2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 笑わない娘(02) | トップページ | 笑わない娘(04) »

笑わない娘(03)

 男は、言葉を切って、旅人のほうを見た。真面目な顔で、尋ねた。
「あんたは、あの子が編んでいる物を見たか?」
「いえ、ちらりとしか」
「そうか。材料はな、あの子が村はずれの墓地から草を刈って来るんだ。トゲがたくさんあるから、いつも指を怪我してる。そうして、喋ることも笑うこともなく、毎日ああして、ひたすら編み続けてるんだ。どうやら、もうすぐ編み終わりそうなんだがね、俺は、なんだか怖くてよ。あのときの気味悪い爺さんが、明日にでも再びやって来て、俺のかわいい姪っ子を、どこか恐ろしい所に連れて行っちまうような気がするんだ。
 なあ、兄さん。相談だ。あんたは剣も使えるようだからな。この嵐がやむまでの間だけでいい、何か悪いことが起こったら、俺の味方として、あの子を守ってもらえないか」
「・・・わかりました」
 セレンは戸惑いながら答えた。正直なところ、その不気味な爺さんとやらが再びやって来るかどうかについては懐疑的だったが、どのみち、嵐がやむまでは移動することも叶わないのだ。明日か明後日に嵐が過ぎ去るまでの間くらい、気休め程度でも、泊めてくれた家主の力になってやれたらいいと思う。
 セレンの返答を聞いて、男は表情をやわらげた。
「そうか、恩に着る。そういえば、まだ名前を聞いてなかったな。俺はジャンだ」
「セレンです」
「よろしく頼む、セレン。寝る部屋は、隣を使ってくれ。風の音がひどくて眠れないかもしれねえし、家もギシギシ言うけどよ、毎年のことだから、心配はいらないからな」

 吹き荒れる嵐は、翌朝になっても弱まることなく、ビュウビュウ、ドンドンと、窓や戸を打ち続けた。ジャンとリジルとセレンは、パンとスープの簡単な朝食をとり、そのあと、リジルは暖炉のそばで編みものを始めた。セレンは椅子をもうひとつ、暖炉の近くに持って行き、座って、リジルの様子を眺めた。栗色の髪をした娘の、華奢な手元をよく見れば、なるほど、ジャンがゆうべ言ったとおり、リジルの手指は傷だらけだった。
「何を編んでるんだい」
と、セレンは聞いてみたが、当然のように、答はなかった。
 セレンは、少しの間、考えた。故郷の都に女友達の多い彼は、このくらいの年の娘が、「何かを作る間、一言も喋らない」理由を、ひとつだけ思いつくことができた。1年も続けているとは驚きだけれども――
「ずいぶん大がかりな、おまじないだね」
 リジルの細い肩が、ぴくっと震えた。それでも手が止まることはなく、リジルは草を編み続けた。
 セレンは、編まれているものを観察した。ワンピースの袖部分を綴じ付けている、ように見える。目が詰まって、暗い緑色をした、リジルの指の血の染みたワンピース・・・。

« 笑わない娘(02) | トップページ | 笑わない娘(04) »

コメント

ドキドキ。ドキドキ・・。
どんな終わり方をするのか
とても楽しみです☆(=^・^=)

うさパンさん、コメントありがとうございます♪
たぶん、あと2回で終わると思います。次回の更新は金曜日になりそう。
オーソドックスに展開しますが、セレンらしいお話を書けたらいいなと思いますpen

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/60250717

この記事へのトラックバック一覧です: 笑わない娘(03):

« 笑わない娘(02) | トップページ | 笑わない娘(04) »