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笑わない娘(02)

 男は、さっきまでリジルが座っていた椅子にかけて、言葉をつないだ。
「俺の嫁さんと、あの子の両親は、5年前に流行り病で逝っちまってな。あっけなくてよ。あの子も俺も、しばらくは呆然として、腑抜けてた。だけど、残された者同士、一緒に暮らすことにしてさ、それは正解だった。近くに人がいると、やっぱり、こう、張り合いがあるよな。助け合って暮らすうち、俺たちは、どうにかこうにか立ち直ることができた。ときどき、ちょっとばかり落ち込むことはあったけども、その頃のリジルはまだ、普通に人と喋ってたし、たまには笑うこともあった。・・・って、なんで兄さんにこんなこと話すのか、兄さんには分からんだろうな。ちょっと喋りたい気分なんだ。良かったら、パン、もひとつどうだい。
 このあたりの、この季節はよ。毎年、一度か二度は、こんなふうに天気が荒れる。そのせいか、毎年、変わった客が訪ねて来てな。今年はあんた、ってわけだ。始まりは3年前だった。流しの吟遊詩人が、行き暮れて、うちに泊まった。話し上手だった。世話を焼いたリジルのことを、しきりに褒めてくれて、しまいには、リジルを讃える歌まで作ってくれた。いい声だった。二日ばかりして天気が落ち着くと旅だって行ったが、さらに二日ばかりすると、また戻って来た。リジルに惚れたと言ってよ。リジルのほうも、嬉しそうだったな。詩人は、ときどき街に出稼ぎに行きながら、この村で一年ばかり暮らした。最後には、村人総出で、家を一軒、建ててやった。二人のための家をな。
 だが、二人がいつ結婚しようかという段になって、今から2年前、やっぱり嵐の夜だった。馬車が立ち往生したといって、金持ちの未亡人がうちに泊まった。なぐさめにと詩人が歌を歌ったら、たんまりとお代をくれた。未亡人は、たいそう詩人を気に入って、遠くの街で一度舞台に立ってみないか、稼ぎは結婚資金にしたらいいだろうと勧めてくれた。詩人はその気になって、ひと月、出稼ぎに行くと言った。そして、約束のひと月を過ぎても帰って来なかった。ふた月たったとき、俺とリジルは、何日もかけて、はるばるその街まで出かけて行った。街ではその日、金持ちの結婚式があって、花婿と花嫁が、屋根のない馬車に乗って、街をぐるぐる回っていた。俺とリジルも見た。花嫁はあの未亡人で、花婿はあの詩人だった。詩人は、美しい花嫁のための歌を歌っていて、道端の俺たちには気付きもしなかった。俺たちは、とても惨めな気持ちで村に帰って来た。・・・すまんな、兄さん、変な話を聞かせて。もう少しだから、辛抱してくれ。
 街から帰ったリジルは、失意のどん底だった。それでも、話しかければ答えてくれたし、たまには無理して笑ってくれた。少しずつ傷が癒えたらいいと思って、俺は、腹の立つ詩人の話はもう、一言も口にしなかった。だが、今から1年前の嵐の夜のことだ。なんだか不吉な感じのする爺さんが、うちに泊まりに来た。何百歳かわからない、ひどく不気味な爺さんだった。とはいえ、嵐の中にほっぼりだすわけにもいかないから、一晩だけ泊めようと言って、俺が台所で食事の支度をしている間、爺さんは暖炉の前で、リジルと二人で何か話してた。で、俺が台所から戻ると、爺さんの姿は消えていて、リジルは真っ青な顔をして、立ち尽くしてた。その日からなんだ。あの子が一言も喋らなくなったのは」

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コメント

リジル・・嵐の夜に不気味な爺さんから何を・・
ドキドキしながら次のお話を待っています・・。

うさパンさん、コメントありがとうございます♪
説明ばかりの回でしたが、続きを楽しみにしていただけて嬉しいですshine
次回は火曜か水曜の夜になります。こつこつ書いてます!

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