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(夢みたもの)(02)

 セレンにとって、それは、宝物のように大切な思い出のひとつだった。
 だからこそ、余計に腹が立つのだった。
「どうして、あの冷笑家まで連れて行かなければならないんだよ!」
「楽しそうだろ。怒るようなことか?」
「ぼくは少しも楽しくない!」
 都の大通りを歩きながら話していた二人は、いつのまにか歩みを止めて、不機嫌に言い争う羽目になった。というのも、大陸の果てにある聖泉まで隣国の姫君を護衛する長旅に、なぜかフルートは、少し前に知り合ったばかりの異人を同行させたがっていたのだ。
 フルートが、新しい友人を歓迎していることは知っていた。だが、そうはいっても。
 思いがけなく訪れた、はるか遠くまで旅する機会に、そんなに簡単に誰をでも連れて行くとは知らなかった――と、苦々しくセレンは思った。あのときフルートの夢を分かち合ったつもりで心動かされた自分が、馬鹿みたいじゃないか?
「彼を同行させるなら、ぼくは行かない」
「どうしてそうなるんだ」
「君にはわからないさ」
 セレンが尖った声で言い捨てると、フルート――おしのびゆえ「ルーク」だが――も、すうっと冷たい空気をまとった。
「・・・おまえ、俺に何を言わせたいんだよ」
 最悪に機嫌の悪い声で、それでも辛抱強く、ルークは親指で自分とセレンを交互に指さした。
「俺は、おまえを。誰よりも、信じてる。それで、何が不服なんだ?」
「・・・」
 わかっている。感謝もする。言葉にしてくれるなんて。それでも、納得がいかない。
 セレンが黙っていると、ルークは表情を消した。変わらず不機嫌な低い声が、告げた。
「では、セレン。君に、我が生命を預ける」
 古い誓いの一種。と、セレンが気付いたときには、すでに遅かった。ルークの左手で閃いたナイフの刃は、ためらいなく、反対側の手のひらを切り裂いていた。ぐっと握られたこぶしから、血が滴り落ちた。
「ルーク! 何を・・・」
「君が共に来てくれなければ、意味がない」
 静かな声。ぽたぽたと、王家の貴い血が、大通りの敷石を濡らした。セレンは動転しながら、上着を脱いで、袖を引きちぎった。
「触れるな」
 凛とした声に命じられて、手を止める。目を閉じて、溜息をひとつつき、目を開けた。怒りは削がれており、何をどう考えても、セレンの負けだった。
「わかったよ。世界の果てまでだって、一緒に行くよ」
 ルークは、ほっと息をついて、こぶしを開いた。血まみれの手に、セレンは素早く布を巻き付けた。
「すぐに医師に見せるんだぞ。君はときどき大馬鹿者だ」
「大馬鹿者は君のほうだろう。ひとの夢をぶち壊そうとしやがって」
「・・・そんなつもりは」
「ともかく、君は了承した。忘れるなよ」
 ルークは、布を巻かれ終わった手をひっこめた。しげしげとその手を眺めながら、ひとりごとのように「ありがとう」と言い、目を上げて、「じゃ、また」と、笑って立ち去った。
 遠ざかる後ろ姿を見送りながら、
(旅そのものを否定する気はなかったんだけどな・・・)
と、セレンは思った。
(幼なじみの夢をぶち壊すほど、意地が悪くはないのに・・・)
 自分が少しだけ勘違いしていることに、とうとうセレンは気づかなかったのだった。

(完)

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コメント

フルートの夢・・。
フルートは大人だな・・。
セレンは後日、この日を思い出して顔を赤らめるかな・・。
器用より不器用が好き!
取り留めもなく感想を書いてみました・・。(=^・^=)

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

「じゃあ彼は連れて行かないから」と譲ったりしないところが、大人なのだか子供なのだか。
わがままではあると思います。あはは。

みんな雪村から生まれた子供たちなので、それぞれに不器用なところがあります。
不器用が好き、と言っていただけると、私自身も救われます~☆

こんにちは♪ 「夢みたもの」読ませていただきました~♪
セレンとフルートらしいお話だなあって思いました。

セレンは、真っ直ぐで、でもちょっとだけ自己中というか、駄々っ子?みたいな子供っぽいところがあって。そこがセレンの可愛いところだと私は思っているのですが、きっとフルートもセレンのそういうところ、嫌いじゃないと思うなあって勝手に妄想(笑)。

フルートはやっぱり、背負っているものがセレンとは違うだけに、考え方が老成していて、でも彼だってまだ完全に老成しているわけじゃなくて、だから時に極端にアンバランスで。
大人目線(=読者目線&保護者目線w)としては、危うくて放っておけないというか、誰か心開ける人が傍にいることがこの子には必要だなって思っちゃう。←完全な老婆心w
セレンは決してそういう目線でフルートを見ているわけじゃないけど、多分彼なりに、フルートのそういうところにも、なんだかよく分からないまま知らず知らず惹かれちゃっているんじゃないかなあと、これまた勝手に妄想(笑)。

と、何もかも勝手な解釈&妄想&老婆心ですが、こういう二人は、お互いのためにも生涯離れることなく友達でいるべきだと思います!
だから、いつまでも仲良しでいてください! 
と、ファン読者として熱い思いを語ってみました*^^*

のんさん、
コメントありがとうございます♪

この二人らしいエピソードだと言っていただけて、とても嬉しいです。
のんさんは二人のことをこんなふうに思ってくださっているのね…と、
感激しながらコメントを拝見しましたconfidentheart04

読むひとによって、きっと少しずつ違って見えるだろう二人の関係。
どちらが大人びて見えるか、とか。どちらの依存度が高く見えるか、とか。
作者から見たら、「自分だけが特別だと思ってたのに」と拗ねるセレンも、
「来てくれなかったら怪我するぞ(ぼくが)」と迫るフルートも、二人とも、
駄々っ子でワガママ!です(笑)

いつまでも仲良しでいる…かな? (え?)
これからも、どうかあたたかく見守ってやってくださいclover

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