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夏の日の青い空(05)

 翌日も、すっきりと良く晴れて、いい天気だった。前日の悪者退治のことで、ナッジの話を聞きたがる者も多かったが、ナッジは遅れた仕事を片付けるべく、親方と一緒に鍛冶仕事に没頭した。
 昼どきに、ふうと手を休めて汗をぬぐっていると、工房の開け放った戸口から、物柔らかな若者の声がした。
「失礼します。ここに、ナッジさんという方はいますか?」
「おう、俺だ」
と答えて振り返ったナッジは、びっくりした。なるほど、昨日の詐欺師が本物の貴人であるはずがない。本物の貴人とは、こういう者のことを言うのだ。
 さらさらと長い金の髪。見るからに仕立ての良い、明るい緑色の服。戸口に立って首をかしげているだけなのに、優雅で、どう見ても一般人ではない。深い緑色の瞳でナッジを見て、若者は、にこ、と笑った。
「セレンといいます。ルークという友人のことを宿で尋ねたら、あなたを紹介されました」
「ああ、それは・・・」
 ナッジは戸口へと向かった。そういえば、昨日の詐欺師の片割れも、セレンと名乗っていたっけ。リーデベルクでは、よくある名前なのだろうか。
 近寄ってみると、若者はナッジと同じくらいの背丈だった。華奢に見えるが、かなりの長身ということだ。ふと、ナッジは昨日のルークの言葉を思い出した――「もう少し調べて来いよ、『セレン』! 背丈しか合ってないぞ!」――
 体格の良かった詐欺師の名乗りは、たしか――
「――セレン・レ・ディア?」
「はい」
 ああ、やっぱり、貴族の若者だ。と、今さら思いながら、ナッジは少し緊張する。
「ええと、実は昨日、こんなことがあって」
 ナッジは、ルークと一緒に偽王子と偽臣下を捕まえた話をした。髪の長い若者は、驚いた様子で話を聞いて、聞き終わると笑いながら感想を述べようとしたけれど、
「よう、セレン。ナッジも」
 ひょいと、外からルークが顔をのぞかせた。
「やっと帰してもらえた。話、聞いたか、セレン」
「いま聞いたところ」
「ありがとな、ナッジ。すぐ発つだろ、セレン。馬を取って来る」
「うん」
 ルークを見送って、セレンはあらためて感想を述べた。
「聞いた限りでは、偽王子のほうも似ていませんね。フルート王子は、なんといえばいいのか・・・、そう、今日のような、雲ひとつない夏の空のような方ですから」
「ふうん」
 ナッジは、よくわからなかったので、あいまいに返事をした。セレンは気にせず、
「では、これで。お世話になりました」
「あ、いえ、どうも」
 ナッジはセレンの後ろ姿を見送って、工房で弁当を広げ、考えた。
 もし、きのうの「偽セレン」が、今の若者の偽者だとするならば。「王子の一の臣下、セレン・レ・ディア」は、こんな異国の町角を、ふらふら歩いていていいのだろうか? で、王子は「雲ひとつない夏の空のような方」・・・って、どんなだよ、さっぱりわからん。
 どこまでも青い今日の空。ふと、ルークの澄んだ青い目を思い出す。はは、まさかね。そもそも、偽王子とちっとも似ていないし・・・待て。「偽王子のほうも似ていませんね」?
 ナッジは、衝撃とともに思い出した。初めてルークに偽王子の話をしたとき、ルークが最初に言ったこと――「そいつ、俺に似てるか?」――!
「ナッジ」
「わっ! ル、ルーク?!」
 戸口に、彼が立っていた。陽光のような金の髪。迷いのない青い瞳。楽しそうな笑み。
「俺、行くけどさ、ひとつだけ。通りすがりに殴りかかるのは、やめたほうがいいぜ」
「あ、ああ・・・。そうだな。気をつける」
「じゃ」
と、軽く手を上げて。
 本物の王子は、ナッジの視界から立ち去った。
 輝く太陽と、雲ひとつなく晴れわたった青い空の印象を残して。

(完)

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コメント

月路さん♪

王子たちの痛快編、とても楽しく拝読いたしました(o^-^o)

「従者試験」「あの子どこの子」「髪を編む」
そして今回のお話。
王子たちの 読後感爽やかで 痛快なお話の数々
とても 大好きですflair
本当に, すかっと冴え渡る青空みたいmist

しばらく
るんるんと街を歩けそうですrun


montiさん、
コメントありがとうございます♪

コミカルなお話を書くときは、上滑りしていないか心配になるので、
楽しんでいただけたようでホッとしています。よかった~☆

montiさんの「るんるん」を思い描くと、私もほっこり嬉しくて、
やっぱり「るんるん」しちゃいます。
リアルは寒い冬ですが、同じ空の下で「るんるん」しましょうねhappy01

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