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SF「夜景都市」(未完)

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野に休む(02)

 翌日から、一行は、荒れ野の中を進むことになった。とはいっても、しばしば行き来する者がある証に、しっかりと踏み固められた道が、くっきりと続いている。小さな馬車が通れるくらいの道幅があり、よく見れば轍のあとが深く刻まれている。
 その道を、彼らは馬に乗って進んだ。荷馬は2頭で、おとなしく付いて来る。
 昼の休憩のとき、小さな隊商とすれ違った。話してみると、「夜は狼が出るが、魔物や賊の噂は聞かない」とのこと。事前に調べたとおりの話だった。
 夕方。ここで休めと言わんばかりの野営地に出た。草ぼうぼうの中に、昔は建物の土台だったらしい石の塊が、ところどころ顔をのぞかせており、火をたいたらしい跡もある。
 一行は、素直にそこで休むことにして、持参した食料と水で、夕食にした。
「狼が出るなら、交代で番をしようか」
と、フルートが言うと、ゼラルドがそっけなく否定する。
「必要ない。さっき周囲に守護の陣を張った。何者も近づいては来られないだろう」
「そうか。だが、火の番をしておいたほうがよくないか」
「好きにすればいい。ぼくは休ませてもらう」
 黒髪の若者は、立ち上がり、ふっと姿を消してしまった。フルートがセレンのほうを見ると、セレンは溜息をつきながら頷いてくれる。フルートは苦笑しながら、
「最初はぼくが番をしよう。眠くなったら起こすから」
「了解」
「フィリシアは、申し訳ないが、目の届くところで休んでくれ」
「そうね、そうします」
 しばらく話をしたあと、フィリシアとセレンは、それぞれ火から離れすぎない場所で、毛布にくるまって横になった。フルートはひとり、火のそばで番をした。どこかから狼たちの遠吠えが聞こえて来るが、遠いようだ。空には、欠け始めた月が掛かっている。
 パチパチとはぜる火を守りながら、数時間ほど、いろいろなことを思ったが、眠くはならなかった。このまま一晩、起きていられそうだな、と思っていると・・・、フィリシアが、毛布にくるまったまま起きて来て、フルートの近くに座った。
「なんだか眠れないわ・・・」
「はしゃぎ過ぎ?」
 王子の言葉に、姫君は、ふふ、と小さく笑った。
「そうね、そうかもしれない。胸がドキドキして、指の先までザワザワしているの」
「わかるよ」
 二人はしばらく、黙って火を見つめていた。何も言わずとも、旅の昂揚感が通じ合うような気がした。それから、フルートが、
「横になるだけでも、いくらかは疲れが取れるから。おやすみ」
「そうね・・・。おやすみなさい」
 フィリシアが休むと、やがて、今度はセレンが起きて来たので、フルートは交代して、自分も少し休み、夜明け前に、もう一度交代した。
 そうして、朝日の光を浴びる頃には、結局、みな起きてしまっていた。不便ではあったが、なんとか身支度を整えて、気がつけばゼラルドも姿を現している。
「では、食事して、出かけよう」
 朝焼けの空が、七色に染まっていた。人里からほんの1日離れて、彼らが初めて過ごした、屋根のない夜は、そんなふうにして何事もなく平穏に過ぎたのだった。いつもそうとは限らない、と彼らが学ぶのは、もう少しあとのことだ。
 遥か遠くの聖泉<真実の鏡>を目指す一行の行く手には、まだ見ぬ、果てしない冒険が広がっていた。

(完)

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コメント

月路さん

おはようございます。
コメントもご無沙汰ばかりで ごめんなさい。

今回は
穏やかで、心やすらぐお話でした。
嵐の前の静けさかもしれませんが
4人の 自然な姿が写し出されていて 微笑ましいconfident

いつも楽しみに読ませていただいています。
先日の近未来小説も是非、再開をpaper

日常の風景を切り取った
このお話も好きです☆(=^・^=)

montiさん、
コメントありがとうございます♪

こういう「日常もの」を書くときは、生活感の表しかたに気を使っていて、
「語りすぎず、隠しすぎず、ナチュラルに!」と心がけているので、
「自然な姿」とおっしゃっていただけるのは、とても嬉しいですhappy01

「夜景都市」は、途中でブチッと途切れて未完になっているお話ですが、
2回分くらいはあるので、いずれまた折を見て、載せてみますね~☆

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

日常の風景は、大事にしたいと思っています。
もっと大きなお話の一部分に取り込めればいいのかもしれないのですが、
それをいうなら、全部が一つの大きなお話の一部分なのだから、
書きたいときには、割り切って「ひとコマ」書いてもいいかな、って思います。
うさパンさんの守備範囲の広さに、いつも救われていますheart04

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