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お姫様と猫(03)

 夕方頃、フィリシアが目覚めると、部屋には、あの白い猫がいて、金色の瞳でフィリシアを見つめていた。フィリシアが体を起こすと、猫なりに姿勢を正して、可愛らしい声で、
「どうもありがとう。必要なことは、全部済んだわ」
と言った。
「そうなの? お役に立てたなら良いのだけれど」
「すごく役に立ったわよ! それでね、きっと明日、あなたに来客があるわ。その人は何か私の話をするかもしれない。でも、私が人の言葉を喋れることは、内緒にしておいてね」
「わかったわ」
 フィリシアが頷くと、白い猫は笑って、窓枠を跳び越えて去って行った。
 翌朝。
 前日より体が楽になったので、食堂の朝食を食べに行くと、陽光色の髪をした王子がいた。
「フィリシア。もう、その、大丈夫なのか? すまない、ぼくは、まったく気づかなくて」
 ぎこちなく言われると、こちらも気まずいのに、と思いながら、
「ありがとう、フルート。昨日よりだいぶ良いのだけれど、もし叶うなら、もう一日――」
「もちろん! 体調が良くなるまで、ゆっくり休んでくれ」
 食事のあと、姫君が部屋に引っ込むと、じきに、セレンが呼びに来た。
「ごめんね、フィリシア。君を訪ねて、来客があるんだ。出られそう?」
「どのような方?」
「身分の高そうな美人が、宿泊中の『青い髪の姫君』に会いたい、と。心当たりはある?」
「少しだけ。着替えて行きます。お客さまに、お待ちいただいてください」
 フィリシアは、荷物の中から、おとなしい藍色のドレスを取り出して着替えた。宿の外に出て行くと、見るからに高貴な女性と、数人の従者がいて、皆が「おお」とどよめいた。
 フィリシアは、その人々に面識がなかったので、「はじめまして」と挨拶をした。高貴な女性、おそらくは異国の姫君も、挨拶を返した。
「はじめまして。でも、本当は、お会いするのは初めてではありません」
 異国の姫君は微笑んで、続けた。
「私たちは、ひと月ばかり前に、南の国から旅をして、この街を通りかかりました。街の入口で、白い猫に会い、従者が棒で追い払いました。祖国では、猫は災厄を招くと言われていたので・・・。猫は、何かニャーニャーと遠くから鳴きたててから去って行きました。気が付くと、私たちは、自身が猫の姿になっていました。
 魔法を解くには、人間から、猫の言葉で『こんにちは』を言ってもらうことが必要でした。私たちにはそれが分かりましたが、人間の言葉を忘れ果て、誰にも伝えることができません。そうこうするうち、元は人であったことさえ、夢と思われるようになりました。
 そうしたら、きのう、あの白い猫が現れて、この宿に泊まっている青い髪の姫君を訪ねるようにと言うのです。私たちは、あなたの部屋を訪ね、あなたから猫の言葉で『こんにちは』をいただいて、自分たちが人であったことをはっきり思い出しました。
 おかげさまで、今朝の日の出とともに、みなが人間に戻ることができました。1人も欠けてはおりません。みな、あなたのおかげです。どうもありがとうございました」
 姫君と従者たちは、フィリシアに向かって、深々と頭を下げた。そして、ひと月の空白を取り戻すべく、急いで旅立っていった。

 数日後、フィリシア姫も、仲間たちとともに街を発った。
 街の門を出て、ふと振り返ると、門のところに白い猫が座っていた。フィリシアを見ると、ゆっくりまばたきして、「にゃあ」と鳴いた。
 フィリシアも、ゆっくりまばたきして、「にゃあ」と言った。フルートが驚いたようにフィリシアの視線を追い、フィリシアと猫を見比べながら、「知り合いか?」と真顔で言った。
「そうよ、知り合いなの」
 フィリシアが言ったのが聞こえたのだろうか、白い猫は笑ったようだった。
 そして、猫は、満足そうに、街の中へと戻って行った。

(完)

間が空いて、申し訳ありません。
出かけたり、体調崩したりで…sweat02

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コメント

月路さん
おはようございます(o^-^o)

体調落ち着かれたのなら良かったです。
きょうは ゆっくり体を休めてくださいまし。

楽しみにしていた「お姫様と猫」完結したんですね・・
とても素敵なお話だったので、少し寂しいようなwink
おしゃれな白猫さんのファンになりました。
また ぜひ どこかで会いたいものですcathorse

montiさん、
コメントありがとうございます♪
いつもお気遣いいただき、ありがとうございます。

最近、ネットを通じて交流のある方々とお話ししながら、「身近に猫のいる方が多いなあ」と思っていたので、猫の話を書きたくなって、書いてみました。
(montiさんにも、ザジがいますねconfident
白い猫のお話、気に入っていただけて嬉しいですshine

今日は、これから美容院に行きます。
あとから、montiさんのブログにも遊びに行きますね~☆

月路さん、こんにちは✿
おかげんいかがですか?
白い猫さんはまだまだ謎ですが・・。
異国の姫君と従者の方々が
人間に戻れて良かったです。
ふわんと謎を残しながらほわんとしたお話でした。(=^・^=)

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪
おかげさまで、だいたい元気になりましたhappy01 お気遣いありがとうございます。

ふわっとした、夢のようなお話にしたかったので、「ふわん」「ほわん」は嬉しいご感想ですshine
白い猫については、今後の登場予定は(今のところ)ないので、読者の皆様のお好きなように想像していただけたらいいな、と思っていますcat

雪村さん、こんにちは。
最近、時間はたっぷりあるはずなのに何故か時間に追われて(多分、時間の使い方が下手^^;)、なかなかお邪魔できませんでしたが、とうとう、遥かな国欠乏症の禁断症状がでてきたので、色々とばっさり諦めて、読みに来ちゃいました(笑)

お姫様と猫、読ませていただきました。
一読目の感想→素晴らしい。
二読目の感想→素晴らしい。
三読目の感想→素晴らしい。
でした。

白猫ちゃん、勝手ながら、ディズニーのマリー(猫のキャラクター)を想像しながら読みました。目の色が違いますが(こちらの白猫ちゃんは金色、マリーは確かブルー)、ちょっとおしゃまな感じがぴったりで、特に最後の門のところのシーン、ものすごくはまり役でした。
もう、どう感想を書いていいやら分からないくらい好きです。ごめんなさい。
とにかく胸が高ぶったので、この気持ちを作り手様に伝えねばと、思いつくまま書いてます。ごめんなさい。
元気(やる気)が出ました。ありがとうございます。
また近いうちに、ゆっくりお邪魔させていただきます~!

のんさん、
コメントありがとうございます♪
えっ、禁断症状って、いったいどんな…coldsweats02sign02

ポワンとした「お姫様と猫」を気に入ってくださって、ありがとうございます☆
のんさんのような猫好きな方に「好き」と言っていただけて嬉しいですcatheart04
メルヘンチックなお話ですから、マリーのイメージも大変光栄ですshine

のんさんのコメントから、私も元気をいただいています。ありがとうございます。
煮詰まったときなどには、いつでも息抜きにおいでくださいませ。
おつかれの出ないようにご活躍くださいねconfidentclover

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