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小人のお茶会(06)

「ただいま戻りました。時間を取って、ごめんなさい」
 声をかけると、フルートは、フィア――フィリシア姫の姿を見て、安心した顔をした。
「良かった、無事で。その、さっきは、小さくて、羽が付いていた、よな?」
 言葉の最後のほうは、自信なさそうな響きを帯びていた。
「何のことかしら」
 フィリシアはとぼけて見せたが、フルートはごまかされず、ほっと息をつきながら、
「そう、本当のことだ。夢を見たのかと思ったが」
「ふふ。あのね、小人のお爺さんに、魔法にかけられていたの。それで、小人たちのお茶会に行ったら、お茶が3種類あってね――」
「道々聞こう。それよりも」
「ごめんなさい、そうよね、急いで行かなければいけないわよね」
 フィリシアがあわてて謝ると、フルートは目を伏せた。
「いや、その前に。ぼくはまだ、この前のことで、きちんと君の許しを得ていない」
「え?」
「今ここで、謝罪させてくれないか」
 フルートは返事を待たず、いきなりフィリシアの目の前にひざまずき、頭を垂れた。
「フィリシア姫。あのとき、ぼくが君にしてしまったことを――」
「ま、待って、フルート! 謝らないで」
「なぜ?」
 フルートが、戸惑ったようにフィリシアを見上げる。フィリシアは頬を染めた。
「それなら、わたくしも膝をつきます!」
 王女は両膝を折った。驚くフルートに、あの事件のあと考えたことを話した。
「許すも許さないもありません。あのときも、あなたは謝ってくださったけれど、あなたは悪くありません。むしろ、わたくしのほうが、助けてもらったお礼を言わなければならないのに、まだ申し上げていませんでした。つまらない感傷で礼を軽んじたことを、どうか許してください。救ってくださって、本当にありがとう。感謝しています」
「フィリシア」
 頭を下げたフィリシアに、フルートは、まっすぐな声をかけた。
「では、ぼくを許すと言ってくれないか」
「・・・それで、あなたの気が済むのなら。私はもう、あなたを許しています」
「ありがとう」
 二人は、膝をついて向き合ったまま、それぞれ、胸のつかえが消え去るのを感じていた。そして、相手もそうなのだと気づき、どちらからともなく微笑みあい、立ち上がった。
 フィリシアが馬に乗るのを手伝ってから、フルートはトンと地を蹴って自分の馬に乗る。
「それで、小人のお茶会で、3種類のお茶が、どうしたのだって」
「そうなの! お茶によって、鳥の羽か、蝶の羽か、妖精の羽がね――」
 少し照れてはいたけれど、二人のわだかまりは解け、もう気まずくはない。
 良かった、と心から安堵しながら、王子と王女は、小人の住む森をあとにしたのだった。

(完)

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コメント

どうもこんにちは、雪村さん。PCの調子がやっと戻ってきて、胸をなでおろしたところの芝臣です。

し・・・しかし、このオチは・・・「は?」じゃなくって、「うわああ~っ(赤面)」でしょうか(苦笑)。

いや、もう何も私は言いません。たぶん、フィリシア・ママの王妃マデリーン様も知ったら、きっと艶(あで)やかに微苦笑して、軽くため息をおつきになるだけでしょうから(かなり妄想と願望が入ってます)。

ただ、まあ・・・なんというか、私の知っている似たような例としては、皇帝ラインハルトとヒルダ(『銀英伝』)のやりとりを思い出しましたねえ。フルートも時と場所が許せば、超特大の薔薇の花束(もちろん紅白のみで!)を用意したのでしょうか・・・なんてのは野暮な問いかけですんで、三枚目はさっさと引っ込むとしましょう(苦笑)。

いや~、まいったまいった(『聖闘士星矢』の牡牛座のアルデバランのセリフ。個人的には双子座のサガ/カノンがすげー好きですけど)。

どうも失礼しましたっ。
それでは、また~。

芝臣さん、
コメントありがとうございます。

ラインハルトの、ついその場の空気に流されて、という感じの例のイベントは、個人的には銀英伝の中で最も嫌いなイベントのうちの一つなので、連想されるのはあまり良い気分ではありません…が、想起されてしまったものは仕方ありませんsad

フルートが謝罪に選んだ時と場所は、彼としては、これがベストだったのだと思います。
たとえばセレンを深く傷つけてしまったら、同じように、セレンと二人きりの時間を作って、誠心誠意、謝罪することでしょう。また、そこに花束の入る余地がないように、フィリシアへの謝罪においても、花束の入る余地はありません。

国境近くでの事件は、フルートとフィリシアのどちらにとっても不本意な「事故」でした。
ただ、ベタベタな少女漫画的事件であることは、ご想像のとおりだと思います。

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