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朝の鈴(03)

 無防備に眠りこんでしまったフィリシアを見て、黒髪の若者は部屋の戸口まで後退し、しばし悩んだ。ふだんなら速やかに部屋を出るところだが、守り手が自分しかいない今、許されるなら、同じ部屋にいるほうが警護は易い。
 それより何より、ベッドが二人分あることを喜んで眠りについたフィリシアに対して、相部屋を辞するのは、却って礼を失するような気がした。さんざん逡巡した末、とどまろう、と、ゼラルドは心を決めた。
 部屋全体を結界で覆ってから、ゼラルドは自分も、疲れた体をベッドに横たえた。近くに人がいるとよく眠れない性分だったが――それだけはセレンと同感だ――、馬に乗るのも歩くのも、慣れたとはいえ得意ではないのだから、少しでも休んでおいたほうが良い。
 姫君と同じ部屋で休んだと、フルートが知ったらどのような顔をするだろう、と思うと、なんだか複雑な思いがしたが、べつに報告する義務もない。そもそも、フルートだったら、このようなとき、どう対処するのだろう・・・。そのようなことを途切れ途切れに思いながら、うつらうつらと、彼は浅い眠りに落ちた――
 ――故郷にいる義妹の夢を、見た。いつもなら、夢にユリアが出て来ただけで、はっとして目が覚めるのだったが、今日は違っていた。
 夢の中で、黒髪の兄妹は、馬を並べて、どこかの街道を一緒に旅していた。二人とも、黙して語らなかった。照りつける太陽の下、ゼラルドは妹のために、休むことのできる場所を探していた。じきに、大きな木陰があった。
 ゼラルドは先に馬から下り、妹に手を貸してやりながら、ふと、ユリアは馬に乗れただろうかと違和感を覚えた。よくよく馬上の人を見直してみれば、妹だと思っていたのはフィリシア姫で、ゼラルドの手を借りて地上に降り立ち、「ありがとう」と微笑んだ。なぜユリアだと思っていたのか、ゼラルドは夢の中でいぶかりながら、ほっと安堵した。
 フィリシアに何か声をかけようとしたとき、背後から、「お兄さま」と呼ぶ声がした。ゼラルドは振り向きながら、素早く臨戦態勢を整えた。そこにユリアがいた。黒い髪、白い肌、薔薇色の唇。義妹はにこにこ笑いながら、甘えた声で、問うた。「その女は、誰ですの?」
 答える時間など与えられていないと、ゼラルドは知っていた。可能な限り迅速に守護結界を展開した直後、フィリシアを目がけて、恐ろしい呪力の塊がぶつかって来た。もう少し時間があれば違う対処もできたかもしれなかったが、結界で跳ね返すのが精一杯だった。
 跳ね返された呪力は、そのままユリアに向かった。返されるなどと考えもしていなかったらしいユリアは、身を守ることもせず硬直していた。なんとかして妹をも守ろうと、ゼラルドは必死に呪文を唱えた。少しだけ勢いを削がれ、少しだけ向きを変じた呪力がユリアにぶつかると、ユリアは目を閉じて、その場に倒れた。ゼラルドが駆け寄って助け起こすと、苦しそうな息の下から、
「もし、わたくしが戻らなかったら――」
と、言いかけて、気を失った。呼吸は止まっていなかった。良かった、と兄は安堵した。
 だが、どこかで見た光景だ。と思ったとき目が覚めた。窓から朝の光が差し込んでいた。

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コメント

次も早く読みたいです(=^・^=)。
(急かす意味ではありませんのでゆっくり待っています)

こんばんは、お邪魔してます。

続きが気になる気になる気になる気になる気になる気にな(以下、自粛w)

楽しみにしつつ、ゆっくりと待ってます♪

毎日暑いですが、熱中症などお気をつけくださいませ~confident

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

次回で、「朝の鈴」はおしまいです。
まだほとんど書けていないので、きれいに終われるかどうかドキドキしますcoldsweats01
ちまちま努力しますので待っていてくださいね!

のんさん、
コメントありがとうございます♪

たいしたことない続きではありますが、コツコツ書かせていただきます。
暑いですね~。ついアイス食べちゃう。冷たいもの飲んじゃう。夏バテ注意です。

うちの冒険譚って、構成メタメタだし、内容ありきたりだし、文章も単純だけど、
好きと言っていただけて、いつも嬉しいです。
物語の力って、どこにあるのでしょう・・・、なんて、ちょっと思いました。

のんさんの物語には、のんさんのオーラが満ちていて、私はそれが好き。ですconfident

またまたお邪魔していますcoldsweats01。←どんだけ好きなんだwww

構成メタメタですか? そんなふうには見えないですよ~。
内容は一話一話しっかりまとまってるし、文章は簡潔で綺麗。
私にとっては憧れの作品すぎて、作者の雪村さんにこうして話しかけることも、妙に緊張してしまって(笑)ずっと出来なかったくらいですよ。
(私の場合は、冒険譚全体に漂う、優しくてどこか儚くて、でもやっぱり優しい雰囲気も特別好きなんですけどもheart01

物語の力。
今日のテーマにして、ことことじっくり考えてみようと思います。

のんさん、
フォローありがとうございます♪

素養とか技量とか独創性とか、そういうものに特に優れていなくても、
好きって言ってもらえる何かが、私のお話にあるのだとしたら。
のんさんが、他の書き手さんたちの素養とか技量とか独創性を、
羨んで凹まなくてもいいですよね。・・・のようなことを言いたくて。
いえ、世の中には凄い人がたくさんいるから、羨んでもいいのですが、
それって、のんさんの、これからの伸びしろを見ているだけですよ、って。
うまく励ませなくて、かえって励ましていただいちゃって、すみませんsweat01

のんさんの「オーラ」は、のんさんの「夢見る力/夢見させる力」なのですね。
そして、私のお話にも、いくばくか、そういう力が宿っているのですね。
そう思うと、うれしいですconfidentheart04

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