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風に揺れる花の中で(02)

否、これは自分の夢だ。
と、セレンは知っていたが、姫君の明らかに安堵した様子を見れば、異議など唱えよう筈もなく。自分ひとりに向けられた微笑みに、心はふわふわと舞い上がった。
もちろん、夢のからくりには気がついていた。つまり、夢の中だから、「こうであればいい」と願う気持ちが、見たいものを見せ、聞きたいものを聞かせているのだ。
そう、夢だとわかっている。でも、だからこそ。このひとときだけ、願いの叶う幸せに溺れよう。
ミルガレーテは、ほんのりと頬を上気させ、白い花の中をゆっくりと近づいて来た。手を伸ばしてもわずかに届かないだろうあたりで、足を止め、はにかみながら言った。
「私ね。セレンと、こうしてお話、してみたかったの」
鈴を振るような心地よい声に、セレンはうっとりと聞き惚れる。しかも、「お話、してみたかった」とは! 夢ではあっても、身に余る光栄だ。姫君は、さらに続けた。
「夢の中でお話できたから、夢から覚めても、勇気を出して、お話できるかしら」
「できますよ、きっと。ぼくも、あなたとゆっくり話せたら嬉しいと思っています」
セレンは優しく請け合った。彼自身が、この夢を見たことで励まされる気がした。ひとり静かに想っていることを、許されたような気がした。
しかし、おそらくは、あまりにも幸せな気持ちに満たされた反動で、彼は不意に、怖くなった。永遠を生きる姫君と、いつかは道を分かつときが来るのだと、鉛色の予感がささやいた。
「ミルガレーテ。臆病なぼくのために、約束してくれませんか」
「約束?」
「いつかあなたが、ぼくの前から姿を消す日が来たら。最後に立ち去るときに、そのことを教えてください。愚かなぼくが、あなたの訪れを待ち焦がれて狂うことのないように」
姫君は、びっくりしたような顔をして、
「私より先に、セレン、あなたのほうが、私を置いて、行ってしまうでしょう?」
「永遠を生きることはできなくても、この魂はずっと、あなたのものです」
静かに言い切ったセレンを、姫君は、じっと見つめた。それから、うつむいて言った。
「・・・わかりました。約束します」
ふと、セレンは、姫君がこのまま消えてしまうのではないかと思った。

――夢の中で恐れたことは、夢の中で実現する――。

気がつけば、姫君は、来た時と同じように、空気に溶けるようにして消え去っていた。見えるのは、風にそよぐ白い花ばかり・・・。
どこまでも花の咲く野にひとり残されると、途方もなく大きな喪失感が訪れた。覚えず、涙がこぼれた。

悩みましたが、あと少しだけ続きます。

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コメント

月路さん

こんばんは。
なんて切ないお話なのでしょうmoon3

でも まだ2話なのですよね。
次回を 楽しみに待つことにいたします。
夢のような淡い恋はどこへ行くのでしょう・・confident

montiさん、
コメントありがとうございます♪

書き始めたときは、夢から覚めたところで終わりにして、
あとは読者の皆様にお任せしようと思っていました。

でも、ここまで書いてみて、気が変わり・・・。
ここで終わったほうが物語としてはスマートかもしれないけど、
それでも、目覚めたあとのことも書いておきたくなりました。

というわけで、あと1回、ありますheart

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