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笑わない娘(06)

 窓をいっぱいに開け放って朝の空気を入れると、澄んで晴れわたった秋の空から、穏やかな陽光が室内に降り注いだ。つめたい風も入って来るが、前日まで嵐に降り込められていた者たちにとっては、ただただ、この光の明るさが懐かしい。
 ジャンが村の見回りから戻って来て、朝食になった。みんなで、はちみつパンを食べた。
「うまいだろう!」
と、ジャンが満足げに言うと、リジルは食べながら、静かに涙を流した。昨日から、リジルはよく泣いてジャンを慌てさせており、セレンはジャンに、あまり気にしないようにと助言していた。
「それで、あんたはどこまで行くんだって、セレン」
 ジャンに問われて、セレンは街の名を答えた。
「友人たちと待ち合わせているので、すぐに発ちます」
「そうか」
「女のひともいるの?」
と、リジルがそっと聞いた。なんとなく、聞いてみたかったのだ。
「二人いるよ」
「どちらかが、あなたの恋人なの?」
「違うよ。彼女は、ぼくなんかの手の届かない、高貴なお姫様だから・・・」
 セレンは微笑して、目を伏せた。片方に想いを寄せているのが明らかだった。
「へえ。あんたも相当、高貴な人のように見えるけどな、セレン」
「綺麗なひと?」
「うん」
 言ってから、セレンは気が付いたように目を上げて、リジルに笑いかけた。
「とても綺麗なひとだけれど、でも、君がもう少しふっくらしたら、君のほうが可愛らしいと思うよ」
「・・・適当なことを言ってるでしょ」
「本当だよ」
 セレンはにこにこしている。リジルは戸惑いながら、嘘に決まっている、と思ったが、嬉しかったし、なんだか可笑しかった。なぜか、また涙がこぼれた。
「・・・ありがとう」
「良かった」
と、セレンは言った。しみいるように優しい口調だった。
「やっと笑ってくれたね、リジル」
 ――そうして、若者は旅だっていった。彼の姿が見えなくなるまで、ジャンとリジルは、ずっとずっと、見送っていた。二人とも、涙ぐみながら、笑顔で。

(完)

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コメント

涙と笑顔・・。
最後のセレンの・・「良かった」・・が頭の中で
ちゃんと声付きで響いてきました。
(=^・^=)

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

うさパンさんの中で、ちゃんとセレンが生きているんですね。
嬉しいです(*^-^*) ありがとうございますheart04

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