編みって、どうやんの。俺にもできる?」
「大丈夫、自分でやるから。変なこと頼んで、ごめんね」
「いや、その、編んでみたい」
 ルークの瞳が揺れた。フィアは戸惑いつつ、「そう?」と後ろを向いて、編み方を教えた。
「髪をこう、3つに分けるでしょ。そしたら、まずこの2本を交差して」「うん」
「次に、こっちの2本を交差させて」「うん」
「また、こっちの2本を交差させて・・・あとは繰り返し。やってみる?」「ああ」
 ルークは、そうっとフィアの髪を手に取った。つやつやして滑らかな、青い髪。
 自分の武骨な手を、いかにも場違いだと感じながら、ルークはおそるおそる編み始めた。
 こっちの2本を交差させて・・・次はこっちを交差させて・・・。
 しばらく、二人とも口をきかなかった。フィアはうつむき加減に向こうを向いたまま、編みあがるのを待っている。ゆっくりと過ぎて行く時間。互いの鼓動が聞こえそうな距離。
「・・・出来た。最後、どうすればいいんだ?」
「これでぐるぐる巻いて、結んで。ええと、蝶結びはできる?」
「ああ」
 渡された紺色のリボンで、ぐるぐる巻いて、結んだ。そっとルークが手を離すと、フィアは後ろを向いたまま、出来上がった三つ編みの上を、確かめるように撫でる。華奢な白い手。細い指。
 それからフィアは、振り向いて、にっこり笑った。頬がほんのりと上気している。
「ありがとう! 少し緩めだけど、合格!」
 ルークは、ほっと息をついて、
「良かった。すごく緊張した」
「ふふ、私もドキドキした!」
 二人は視線を交わして笑い、ちょっと照れて、またあとで、と、それぞれの旅支度に戻った。
 ルークは、女の子の髪を編むのは緊張するものだな、と思いながら。
 フィアのほうは、慣れない人に髪を預けるとドキドキするのね、と思いながら。

(完)

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コメント

月路さん

私も人の髪を編むのは苦手です・・すごく緊張してしまうから(笑)
ルークは、よくできましたgood
男の子は自分の毛が短い分
女性の髪に感心を持つものようです。
子供や、その友達の男の子に、昔よく髪を梳いてもらいました。

とても心温まる、素敵なエピソードでした。

どうもこんにちは、雪村さん。芝臣です。

わあーっ、なんて「青春譚」なお話なんでしょう! こっちも年甲斐もなくドキドキしてしまいましたよー(赤面)。

うーむ、この「髪を編む」ネタはウチの主人公とヒロイン、ないしは他の女の子との間でも使えそうですねえ。ウチの「長男」である彼が、ルークと同じ状況に陥ったら・・・いかん、本編を停めてまででもやってみたくなってしまいましたよ、はい(ちなみに「長女」はもちろん、「あのお方」ですね、言うまでもなく)。

・・・が、まあ、そういうわけにもいかないので、こちらはこちらで、ひたすらダークでハードな「近未来SF武侠(ぶきょう)楽劇」のクライマックスへと突き進んでゆくのみですが・・・そうですねー、このお話に近い状況ををやるんだったら、第1部のエンディング直前かなー? うむ、ちょっとイメージが湧いてきてしまいましたよー。

まあ、とにかく、いかようにも解釈できる若い男女の機微といい、結末の描き方といい、こういう細やかで鮮やかな掌編は、うーん、私にはちょっと無理かなー、とも思いますし、まったく深々と、そしてしみじみとタメ息をつくばかりです。

これは、そう、とても美味しくてサラリとしたオレンジの滴(しずく)をほんの少し、飲ませていただいたような感じです。・・・よくわからない例えかも知れませんが(汗)。

ともあれ、いつもながら良いお話を読ませていただき、どうもありがとうございました。
それでは、また。

montiさん、
コメントありがとうございます♪

短い短いお話ですけれど、「心温まる」と言っていただけて嬉しいです。
montiさんの、お子さんに髪を梳いてもらったというエピソードも、ほんわかします。

実際のところ、男のひとは、どのくらい三つ編みが編めるのかしらん。
髪の長いお姉さん、妹さん、娘さんなどがいれば、編める気がするのですが…。

芝臣さん、
コメントありがとうございます♪

ドキドキしてもらえて嬉しいです。
そうですね、くるみちゃんも三つ編みだから、髪を編むエピソード、いいかもしれませんねwink

オレンジの滴・・・ということは、レモンより甘い、と解釈しました。
何か「甘い、すっぱい」果物ということかな~、なんてconfident

雪村さん、お邪魔してます。
こちらを読ませていただいて、またまた、セレンの『髪を編む』も、読ませてもらいました。
セレンのほうでは、最後の二行が特に好きでお気に入りなのですが、ルーク編ではルークの少年ぽさにときめきましたheart02
私は恥ずかしながら、女の子の髪に触ることは、男の子にとってちょっとした特別であってほしい乙女脳保持者なので、この『髪を編む』シリーズ、とっても好きです。

のんさん、
コメントありがとうございます♪

元々の「髪を編む」を気に入ってくださっている方が読み比べたとき、見劣りしないように書きたい、と思っていました。
両方ひっくるめて好きとおっしゃっていただけて、ほっとしています。

こういう話を書いちゃう私も、十二分に乙女脳ですね…というか、
王子様とお姫様が主人公である時点で、何をかいわんや、ですcoldsweats01

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