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ひとこと通信欄

  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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2013年10月

こぼれ話:ハッピーエンドでもバッドエンドでもないどこかへ

すべてが「めでたし、めでたし」で終わる大団円、「グランド・フィナーレ」。
雪崩のように破局を迎える悲劇的結末、「カタストロフィ」。

「遥かな国の冒険譚」は、そのどちらでもない調和に向かって進んでいます。
プロローグと対をなすエピローグだけを取り出せば、解呪は果たされ、ハッピーエンドということになるでしょうけれど…。

以前、この物語全体について、「優しいけど、なんとなくしんみりと切ない」とおっしゃる方がいらっしゃいました。(お元気でいらっしゃるかなあ。)
きっと、物語のあちらこちらに、来たるべき何か「必ずしもハッピーとは言い切れない調和」の予感が仄見えるから…。
あるいはまた、登場人物と作者が、この1年間の旅(春に始まり翌春で終わる)が「夢のような特別な1年間」であり、「もう二度と戻らない1年間」であると知っているから…。
なのかなあ、と思います。

振り返ってみれば、この物語の原型が生まれた中学時代、仲間うちで回し読みしていた原稿に付けていたタイトルは、「遥かな国の冒険譚」ではなく、「虹のささやき」でした。
「ほんのひととき」という意味と、「様々な色合い」という意味と、「ささやかな」という意味をこめて付けたタイトルでした。
響きが乙女チックに過ぎることと、弱々しい印象になることを案じて、このブログを始めたときに「遥かな国の冒険譚」と改題したものです。

あとから思えば、夢であったかと思うような。
それでも胸に残り、辛いとき悲しいときに安らぎと勇気を与えてくれるような。
そのような旅を語る冒険譚でありたい、と思います。
登場人物にとっても、私にとっても、
もし叶うことならば、読者の皆様にとっても。

ひとやすみ:中央区宝探し2013、覚書

明日(10/26)の土曜日、会社の友達と東京都中央区の宝探しに行く予定です。
お天気が心配ですcoldsweats02 
8ヶ所の宝箱を1日で見つけるつもりなので、ぎりぎりまで様子を見て、明朝8時、決行するかどうかを判断することにしています。
明日行けなかったら、翌週に出直す所存であります。

出かける前に、shine宝の地図shineをダウンロードして8ヶ所の謎解き中。
答そのものをブログに書くわけにはいかないので、自分で読んでわかるように覚え書き。
宝探しの好きな方は、参加する人もしない人も、宝の地図と照らし合わせて、ふむふむと考えてみてください。

1ヶ所目: 「十八番の帳」=「○○帳」→「△△像」のあるところ。

2ヶ所目: 幕府の試射地=「○○州」、「童遊びし園」=「△△公園」

3ヶ所目: 罪を犯した者が収容される=「○屋」→「△△町○屋敷跡」

4ヶ所目: ブロックで文字を隠す→「○○○」

5ヶ所目: 第○大学区第○中学区第○○官立小学△本学校

6ヶ所目: 「亀」「祝」「万」→「亀は○○」。アーチ型は「△」。

7ヶ所目: 「始」から順に読む→「○○○○○発祥の地」

8ヶ所目: 「稲瀬川」=「○○川」、「江戸の水道」=「△△川」。候補になる橋は二つ。

参加した人のブログなど見ていると、今年の宝箱は、「えっ、こんなところにsign02」というところに隠されているそう。
探すぞ~。楽しみですnote

-----

≪追記(10/26夜)≫
雨が降っていましたが、決行しました!(15時頃に降りやみました)
月島に10時半集合。途中で食事やお茶休憩を入れながら、8ヶ所全部見つけてゴールし、17時半頃に解散。
去年より箱が立派になって、見つけやすく感じました。
「去年もここ、通ったね」などと話しながら回って、たしかに中央区について学べているので、良いイベントだと思います。
2回目の参加でしたが、今年で5年目の開催だそうです。来年も、また行きたいな!

作者より:「小人のお茶会」

土曜朝、日曜夜、月曜夜、と、三日連続で更新しております。
読み損ねた記事のある方は、遡ってお読みいただけると幸いですconfident 

「国境近くの事件」に関しては、「竜王の館(後編)」にて、フルートがフィリシアを泣かせてしまったことと、フルートが怪我を負ったことが明かされています。
もうひとつ明かしてしまうと、「夢の牢」にて、フィリシアがゼラルドとの初対面時に泣いていた旨の記述がありますが、同じときの話です。
いずれ書きます、すみません…。

話は変わって、当ブログではアクセスカウンターを表に出していませんが、このお話の連載中に、累計3万アクセスを超えました。
ちまちま、こつこつ、ほそぼそと、ここまでやって参りました。
ご愛顧くださっている皆様に、心から感謝いたします。
どうもありがとうございます。
(ですが御礼企画は特にありません、あしからずcoldsweats01

次回は、順番的にはセレンの話になるのかな。内容は未定です。
またしばらく、雑談にお付き合いいただくことになるかもしれません。
どうぞよろしくお願いいたします。

→ 目次に戻る

小人のお茶会(06)

「ただいま戻りました。時間を取って、ごめんなさい」
 声をかけると、フルートは、フィア――フィリシア姫の姿を見て、安心した顔をした。
「良かった、無事で。その、さっきは、小さくて、羽が付いていた、よな?」
 言葉の最後のほうは、自信なさそうな響きを帯びていた。
「何のことかしら」
 フィリシアはとぼけて見せたが、フルートはごまかされず、ほっと息をつきながら、
「そう、本当のことだ。夢を見たのかと思ったが」
「ふふ。あのね、小人のお爺さんに、魔法にかけられていたの。それで、小人たちのお茶会に行ったら、お茶が3種類あってね――」
「道々聞こう。それよりも」
「ごめんなさい、そうよね、急いで行かなければいけないわよね」
 フィリシアがあわてて謝ると、フルートは目を伏せた。
「いや、その前に。ぼくはまだ、この前のことで、きちんと君の許しを得ていない」
「え?」
「今ここで、謝罪させてくれないか」
 フルートは返事を待たず、いきなりフィリシアの目の前にひざまずき、頭を垂れた。
「フィリシア姫。あのとき、ぼくが君にしてしまったことを――」
「ま、待って、フルート! 謝らないで」
「なぜ?」
 フルートが、戸惑ったようにフィリシアを見上げる。フィリシアは頬を染めた。
「それなら、わたくしも膝をつきます!」
 王女は両膝を折った。驚くフルートに、あの事件のあと考えたことを話した。
「許すも許さないもありません。あのときも、あなたは謝ってくださったけれど、あなたは悪くありません。むしろ、わたくしのほうが、助けてもらったお礼を言わなければならないのに、まだ申し上げていませんでした。つまらない感傷で礼を軽んじたことを、どうか許してください。救ってくださって、本当にありがとう。感謝しています」
「フィリシア」
 頭を下げたフィリシアに、フルートは、まっすぐな声をかけた。
「では、ぼくを許すと言ってくれないか」
「・・・それで、あなたの気が済むのなら。私はもう、あなたを許しています」
「ありがとう」
 二人は、膝をついて向き合ったまま、それぞれ、胸のつかえが消え去るのを感じていた。そして、相手もそうなのだと気づき、どちらからともなく微笑みあい、立ち上がった。
 フィリシアが馬に乗るのを手伝ってから、フルートはトンと地を蹴って自分の馬に乗る。
「それで、小人のお茶会で、3種類のお茶が、どうしたのだって」
「そうなの! お茶によって、鳥の羽か、蝶の羽か、妖精の羽がね――」
 少し照れてはいたけれど、二人のわだかまりは解け、もう気まずくはない。
 良かった、と心から安堵しながら、王子と王女は、小人の住む森をあとにしたのだった。

(完)

小人のお茶会(05)

 フィアがリジーのところに戻ると、リジーは草の陰に隠れながら、少し離れた木の上を指さした。ひそひそと、
「ドルドルがいたわよ、フィア。木の実をもいでいるみたい」
「ありがとう! じゃあ、リジーはここで隠れていて。変な魔法をかけられないように」
「そうね、そうする」
 フィアは一人で、木の上まで飛んで行った。白髭の老人は、木の枝に腰かけて、紫色の木の実をむしゃむしゃと食べていた。
「お食事中、失礼しますね、ドルドルさん」
 フィアが声をかけると、じろりと睨まれた。
「見かけん顔だな。何の用じゃ」
「魔法を解いていただきたいの」
「はて、何の魔法をかけたのだったかな。まあいい、わしの真の名を言い当てたら、解いてやろう。3回チャンスをやるから、言ってみるがいい」
「そうねえ。ドルモーリシャスかしら?」
「違う、違う」
「それじゃあ、クランベルドルかしら?」
「違う、違う」
 老人はおかしそうに笑った。フィアもにっこり笑った。
「それじゃあ・・・魔法を解いてちょうだい、ドルドリッチ!」
「ふむむむむ・・・!」
 老人は、食べていた木の実を取り落とした。溜息をついて、脇に抱えていた杖を持った。
「やれやれ、仕方ないのう。魔法よ、解けろ。ほれ」
 老人が杖を振ると、急に、周りの風景が縮み始めた――違う、フィリシアが大きくなり始めたのだ。老人の小人は、あんぐりと口を開けた。
「大きいひとじゃったか。こりゃいかん。退散、退散」
 すいすいと飛んで逃げて行った。
 フィアは、じきに元の大きさに戻った。羽は消えてしまった。リジーが待っている場所に戻って、話をするためにかがみこむと、リジーは見上げて一瞬怯んだが、笑ってくれた。
「良かったわ、フィア。でも、少し残念な気もする。あなたが私たちの仲間だったら、いいお友達になれたと思うから」
「そうね。今日はありがとう、リジー。あなたのおかげで、楽しかったし、助かったわ」
「うん、私も楽しかった。じゃあね・・・さようなら、フィア」
「さようなら、リジー」
 リジーはくるりと向きを変え、はばたいて去った。お茶会の広間に戻るのだろう。
 フィアは髪をほどき、小川に沿って歩いた。「大きいひと」の足だと、滝までは、すぐだった。金髪の王子は、馬のそばに立って、出発の準備をしていた。

小人のお茶会(04)

 リジーとフィアは、白髭の老人を追って、天井の同じ場所から地上に出た。飛び慣れないフィアが、不安になって、
「追いつけなかったら、どうしよう」
と口にすると、リジーは笑って、
「大丈夫。ドルドルは、お茶会の広間に必ず戻るから。配られるお土産がほしいのよ。だから、見失ったらお茶会の広間に戻ればいいし、もし私たちが遅れても、ミミおばさんが足止めしておいてくれると思うわ」
 その間にも、老人はスイスイと前方を飛んで行く。
「大声で呼んだら、止まってくれないかしら?」
「止まらないわよ、偏屈だもの。それよりも、大きな声を出して、大きなひとに気づかれて、捕まっちゃうことのほうが心配」
「そうなのね・・・」
 しばらくの間、フィアは飛ぶことに専念した。上手ね、とリジーは感心してくれたが、じきに老人を見失ってしまった。二人はあたりを見回し、リジーはフィアの手をつかんだ。
「見て、あっちに、大きいひとがいるわ」
 フィアが見ると、それは、誰あろう、木の幹にもたれて休んでいるフルートだった。最初の場所の近くまで戻って来たのだ。おそらく彼は、そろそろ出発しようと思うはずだし、そうしたら王女がいないことに気づいて心配するだろう。できれば一声かけておきたい。
「私の知り合いだわ。ちょっとだけ話をしてくるから、ここで待っていてくれる?」
「うん・・・わかった」
 フィアはリジーをその場に残し、ひとりでフルートのところまで飛んで行って、近くに着地した。声をかけるより先に、フルートはぱちりと目を開け、フィアのいるほうへ、
「フィリシ――」
 名を呼びかけたが、小人になっている王女と目が合い、しばし絶句した。
「・・・夢だろうか」
 フルートが目を丸くしているのがおかしくて、フィアは見上げて、くすくす笑った。
「そうね、夢かもね。さわってみる? そうっとね」
 頭を差し出すと、王子はそっとさわって、手を引っ込める。フィアは後ろを向いて、
「羽も、さわってみる? 傷めないように、そうっと、そうっとね」
 フルートは、指の先で、そうっとフィアの羽にさわった。さわられたフィアのほうは、思いのほかくすぐったかったので、羽をふるふる震わせて、すぐに向き直った。
「それでね、この魔法、解いてもらってから戻るから、もう少し待っていてくれる?」
「ぼくは一緒に行かなくても大丈夫か?」
「大丈夫。飛んだり、もぐったりするから、たぶんついて来られないと思うし」
「わかった。気を付けて」
「いってきます」

小人のお茶会(03)

 リジーとフィアは、手をつないで、リジーが近道だという道を小走りに走った。
 最後に、大木の根元にぽっかり開いている穴に、ぴょんと飛び込んだ。
 ふんわり落ちて、穴の底にトンと足が付いてみると、そこがお茶会の会場だった。広間が明るいと思ったら、天井がざっくり網目状に交差した木の根でできていて、その隙間から太陽の光が漏れ入って来るのだった。
 大きな楕円形のテーブルの周りには、20人ほどの小人が座って談笑していた。リジーとフィアは、入口近くの席にちょこんと座った。白鬚の老人を目で探すと、ずっと向こうの席。いずれにせよ、この天井の高さでは、魔法を解いてもらえない。
 お茶を乗せたワゴンが回って来た。ワゴンを押しているのは、恰幅のいい女性の小人だ。
「こんにちは、リジー」
「こんにちは、ミミおばさん」
「そっちの子は見かけないけど、友達かい」
「そうよ。フィアっていうの。今日だけ一緒に来たの」
 ミミおばさんがにこにこ笑っているので、フィアも笑顔で挨拶した。
「フィアです。こんにちは、ミミおばさん」
「お茶会にようこそ、フィア。お茶は3種類あるのよ。鳥のようにパタパタ飛べるお茶と、蝶のようにヒラヒラ飛べるお茶と、妖精のようにスイスイ飛べるお茶。どれがいい?」
 フィアが迷っていると、リジーが助言してくれた。
「今日はドルドルを追いかけなくちゃいけないから、スイスイ飛べるお茶がいいと思うわ」
 ミミおばさんは、おやおや、と笑いながら、
「ドルドルさんにも、さっきスイスイ茶を注いであげたところだよ。追いかけっこするなら、早く飲んだほうがいいね」
 ふたつのカップに、それぞれ薄緑色の熱いお茶を注いでくれた。
「ありがとう、ミミおばさん」
 リジーとフィアは、お礼を言って、ふうふう冷ましながらお茶を飲んだ。さわやかな香りで、すーっとする味がした。ミミおばさんは頷いて、次の席へとお茶を運んで行った。
 なんだか背中がむずむずする感じ、とフィアが思っていると、背中でぷちっと音がした。肩越しに振り返ると、驚いたことに、自分の背中から、服を突き破り、透明な羽が生えて来たのだった。リジーを見ると、同じように羽が生えて来るところ。見回すと、周りの小人たちの背中にも、それぞれ羽が生えて来ていた。鳥の羽か、蝶の羽か、妖精の透明な羽。
 背中に腕が増えたような、変な感覚だった。どきどきしながら、試しにそっと動かしてみると、足元がふわっと浮いた。本当に飛べる!
「上手、上手」
と、リジーが褒めてくれる。
「みんなこれを楽しみに来るの。効果は半時間くらい。さあ、ドルドルを追いかけましょ」
 見ると、白鬚の老人は透明な羽をはばたかせ、天井の隙間から出て行くところだった。

全6回になりそうです。

小人のお茶会(02)

「ごめんなさい。気が付かなかったの」
 フィリシアは急いで老人の髭をほどき始めたが、老人の怒りはおさまらなかった。頭を振ったり、飛び跳ねたりして、
「早くせんかい! わしゃ、急いでるんじゃ」
「ごめんなさい、あの、少しの間、動かないでいてくださる?」
「つべこべ言わんで、早よう! 早よう!」
 フィリシアが、どうにかこうにか髭をほどき終わると、老人は持っていた杖を握りしめて振り上げた。
「まったく、手間取りおって。おまえなんぞ、小さくなってしまえ!」
 そのまま、老人は背中を向けて歩き去った。フィリシアはほっと溜息をついて、滝のところまで戻ろうとした――が、なんだか急に――目の回りそうな勢いで――周りの草木がニョキニョキ伸びて――違う、これはフィリシアが縮んでいるのだ!
 気が付くと、フィリシアは、着ている服ごと、すっかり小さくなっていた。草むらの丈の高さから見て、さっきの小人たちと同じくらいの背丈になっているようだ。途方にくれながら、ひとまず自分の長い青い髪を編んだ。さっきの小人たちのように、草にからまって身動きが取れなくなったら、困るから。
「やっぱり。ドルドルにやられたのね」
と、近くから、娘の声が聞こえた。草むらの中から現れたのは、さっきの、濃い緑色の髪をした娘だった。今はフィリシアと同じくらいの背丈で、同じように髪を編んである。
「ドルドルって、さっきのお爺さんのこと?」
と、フィリシアが聞き返すと、娘は頷いた。
「そう。ドルドルの声が聞こえたから、心配になって戻って来たの。正解だった。とにかく、まずはお茶会に行かないと。一緒に行きましょう」
「でも」
 フィリシアは、フルートのいるほうを振り返った。しかし、この背丈では、草木に遮られ、彼の姿を見ることはできなかった。小人の娘は、じれったそうにフィリシアの手をつかんだ。
「魔法を解くには、もう一度ドルドルに会わないといけないの。ドルドルもお茶会に出るわ。早く行かないと、ドルドルを取り逃がして、魔法、解けなくなっちゃうわよ」
「それは困るわ」
 フィリシアは慌てて向き直った。娘は、うんうんと頷いた。
「魔法を解いてもらうには、ドルドルをつかまえて、こう言えばいいの。『魔法を解いてちょうだい、ドルドリッチ!』・・・でも、天井のないところにしてね。あなたが元の大きさに戻ったとき、私たちの家が壊れるといけないから。私のことは、リジーって呼んで」
「ありがとう、リジー。私はフィア」
「よろしくね、フィア。さあ、お茶会に行きましょう!」

小人のお茶会(01)

 新緑がまぶしい森の中を、小川に沿って馬を進めて行くと、小さな滝があった。
「このあたりで、しばらく休憩しよう」
と、フルートが言って、馬を止めて降りる。「そうね」と応じて、フィリシアも馬を止め、フルートの手を借りて降りる。
「あまり遠くに行かないように気を付けてくれ」
「ふふ。はい」
 あとの二人とは別行動中だ。金髪の王子に、あまり心配をかけないようにしよう、と、青い髪の王女は思った。
 二人きりで行動するのは、国境近くの、あの事件のとき以来だ。なんとなくお互いに気まずいときがあるが、仕方のないことだろう。――うっかり思い出しかけて、フィリシアは慌てて頭を振り、記憶を追い払った。
 フルートは、愛馬に水を飲ませたあと、そばの木にもたれて座り、剣を抱えて目を閉じたようだ。フィリシアは、自分も馬に水を飲ませて、少し離れた場所で休もうとしたが、ふと、森の中から、かすかに人の声が聞こえたような気がして、振り返って耳を澄ませた。
 気のせいではなかった。若い娘の声が、
「困ったなあ。だれか来て。手伝って。お願い!」
と、繰り返している。小さい声だが、そう遠くではないような・・・。
 フルートのほうを見ると、彼には聞こえていないようだ。水音にかき消されて、届かないのかもしれない。
 フィリシアは、声の聞こえる方角に向かって、森の中へと数歩、踏み込んだ。丈の高い草むらをかき分けたところで、娘の声が、「きゃっ」と叫んだ。フィリシアも息をのんだ。
 声の主は、フィリシアの目の前にいた。フィリシアの膝くらいまでの背丈しかない、濃い緑色の髪をした美しい娘だった。彼女は、かがみこんだフィリシアを見上げて、凍り付いたように立ちすくんでしまったが、何を困っていたのかは一目瞭然だった。その長い髪が、あちこちの草に絡まっていたのだ。
 フィリシアは、相手を驚かさないように、ごくごく小さな声で言った。
「ほどくのを手伝うわ。あなたは、そちら側を外して。私は、こちら側を外すわ」
 ゆっくり、そっと手を伸ばして、娘の髪をほどき始めると、娘はうなずいて、無言で自分も髪をほどき始めた。幸い、そう時間はかからずに、娘は自由の身になった。
「ありがとう、大きいひと。おかげで、お茶会に間に合いそう」
 娘は緊張した声で言って、急いで立ち去った。直後、近くから、今度は老人の声がした。
「おおい、こっちも助けてくれ」
 フィリシアが草むらをかき分けてみると、そこには、真っ白な長い髭を草にからませた、やはりフィリシアの膝くらいまでの背丈の老人が、ぷんぷんと怒っていた。
「こういうときは年長者を先に助けるものじゃ。大きいひとは、そんなことも知らんのか」

予告:「小人のお茶会」

お待たせしました~。予告です! 
フィリシアがメインの本編になります。控えはフルートで。
タイトルからお分かりのように、かなりメルヘンチックなお話ですshine

まだ旅は最初のほうで、水不足も発生していません。
「石の大蛇」よりもさらに前、つまり、(「訪問者」を除いて)今までで一番早い時期の本編になります。

ひとつ、ごめんなさいがあります。
話中、「国境近くの、あの事件」なるものに言及があります。
そんなエピソード、あったっけ? と思われる方もいらっしゃると思いますが、
まだ書いていないお話です・・・sweat02
大変申し訳ありませんが、気にせず読み進めていただければと存じます。
ちなみに、「竜王の館(後編)」で言及されている「国境近くのごたごた」と同一イベントを指しています。

全4回くらい?です。
木曜夜のスタートになります。
どうぞよろしくお願いいたしますheart01

こぼれ話:セレンのファーストキス

お話を書くときは、割とガシガシ削って書きます。
読者の方の想像を妨げないために削る場合もありますが、お話のバランス調整のために削る場合も多々あります。
前者の場合、削った部分は白紙になりますから、誰でもお好きなように思い描いてくださればよいのですが、後者の場合、削った部分は作者の頭の中に、「書かなかったけど、本当はあったこと」として残っています。

記述部分が没になったことに変わりはないので、読者の方が異なる絵をお望みなら、いくらでも書き換えていただいて構わない部分ですけれども。
今回は、そういう、バランス調整のために作者が削った部分をひとつ。
「あの子どこの子」の一場面です。
誰がルークの恋人役を務めるかで揉めているところ。

***

セレン「だけどさ、ルークとキスするとか、しないとかって、それほど重大なこと?」
女の子たち「当たり前じゃない!」
セレン「キスなんて、犬に舐められたと思えば、たいしたことでは――」
女の子たち「何よ、それ! 初めてのキスは、好きなひととしたいに決まってるでしょ!」
セレン「そんなこと言ったら、ぼくの初めてのキスは、親戚の家の犬に舐められたんだけど。いつも、遊びに行くと飛びかかって来て、顔中を舐められるんだ」
女の子たち「・・・」「・・・そうなんだ」「・・・可哀想なセレン」

***

というわけなのでした。
また、セレンが初めてキスした「人間の」お相手は、不詳ですので皆様のお好みのままに。
やたらと親戚に女の子が多そうなイメージなので、そのうちの一人であってもいいですし、そうではなくて雑貨屋のエリナであってもいいと思います。
BL志向なら、後日セレンがルークに「ねえ、この前の続き…(顔真っ赤)」みたいなのも、有りなのかな(それとも逆なのかしら?)。

ちなみに、「あの子どこの子」のエンディングは、「セレン&エリナ」パターン、セレン独白パターン、未来チラ見パターン、の3種類の中から、迷った末に、未来パターンを選択したものです。
選択しなかった残りの2パターンについては、すでに白紙です。

以上、制作裏話でした。
この週末は、ぐうたら過ごしてしまったので、次回作の進捗報告はもう少しお待ちくださいsweat02

お知らせ:目次が長くなったので

最近、トップページから入ると最新記事が見えにくくなって来たな、と思っていました。
試しに、サイト案内と目次とを分割してみました。
しばらく使ってみていただいた上で、あまりにも不便なようでしたらお知らせください。

ひとやすみ系、雑談。
当サイトも参加している「うちの子ご自由にお描き下さい同盟」の「交流コーナー」が、あと10日で閉鎖されます。
同盟自体が無くなるわけではありませんし、交流サイトを新しく立ち上げた方もいらっしゃるようなので、さほど憂えることはないのでしょうけれど、ちょっと寂しいです。
目の保養のために、ときどき絵板を眺めに行っていたので。
「そんな同盟サイトがあるんだー」と思われた方は、できれば交流コーナーが無くなる前に、一度覗いてみてください。
交流コーナー、素敵な場所だったんですよ~confident

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