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  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

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2014年1月

こぼれ話:謎は遠い未来へ…

「遥かな国の冒険譚」の中に現れる謎のうちのいくつかは、この物語の中では解決されません。
たとえば、古代王国レティカの宝剣は、13本セットだったものが散り散りになり、この物語の中に4本出て来ますが、残り9本の所在は明らかになりません。
なぜそういう設定になっているのかは、以前、「こぼれ話:ミルガレーテと黄金の剣 」で少し書かせていただいたとおりです。

今回、「雨やどり」に書いた、西ローレイン(メルザリーン)の国民消失事件についても、やはり似たような事情があります。
メルザリーンの民がどこに消えたのかという謎は、ずっと遠い未来を描くSF作品の中で解決される予定でした。
その物語の主人公はテレパスで、ふだんは星間連合観光局の職員として働いていますが、実は特殊工作員。という、これまたベタな設定のお話。
主人公の名前はジュノリスで、非テレパスである弟の名前はセルアスで…(以下略)。

おそらく、もう、「遥かな国の冒険譚」以外のお話を書くことはないだろう、と思いはするものの。
私の心の中では、ほかの物語も、まだ生きているので。
謎のままの謎があることを、どうか大目に見てくださるよう、お願い申し上げる次第です。

作者より:「雨やどり」

「遥かな国の冒険譚」は、春に始まり翌春に終わる、約1年の旅の物語です。
前回の「金と銀の翼」は、旅の終わりが近づいている、冬のお話。
今回の「雨やどり」は、時計を半年ほど巻き戻して、夏のお話。
ということを、あんまりきちんと予告に書かなかったため、最近読み始めた方は戸惑ってしまわれたかもしれません。申し訳ありません。
基本、こんな感じで、作者の気の向くままに時間を行ったり来たりしながら、少しずつ進行していく物語です。

番外編「海辺にて」で、ゼラルドの母であるロザリア王妃が背負った無実の罪が、いったい何だったのかは、いずれ書こうと思っていたことでした。ようやく書けました。
ただ、西ローレインの民がどこに消えたのかは、「冒険譚」本編では明らかにならないと思います。
触れるとしたら、ロザリアを中心とした番外編になりそうですが、書くかどうかは未定です。

そして、こんなに小さなお話ですが、さりげなく主人公たち勢ぞろいの回なのでした。
そのくせ、登場人物を紹介する記述はほとんどないので、これまた、最近読み始めた方には読みづらかったかもしれません。
気配りが行き届かず、誠に申し訳ありません…sweat02

個人的には、そろそろフルート(ルーク)のお話を読みたいな、と思っているところです。
読みたければ、書くしかないですね、そうですねcoldsweats01

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雨やどり

 急に雲行きの怪しくなった空を見て、雨をしのげそうな場所を探した一行が、なんとか手ごろな岩棚を見つけて駆け込んだ、次の瞬間、ザーッと音を立てて雨が降って来た。
「間一髪ね。よかった」
と、フィリシアが言い、
「早くやむといいね」
と、セレンが応じた。その後ろでは、フルートがゼラルドに、
「君が前に豪雨をやませたのは、<月の力>なのか?」
と尋ねて、短く、否と返されていた。もちろん、黒髪の若者はそれ以上の説明をしない。
 セレンは振り向いて、自分も尋ねてみた。
「それなら<太陽の力>なのか? 君が太陽の神に祈れば、この雨もやむということ?」
「愚かな。この程度の雨を、なぜ、やませる必要がある」
「たとえばの話だよ!」
 聞いていたフルートが、不思議そうに口を出した。
「ゼラルドは月の聖者ではないのか。ローレイン王家の者は、代々、月の聖者なのだろう」
「そうだが、ぼくは亡くなった母が西ローレイン出身だったから、太陽と月、どちらの力も使うことができる」
 ゼラルドの答に、フルートは納得せず、さらに質問を重ねた。
「太陽の聖者は一度、粛清されたのだろう。なのに、<太陽の力>が禁術とされていないのは、なぜだ?」
「・・・粛清は、反乱の意志ある者を対象とした。<太陽の力>自体は有用なものだから、減少した聖者を新たに育成することは、むしろ推奨されている」
「ふうん」
 黙ったフルートの代わりに、セレンが、ためらいがちに言った。
「王妃を除いて、粛清など無かった・・・という説もあるよね」
 ゼラルドは、やや驚いたようにセレンを見た。セレンは続けて、
「対外的には、ロザリア王妃――君の母上が内乱を首謀し、彼女を含む太陽の聖者たちは前後して粛清されたことになっている。でも、本当は・・・ある日、西ローレインから一夜にして民が消失し、そのことについて東ローレインの民と対外諸国を納得させなければならなかった為政者たちが、粛清を装ったのだ・・・と、聞いたことがある」
「君は、情報網だけは素晴らしく広いようだね」
と、ゼラルドが言った。
「『だけ』は余計だ」
とセレンが言い返すのを無視して、物憂げなまなざしで、続けた。
「西ローレインで何が起きたのか、本当のことは何も分からない。仮に、一夜にして大勢の民が消失したというのが本当のことだとしても、彼らがどこに消えたのかは不明だ。たしかなのは、いまや名実ともに西ローレインは存在せず、ローレインといえば東ローレインを指すということだけだ」
「あんなに栄えていたのに」
と、鈴を振るような声が言った。いつのまにか、ミルガレーテ姫が、儚げな姿を現していた。いくぶん寂しそうな声だった。
「西ローレインは、金の翼。東ローレインは、銀の翼。両翼揃ってこそのローレインだったのに。片方だけなら、ローレインは独立できず、今でもレティカ王国の支配下にあったかもしれない・・・」
「ああ、そうか」
と、フルートが気付いて、
「ローレインは、ローレイン語では『ウェルザリーン』、すなわち『聖なる銀の翼』。滅んだ西ローレインは、たしか『メルザリーン』、ということは、『聖なる金の翼』か」
「その両方の血を、ゼラルドが受け継いでいるのね」
と、うっかりフィリシアが言ってしまって、一同はしばし黙った。両方の血を受け継いだ唯一の王子は、王位継承権を保持したまま国を捨て、暗殺者に追われている――。
「・・・雨がやんだようだ」
と、黒髪の王子は静かに言った。
「ああ」「そうね」「そうだね」と、めいめいが夢から覚めたように言い合って、岩棚の下から出て、馬を引いた。
 失われし太陽の国、謎多きメルザリーンの話は、そうして、それきりになった。

(完)

予告:「雨宿り」

はい、予告です! 
タイトルは「雨宿り」。補完の意味合いの強いお話です。全1回で終わらせてしまいます。

「金の翼」とは何なのか、「銀の翼」とは何なのか。
それと、ゼラルドの実母であるロザリアが、なぜ処刑されなければならなかったのか。
について、若干の解説を試みるお話になります。

ロザリアって誰?という方は、この機会に、番外編の「海辺にて 」(全5回)をどうぞ。
番外編(多くは登場人物の過去のお話)は、比較的、単品でも読めるお話が多いので、読み始めたばかりの読者様にも、読みやすいのではないかと思います。
また、「最近読み始めたけど、あまりにも登場人物のことが分からなくて、ついていけない」感じの方は、ひっそりと存在している「登場人物紹介 」で、ひとまずご勘弁を。

「雨宿り」は、あさって日曜日に、推敲が終わり次第、掲載します。
よろしくお願いいたします♪

進捗状況報告(2014/01/22)

「金と銀の翼」を書いたら、「金の翼」と「銀の翼」という言葉について、補完しておきたい気持ちになりました。
それぞれ「太陽の力」と「月の力」の象徴のように読めたと思うのですが、実はもう少し違う意味もあるのです。

そういうわけで、1ページ(たぶん)の掌編を挟ませていただきます。
タイトル予定は「雨宿り」です。夏の終わり頃のお話、かな。
これから書くので、掲載目処が立ったら予告を出しますね。

よろしくお願いいたします☆

こぼれ話:王の右腕?

「金と銀の翼」を書くときに削っちゃいましたが、フルートは同時期、ゼラルドを引き留めようと試みています。

***

昼下がり、サロンに少しだけ顔を出したゼラルドが部屋に戻るのを、フルートが追いかけて来て、廊下に二人きり。

「ゼラルド。フィリシアの呪いが無事に解けたら、一緒にリーデベルクに戻らないか」
「・・・?」
「周りには、旅先で知り合ったと説明する。人前に出なくてもいいように取り計らおう。君が将来、ぼくの右腕となってくれたら嬉しい」
 ゼラルドは一呼吸おいてから、冷ややかに笑って、答えた。
「君の利き手は左だし、君の左腕は、ぼくを右腕と認めないだろう」
「では」
「右腕であろうと左腕であろうと、ぼくは君の補佐をするつもりはない」
「そうか・・・、すまなかった、忘れてくれ」

***

フルートは元々は左利きですが、ほぼ両利き。
あとは全員、右利きです。

作者より:「金と銀の翼」

「遥かな国の冒険譚」は、全体がおよそ1年間の物語なので、主人公たちの誕生日も、1度ずつ巡って来ます。
でも、このひとの誕生日を最初に書くことになるとは…、自分でもびっくりです。
本当は、最後に誕生日が巡って来るひとです。
旅の目的であるフィリシア解呪を、目前に控えた時期の出来事です。

ささやかなお話にしたかったので、ぎりぎりまで削いで作りました。
あるいは削ぎすぎたのかもしれません。
いつかロングバージョンを作る日が、来るかもしれないし、来ないかもしれません。

次回からは、また時計を巻き戻して、お話を続けます。
まだまだ終わりませんよ~☆

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金と銀の翼(03)

 ゼラルドが箱を開けると、中には、繊細な意匠の指輪が入っていた。金と銀をねじり合わせたリングに、小さな輝石がいくつか埋め込まれている。赤と、青と、緑と、透明な石。
「私たちね、思ったの。あなたがよく、術を使うときに指輪を使うから、贈り物は指輪にしようって」
と、フィリシアが説明した。
「太陽の力も月の力も使うひとだから、金と銀を合わせた指輪にしようと決めたの。そうして、もしあなたが・・・もしあなたが、いつか私たちと道を分かつことがあっても。私たちの祈りはずっとあなたとともにあることを、忘れないでほしいと思ったの」
 輝石の意味は、言われずともわかる。彼ら4人の持つ宝剣に嵌まっているのと同じ石だ。赤はフルート、青はフィリシア、緑はセレン、透明な石はゼラルド自身。
 目を上げれば、フルートは楽しそうに、フィリシアは心配そうに、セレンは興味なさそうに、こちらを見ている。
「ありがとう」
と、ゼラルドは素直に言って、ぴったり合う右手薬指に、指輪をはめた。実のところ、無事にフィリシア姫の呪いが解けたら、道を分かとうと思っていたところだった。
 旅の終わりは近く、「終わる」ことが今は怖ろしい。口に出したことはなかったが、仲間たちは仲間たちなりに、うっすらと気づいていたのかもしれなかった。この指輪は彼の空虚を埋めてくれるだろう。

 平穏に過ぎたその日の夜、眠りに落ちる直前に、彼は、半ば予期していたとおり、その声を聞いた。天より響く声。
≪光満ちて闇と変じ、翼狩る者が彼岸の門をひらくとき≫
≪汝、金と銀の翼をともに受け継ぎし者よ。行きて、天命を知れ≫
 声は、それだけを言って去ってゆく。
 天命、か。――彼は苦く笑って、そのまま眠りについた。

(完)

金と銀の翼(02)

 小さな城館に身を寄せて、彼らは天候の回復を待っているところだった。目的地である解呪の聖泉は、1年のうちわずか数日だけ、冬の晴れた日に姿を現すのだという。土地の者の言によれば、あと1週間ばかり待つ必要があるらしい。
 いつもどおりの時間に目覚めた彼は、起き出して窓際に行き、雪がまだ止んでいないことを確かめた。そして、身支度を整えながら、今日という日の意味を考えた。
 表面上は、きっと昨日と変わることなく、何事もなく穏やかに過ぎるのだろう。数年前の彼には想像もつかなかった、「仲間たち」と共に過ごす平穏な1日。
 だが、とうとう巡り来てしまった今日を境として、彼は昨日までとは異なる覚悟を強いられる。そのことを、彼自身だけが知っている。
 いつものように聖札を机に並べ、大切な友人たちに災いの卦が出ていないことを確かめてから、黒髪の王子は、朝食をとるために部屋を出た。

 食堂に入ったとたん、思いもよらぬ祝福を受けた。
「お誕生日おめでとう、ゼラルド!」
 フィリシア姫の快活な声とともに、目の前に、色とりどりの花びらが舞い降りて来る。
 彼は足を止め、しばし言葉を失った。誰かが自分の誕生日を覚えていようとは思ってもみなかったし、そもそも彼にとって、誕生日は祝うようなものではなかったからだ――ことに、今年は。
「・・・・・・ありがとう」
 ふさわしい言葉を探した末に、なんとか礼を言ったが、よほど戸惑った顔をしていたのだろう、仲間たちは可笑しそうに笑った。彼が席につくと、紫色のリボンのかかった白い小箱が置いてあり、
「開けてみて」
と、にこにこしながら、フィリシアが言った。

金と銀の翼(01)

 「終わりがある」ことは「救い」なのだと、彼は信じていた。
 いつか終わると思えばこそ、日々を生き抜いて、今ここに在ることができたから。

 故国にいたころ、彼は、笑うことも泣くことも怒ることもしなかった。それをすれば、不幸な誰かが命を奪われるのだと、知っていたので。
 喜びも悲しみも彼のもとを去って久しく、どのようなものか思い出すのが難しいほどだった。自身の胸を埋めている、ひび割れた鉛のような塊が、果たして心と呼べるものなのかどうかさえ、彼には分からなくなっていた。
 かろうじて彼を狂気の淵から救ったのは、「望むなら、今すぐにでも自らの手で終わりにできる」という理解だった。
 今日を生き延びたら、明日、終わりにしても良い――。
 そう思いながら、彼は1日を生き延びた。そして、巡り来る「明日」は当然の顔をして、新しい冷酷な「今日」に変わるのだった。

 もし、彼が、人の身には決して数えることができないと言われているものを、数えてしまうことがなかったなら。
 きっと今でも、彼は国を捨てることなく、胸に重い鉛を抱え、「今日」を耐え続けていたことだろう。
 だが、現実には――
 彼は故国を遠く離れ、小さな北の国で、その特別な日の朝を目覚めたのだった。

予告:「金と銀の翼」

お待たせしました。予告です。

当初、「見えない守り手」という短編を予定していましたが、捗らないので、脇に置きます。
代わりに、「金と銀の翼」という、さらに短いお話を書きます。

規模としては、「金の砂の塔」や「月の娘」と同じくらいの小品になります。
1回あたりの分量も、あんなような感じです。
最近の作品に慣れていると、「えっ、今日、これだけ?」と思われそうですが、ご容赦をcoldsweats01
全3回かな? 本編、ゼラルドのお話です。
題はキラキラしてロマンチックですが、中身は静かで、やや翳があります。

あさって金曜夜のスタートを予定しています。
よろしくお願いいたしますshine

ひとやすみ:本年もよろしくお願いいたします

今年初めての更新になります。
2014年も、どうぞよろしくお願いいたしますfuji 

初詣で、可愛らしいおみくじを発見し、引いて来ました。
花びら5枚が重なっている形で、開くと桜の花の形に。

2

つい、「健康」のところに目が行っちゃいます。
「体に負担をかけてしまうとき。無理は禁物」だそうです。ん、気をつけます。
昨年は比較的、体調が安定していたので、今年もなんとか良い状態を保ちたいです。
元通りに畳んで、お財布にしまいましたconfident

記事をさかのぼってみると、昨年の今頃は、年末に「夜を越えて」を終わらせ、年初に「髪を編む」を書いていたようです。
今年は、年初に出せる予告がなくて申し訳ありませんsweat01
「見えない守り手」というお話を書いていますが、はかどらず、迷っています。
どうやら少し暗いお話になりそうだし…、いったん手を引いて時間を置こうかしら…。

いずれにしても、私もそろそろ『冒険譚』を読みたい気分なのです。
自分が書かなければ読めない以上、何かは書きますcoldsweats01
仕切り直して、近々お知らせしますので、もう少しだけお待ちくださいませclover

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