2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 予告:「笑わない娘」 | トップページ | 笑わない娘(02) »

笑わない娘(01)

 午後おそく、風雨はますます激しさを増した。これから夜にかけて、嵐になるだろう。
 仲間たちと待ち合わせる予定の街は、まだだいぶ先だ。無理して馬を急がせるより、今日はもう諦めて、少しでも早く、これ以上濡れずに休める場所を探した方がいい。
 そう判断して、若者は、そのあと最初に通りかかった村で、馬小屋を備えた家を選び、戸を叩いた。中から「はい」と、男の声がして、ガタガタと音がした後、扉が開く。
 セレンはマントのフードを上げて、丁重になりすぎないよう注意しながら、挨拶した。
「旅の者です。この天候で困っています。一晩、泊めてもらえないでしょうか」
 顔を出した中年男は、すらりと背の高い若者の身なりをじろじろと見たが、
「・・・この天気じゃあ、仕方ねえよな。いいぜ。馬を小屋に入れて、早く入んな」
と言ってくれた。

 暖炉が赤々と燃えている。そのすぐ脇では、栗色の髪を長く伸ばした娘がひとり、一心不乱に、何かを指で編んでいる。
「遠慮しないで、火のそばに寄って、服を乾かすといい。その子は、俺の姪っ子だ。ちょっと可哀想な子だから、そっとしておいてやってくれ」
「はい」
 セレンは暖炉に近づいたが、娘は顔も上げずに、ひたすら編みものを続けている。
 こんばんは、と、セレンがそっと声をかけても、反応はなかった。
 台所のほうに立って行った男が、大声で話しかけて来る。
「兄さん、何か食べるかい。たいしたものは無いが、今日はこんな天気だもんよ。とっとと飯を食って寝ちまうのがいいな」
「おかまいなく」
「遠慮は無しだ。兄さんの口に合うかどうかは分かんねえけど、俺が焼いたパン、食うか」
 男は、いくつかパンを盛ったカゴを運んで来てくれた。マントを脱いだセレンの、長い金色の髪を見て驚いたようだったが、特にそのことには触れず、カゴの中を指さして、
「おすすめはこれだ。はちみつを焼きこんである」
「ありがとう。いただきます」
 セレンは、甘い匂いのするパンを取った。男は続けて、編みものを続ける娘に向かい、
「おまえも、今日はもう、食って寝ちまいな、リジル」
 パンのカゴを差し出すと、娘は編みものを膝に置き、初めて顔を上げた。客には一瞥もくれないまま、こわばった表情で手を伸ばし、小さな黒いパンをひとつ取った。
「君は、はちみつパン、食べないの」
 セレンが尋ねても、何の反応もなかった。視線を落とし、パンを一気に食べ終えて、娘は編みものを大きなカゴに放り込み、大事そうに抱えて、二階への階段を上っていった。
「リジルは、俺の姪っ子でね。可哀想な子なんだ」
と、男が言った。可哀想な子。さっきもそう言った。どういう意味なのだろう。

« 予告:「笑わない娘」 | トップページ | 笑わない娘(02) »

コメント

始まりましたね♪
幸せな時間をありがとうございます❤(=^・^=)

うさパンさん、コメントありがとうございます♪
喜んでくれる方がいらっしゃって、私も幸せですhappy01heart04

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/60223956

この記事へのトラックバック一覧です: 笑わない娘(01):

« 予告:「笑わない娘」 | トップページ | 笑わない娘(02) »