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2014年5月

作者より:「霧の中」

このお話では「今」を選んだ旅人たちではありますが、後年、過ぎし日々を思い返しながら、「あの旅の日々に戻りたい」などと言うこともあるのかもしれません。
あとから振り返れば夢のように感じられるだろう、特別な1年間の旅。
その旅の途上では、みんな、「今が一番いい」と思っていた。
「霧の中」は、そういうお話です。

現実世界を生きる私たちは、どうあがいても「今」から逃げることはできません。
傷ついたり、欠けたり、えぐれたりしながら、「今」と向き合うしかない。
でも、だからこそ、「今を選ぶ」物語を書きたくなったのかな…、と、思っていますclover

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霧の中(01)

 森を通り抜ける道は細く、一行は、縦一列に並んで馬を進めていた。
 霧が出て来たので、道を逸れることをおそれ、互いが見えないほど霧が濃くなったら馬を止めようと、皆で決めた。
 気をつけながら、しんがりで馬を操っていた黒髪の王子は、前の馬が見えないほど霧が濃くなって来たので、手綱を引いて馬を止めた。
 事前に取り決めてあったことでもあるし、また、すぐに霧も晴れるだろうと思ったので、彼は、誰に声をかけるでもなく、そのまま無言で待った。

 ほどなく、真っ白な霧の中、どこからともなく、男とも女ともつかぬ低い声が問いかけて来た。
≪旅人よ。いつなりと、汝の望む過去の時点に、戻してやろうか≫
 ゼラルドは、思わず苦笑した。いったい自分に、どのような望ましい過去の時点があるというのだろう。仮にそのような時点があるとして、その時から今にいたるまでの困難を、再び味わいたいとは、とうてい思われなかった。
「必要ない」
と、彼は、にべもなく答えた。すると、声は今度は、このように問うた。
≪では、旅人よ。いつなりと、汝の望む未来の時点に、送ってやろうか≫
 ゼラルドは、ゆっくりと十、数えられるほどの間、沈黙した。それから、冷ややかに笑って、問い返した。
「そういう汝は、私にどのような望ましい未来を見せてくれられるというのだ」
≪・・・≫
 霧は、黙りこんだ。再び、ゆっくりと十、数えられるほどの時間が流れた。
「必要ない」
と、ゼラルドは告げた。泣きたいような笑いたいような気がしたが、静かに続けた。
「私は、今を選ぶ。私を、今に返せ」
 霧は、うなずいた――ように思えた。

 すうっと視界が晴れて、はっきり前が見えるようになると、やや離れた前方で、仲間たちが彼を待っていた。
 ゼラルドが追いつくと、青い髪の姫君が、
「あなたも、聞かれた?」
と、言う。どうやら、仲間たちもみな、同じ質問を受けて、「今」を選び取ったらしい。
 ゼラルドは答えずに、仲間たちを見ながら、思案して、得心した。
 たとえば、フルート王子は、自身が最善を尽くして獲得した「今」を放棄して、過去に戻ることになど興味がないだろう。また、自身がその手で切りひらく以外の未来になど、価値を認めないだろう。
 フィリシア姫は、日々を丁寧に積み上げた結果としての「今」を尊び、過去に戻って積み上げ直すことに意味を見出さないだろう。これからも、望ましい今を積み重ねることこそが、望ましい未来に至る道だと思っているだろう。
 セレン・レ・ディアは、通り過ぎていく「今」という一瞬を愛している。すでに去った過去よりも、まだ訪れていない未来よりも、目の前の「今」をこそ愛おしみ、それを手放すことなど考えもしないだろう。
 それに引きかえ、と、ゼラルドは自嘲気味に思った。選ぶべき過去も未来も持たない自分は、やむをえず「今」に戻って来ただけだ。

 ふと見ると、フィリシア姫が、にこにこと彼を見つめている。なんだろうと見つめ返すと、姫君はこう言った。
「今を選んでくれて、ありがとう」
 不意を突かれたゼラルドの戸惑いに気づいたのだろうか、姫君は言葉を重ねた。
「故郷を離れて私たちと共にある今を、選んでくれて、ありがとう」
 その言葉は、ゼラルドの胸に飛び込んで、すとんと腑に落ちた。
 ああ、そうか。自分は、仕方なく戻って来たのではない。他に行く場所を持たずとも、帰るべき場所を持つ者として、進んで、今を選びとったのだ。――自分には、奇跡にも似た「今」がある。

 フルート王子が、やや不機嫌に、「遅い!」と、文句を言っている。
 それで、一行は、何事もなかったかのように、「今」をゆく旅に戻ったのだった。

(完)

予告:「霧の中」

「笑わない娘」という、暗くてさびしいお話のことを考えていたのですが。
不意に、ぽっかりと1ページの掌編が浮かんで来たので、そちらを先に書きます。

ゼラルドがメインのお話です。本当に1ページです。
土曜日に掲載する予定です。よろしくお願いいたします。

ひとやすみ:神奈川県庁の謎

宝探しや謎解きにはアンテナを立てていたつもりだったのに、見逃していた・・・!

昨日と今日(←2014/5/17-18)、神奈川県庁で、こんなイベントをやっています。
ついさっき(←朝7時頃)知りました。

「神奈川県庁の秘密 ~第二の知事室の謎~」
http://www.nazotown.jp/q-kantei/

公演は、10時半の部と、14時の部があります。
当日チケット3000円。

横浜なら、行ける距離なのに。
昨日ならスケジュール調整できたのに。
誰か誘って、一緒に行きたかったなあ! 残念!

今日、この記事を見て、比較的お近くの方で、間に合う方がいらっしゃるかも、と思い、ひとまず書いておくことにしました。
もしもお出かけになった方がいらしたら、あとで感想教えてくださいねcherry

こぼれ話:フルートの馬

フルート王子は、文字通り「白馬に乗った王子様」です。
お話の中でさりげなく言及されることもある、その「白馬」は、精霊からリーデベルク国に献上された、特別な馬です。
非常に長命で(100年くらい)、足が速く、頭も良く、気位が高い馬です。

馬の名は、国の名にちなんで、リーデアといいます。
主人であるフルート以外の人間を、その背に乗せることは滅多にありません。
「風の贈りもの」で、おとなしく子供たちを乗せたのは、たぶん子供たちが人間ではなかったから。
また、セレンがフルートに初めて会ったとき、フルートが連れていた「仔馬」は、幼少期のリーデアです。

・・・と、いうようなことを語る機会が意外とないので、ご紹介してみました。
このような豆知識を知らずとも、お話を読むのには何の差しさわりもないと思いますけれど。

いずれは、物語の中で、フルートと愛馬の絆をご紹介できる日も来るだろうと思いますhorse

作者より:「風の贈りもの」

思ったほどには、シンプルにならなかったような…? 
もっと、すっきり、骨だけのお話を作りたかったのですが。

「いやいや、骨だけにしてどうする。逆に、肉付けして、ふくらませて、物語を紡ごうよ」とお思いの方も、いらっしゃるのかもしれません。
でも、塗り絵や切り絵を楽しむようにして、こういうお話も楽しんでいただけたら嬉しい、と思います。
とにもかくにも、作者の趣味なので、お許しを。

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風の贈りもの(02)

 王子と王女は、子供たちが馬から落ちないように気を付けながら、急いで丘をくだった。倒れているのは美しい娘で、晴れ着に身を包んでいるが、ほかに付き添いはいないようだ。
 二人は娘を助け起こした。王女は娘を介抱し、王子は騒ぐ子供たちを馬から下ろしてやった。
「あるじさま!」「あるじさま!」「あるじさま!」「あるじさま!」
 子供たちは泣き叫びながら、気を失っている娘に飛びついた。1人は右腕に、1人は左腕に、1人は右足に、1人は左足に。と、次の瞬間、子供たちの姿はすっと消えて、娘の両腕には銀色のブレスレットが、両足には銀色のアンクレットが嵌っていた。
 王子と王女は、驚いて顔を見合わせたが、そのとき、娘は身じろぎして、目を開けた。フィリシア姫が、あわてて覗き込んで、
「だいじょうぶですか」
と声をかけると、ぼんやりと王女の顔を見つめてから、「はい」と答えて微笑んだ。ゆっくりと体を起こし、異国の言葉で何やら言いかけたが、通じないと気づくと、はにかんだように笑いながら、たどたどしく言った。
「ありがとう、ございます。私は、今日は、結婚するでしょう。すでに、朝は、人でした。飛べないを、歩きます。近いでした、とても遠い、休みました」
 フィリシア姫は曖昧に頷いた。嫁ぎ先が思ったより遠い、というような意味だろうか。
 美しい娘は、ほっと息をついて、にっこり笑った。
「心配の助けを、お礼、おまもりです。ほかはありません」
 銀色の腕輪を片方外して、王女に渡そうとした。
 けれども、フィリシア姫は、さっきの子供たちが「あるじさま」をどれだけ慕っていたかを覚えていた。それで、礼を失しないように気を付けながら、そっと言った。
「そのように大切なものを受け取るわけにはいきません。その腕輪もあなたを慕っています。通りかかっただけですから、どうぞお気になさらないでください」
 娘は困った顔をした。
「お礼、本当の心、ほかがありません」
 腕輪を嵌め直しながら、娘は何か考えて、しばらくして、ぱっと顔を輝かせた。
「おまもり、歌は良いですか? 今は人、風でした、変わらない。風を困る、歌って」
 すうっと息を吸って、透き通った声で、不思議な節回しで、歌った。
「風よ、あなたの。娘の、友を。守って。ここに、いるよ――」
 うながされて、フィリシア姫も歌った。繰り返して三度歌うと、やわらかな風が吹いて来て、王女の周りを一巡りしてから、丘と丘の間を吹き抜けて行った。
「優しい、忘れません。風、あなた、私」
 娘は満足そうに言って、立ち上がった。小川の脇の小道に立ち、ほがらかに言った。
「あと少し。心配ありません。元気です。ありがとう。さよなら」
「さようなら。お元気で、お幸せに」
 娘はうなずいて、軽やかに身をひるがえし、飛ぶような足取りで歩き出すと、もう振り返らなかった。
 フィリシア姫は、王子と馬のほうを振り返った。ふと、思いついて言った。
「もしかして・・・風の精だったのかしら? 嫁ぐために、人になったのかしら?」
「そう聞くと、そうとしか思えないな」
と、フルート王子は笑った。
 そして二人は、少し幸せな気分になって、めいめいの馬に乗り、旅に戻ったのだった。

(完)

風の贈りもの(01)

 旅する王子と王女は、あるとき、丘がいくつも連なる土地を通りかかった。
 やわらかな緑に包まれた丘を、ふたり、馬に乗って進んで行くと、ひとつめの丘を越えたところで、子供が二人、座りこんでいるのを見つけた。
 子供は、片方が男の子、片方が女の子で、こざっぱりしたお揃いの服を着て、ともに十にも満たない幼さだった。そっくり同じ銀色の髪をしており、疲れ切った様子で草の上にへたりこんでいたが、旅人たちに気づくと、立ち上がり、手を振ったり叫んだりした。
 王子と王女は、子供たちのそばで馬を止めて降りた。あたりを見回したが、ほかに人影はない。見れば、子供たちはふたりとも泣いており、しきりに訴える言葉を聞けば、
「あるじさまを、たすけて。おねがい。あるじさまを、たすけて」
と言うのであった。
 フィリシア姫は、かがんで、子供たちの話をよく聞いてみた。どうやら、子供たちは、どこかの令嬢に仕えているらしく、その令嬢が、この先の「ずっとずっと向こう」で立ち往生しているらしい。幼い忠臣たちは、助けを呼びに歩いて来たのだが、誰にも出会うことができないまま、ここまで来て、疲れて歩けなくなってしまったのだという。
 フィリシア姫は、思案して、王子に提案した。
「そのかたを早く見つけてさしあげましょう。私は子供たちと一緒にゆっくり行くから、あなたはその駿馬で、先に行って探してくださらない?」
 フルート王子は、もっともな意見だと思いはしたものの、この先、丘をいくつ越えるかも分からないのに、非力な姫君と子どもたちを残して行くわけにもいかなかった。
「みんなで行こう。このくらい小さな子供なら、ぼくたちが一人ずつ抱えて乗れるだろう」
 王子は男の子を、王女は女の子を抱えて馬に乗り、出発することとなった。
 ところが、丘をもうひとつ越えたところには、その子らの女主人の代わりに、またもや二人の子供たちがいた。先の二人と同じように銀色の髪をして、べそをかきながら、
「あるじさまを、たすけて。おねがい。あるじさまを、たすけて」
と繰り返すのだった。王子と王女は相談して、自分たちは馬を下り、子供たちを二人ずつ馬に乗せて、ふたたび出発した。
 3つめの丘を越えたところには、誰もいなかった。子供たちは心配そうに、馬の上で、「もっと先! もっと先!」と騒いだ。
 4つめの丘を越えたところにも、誰もいなかった。子供たちは泣きながら、「もっと先! もっと先!」と騒いだ。
 5つめの丘を越えると、丘のふもとに小川が流れているのが見えた。川のほとりには、銀色の髪をした女性がひとり伏していた。4人の子供たちは、口々に、「あるじさま! あるじさま!」と呼ばわって、大騒ぎした。

予告:「風の贈りもの」

最近のお話の並び順を、「風に揺れる花の中で」あたりから眺めてみたら、
リリカル→シリアス→ミステリアス→ユーモラス→メルヘンチック→ホラーチック、
という感じで並んでいて、まあまあバランスよく、あれこれ書けている気がしました。
でも、「始まりの物語」や「三つの果実」のような、削ぎ落としたメルヘンは、しばらく書いていないなあ、と思いました。

そういうわけで、削いだシンプルなメルヘンとして、「風の贈りもの」をお届けします。
全2回の短いお話です。今回は延びずに、ちゃんと2回で終わります。ほんと、ほんと。
1回目は土曜日に掲載予定です。よろしくお願いいたします。

ひとやすみ:あしかがフラワーパーク(&進捗状況報告)

暦通りの4連休が取れて、夫も一緒に休めたので、今日は二人で遠足に行ってきました。
以前から一度行ってみたかった、栃木の「あしかがフラワーパーク」です。

一番のお目当てだった紫藤の花は、既にやや色あせてしまっていて残念でした。
でも、白藤や、他のお花が見ごろで綺麗だったので、行った甲斐はありましたhappy01

スマホでちょこちょこ写真を撮って来たので、上手ではありませんが、載せてみます。
(クリックすると大きくなります)

藤棚はこんな感じ。
Photo

白い藤が、予想以上に綺麗。
Photo_2

ツツジ系の花も、ちょうど見ごろでした。
Photo_3

おおでまりの花。
Photo_4

八重咲きの藤の花もありました。
Photo_5

園内をぶらぶら回遊した時間は、昼食や買い物を含めて、3時間弱くらいでした。
とにもかくにも、お天気に恵まれて良かったですsun

***

おまけ。次作の進捗状況。
まだほとんど手をつけていませんが、たぶん、タイトルは「風の贈り物」になります。
「三つの果実」ふうの、短いおとぎ話になりそうです。
間があいて申し訳ありませんが、もう少しお待ちくださいね。

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