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SF「夜景都市」(未完)

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2014年10月

ひとやすみ:謎解きリスト&進捗状況報告(2014/10/30)

目を付けている謎解きイベントを、メモメモ。
詳細はリンク先でどうぞ!

ミステリー・ザ・サード2014
 : 観客参加型の推理劇。東京都渋谷区。(2015年3月には宝塚ホテルで再演予定)
   → お財布をはたいて参戦予定!

地下謎への招待状
 : 東京メトロを乗り継いで謎を解く。東京都全域? 2014/11/01~12/25。
   → 参戦予定!

ペルソナQ~サイバーラビリンスからの脱出~
 : 東京お台場のジョイポリスで脱出ゲーム。2014/11/15~12/23の土日祝日。
   → ペルソナ好きな夫と、日程が合えば参戦。

幻の忍者殺人事件
 : 忍びの里で殺人事件の謎を解く。三重県伊賀市。 2014/10/04~12/28。
   → 評判がいいみたいなので、検討中~☆

明治探検隊 特別篇 ~最後の奇術師と消失の館~
 : 明治村で謎を解く。愛知県犬山市。
   → 明治探検隊が評判いいので、これも検討中~☆

* * *

進捗状況のご報告。

一角獣の出て来るお話を書こうかと思ったのですが、派手さ加減がいまひとつなので、別のお話がないか、検討中。
他に思いつかなければ、一角獣の出て来る、短めのお話になります。

いずれにしても、次作、もうしばらくお待ちくださいませ。

ひとやすみ:選曲例(3)

選曲例の3番目。
このあたりになると、私がどんなイメージで曲を選んでいるか、わかる人にはわかっているのかも。

♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:

クラシックからは、マスネの「タイスの瞑想曲」。

♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:

歌。「Fly Me To The Moon」、ただし、アクションゲーム用のアレンジバージョン。
「タイスの瞑想曲」のあと続けて聞くと余韻がぶち壊しだから、続けては聞かないほうがいいと思います。
私は良いアレンジだと思うけれど、人によっては「元の歌が台無し」という人も。

***

選曲例は5まで続きます。
「英雄ポロネーズ」、「愛の挨拶」、「タイスの瞑想曲」と来て、選曲例4では何が来るかな~♪

こぼれ話:狩猟スキル

旅が始まった時点で、主人公たちが既に持っているスキルは、いくつかあります。
武器の扱い方。楽器の演奏技術。外国に関する知識。等々。

そういう初期スキルの中に、狩猟に関するものもあります。
具体的には、フィリシアは優れた射手ですし、フルートは獣をさばくことができます。
「野に休む」のときは、十分な食糧を持っているので、狩りをしていませんけれども。

フィリシアは、動物を愛でる心を持っていますが、狩りは食糧調達の手段として割り切っています。
大きな館で狩りに出たら、必要な量を獲らないと、使用人の食卓まで行き渡らないことも知っています。

フルートは、いつどこで覚えたものか、四足の獣をさばくことができます。
自立の意思が強いためか、サバイバル技術に関する興味が強いためか、苦手意識もないようです。

セレンは、狩猟にあまり興味がありません。動物をさばくところは見たくありません。
動物を食糧として調達・加工するのは、それを職業とする人たちの仕事だと思っています。

ゼラルドは、セレンとだいたい似た感覚です。この世界の上流階級としては珍しくないと思います。
鳥を愛する気持ちが強く、(食べないわけではありませんが)鳥を狩ることには抵抗があります。

…というようなことが、物語の中にちらちら見える機会も、あるにはあるのですが。
メルヘン寄りの物語のため、なかなか見えない部分なので、ここに一度まとめてみました。
いらない情報だと思ったら、読み捨ててくださいね~。

作者より:「野に休む」

「何か起こりそうで、何も起こらない話」を、また書いてしまいました。ついつい。
でも、見た目に反して(と思うのですが)、取捨選択のさじかげんの難しいお話でした。
書いて消して、書いて消して、書いて消して…。
一所懸命に書いた、地味なお話、です。

ここしばらく、静かな話が続いているので、次作はもう少し、動きのある話を書きたいな。
うまくそういう芽を育てられますようにbud

→ 目次に戻る

野に休む(02)

 翌日から、一行は、荒れ野の中を進むことになった。とはいっても、しばしば行き来する者がある証に、しっかりと踏み固められた道が、くっきりと続いている。小さな馬車が通れるくらいの道幅があり、よく見れば轍のあとが深く刻まれている。
 その道を、彼らは馬に乗って進んだ。荷馬は2頭で、おとなしく付いて来る。
 昼の休憩のとき、小さな隊商とすれ違った。話してみると、「夜は狼が出るが、魔物や賊の噂は聞かない」とのこと。事前に調べたとおりの話だった。
 夕方。ここで休めと言わんばかりの野営地に出た。草ぼうぼうの中に、昔は建物の土台だったらしい石の塊が、ところどころ顔をのぞかせており、火をたいたらしい跡もある。
 一行は、素直にそこで休むことにして、持参した食料と水で、夕食にした。
「狼が出るなら、交代で番をしようか」
と、フルートが言うと、ゼラルドがそっけなく否定する。
「必要ない。さっき周囲に守護の陣を張った。何者も近づいては来られないだろう」
「そうか。だが、火の番をしておいたほうがよくないか」
「好きにすればいい。ぼくは休ませてもらう」
 黒髪の若者は、立ち上がり、ふっと姿を消してしまった。フルートがセレンのほうを見ると、セレンは溜息をつきながら頷いてくれる。フルートは苦笑しながら、
「最初はぼくが番をしよう。眠くなったら起こすから」
「了解」
「フィリシアは、申し訳ないが、目の届くところで休んでくれ」
「そうね、そうします」
 しばらく話をしたあと、フィリシアとセレンは、それぞれ火から離れすぎない場所で、毛布にくるまって横になった。フルートはひとり、火のそばで番をした。どこかから狼たちの遠吠えが聞こえて来るが、遠いようだ。空には、欠け始めた月が掛かっている。
 パチパチとはぜる火を守りながら、数時間ほど、いろいろなことを思ったが、眠くはならなかった。このまま一晩、起きていられそうだな、と思っていると・・・、フィリシアが、毛布にくるまったまま起きて来て、フルートの近くに座った。
「なんだか眠れないわ・・・」
「はしゃぎ過ぎ?」
 王子の言葉に、姫君は、ふふ、と小さく笑った。
「そうね、そうかもしれない。胸がドキドキして、指の先までザワザワしているの」
「わかるよ」
 二人はしばらく、黙って火を見つめていた。何も言わずとも、旅の昂揚感が通じ合うような気がした。それから、フルートが、
「横になるだけでも、いくらかは疲れが取れるから。おやすみ」
「そうね・・・。おやすみなさい」
 フィリシアが休むと、やがて、今度はセレンが起きて来たので、フルートは交代して、自分も少し休み、夜明け前に、もう一度交代した。
 そうして、朝日の光を浴びる頃には、結局、みな起きてしまっていた。不便ではあったが、なんとか身支度を整えて、気がつけばゼラルドも姿を現している。
「では、食事して、出かけよう」
 朝焼けの空が、七色に染まっていた。人里からほんの1日離れて、彼らが初めて過ごした、屋根のない夜は、そんなふうにして何事もなく平穏に過ぎたのだった。いつもそうとは限らない、と彼らが学ぶのは、もう少しあとのことだ。
 遥か遠くの聖泉<真実の鏡>を目指す一行の行く手には、まだ見ぬ、果てしない冒険が広がっていた。

(完)

野に休む(01)

 クルシュタイン国を発ってから、しばらくの間、旅慣れない彼らは無理をせず、ゆっくりと移動した。にぎやかで治安のよい街では、大きな宿を拠点として観光した。中継地点の小さな町でも、遠くまで行くことより、じゅうぶんな休息をとることのほうを優先した。
 そうした日程は、フルート王子と、その友であるセレン・レ・ディアが、二人で地図を見ながら、長期的・短期的な視点で、ひとつひとつ確認しながら決めているものだった。彼らの護衛の対象であるフィリシア姫は、自分が馬術に劣るせいで一行の足を遅くしているのではないかと心配していたが、「ゆっくり移動するのは、まず旅に慣れることが目的だから」と聞かされて、納得したようだった。また、同行している黒髪の若者は、行程には一切口を出さず、黙って付きしたがっていた。
 半月ばかりして、生活のリズムが整った頃、いよいよ人里を離れるルートを取ることになった。いくつか小さな町や村を渡ったあと、いなかの宿の食堂で、金髪の王子は仲間たちに問うた。
「この先は荒野が続き、2日ほど、宿らしい宿がないようだ。天候は安定しているから、準備を整えたら、予定どおりに発とうと思う。ただ、今いるこの町で何日か待てば、隊商のひとつやふたつも来るだろう。どこかの隊商と共に行ったほうが大人数で心強いのではないか、とは、この宿のあるじの言だ。皆はどう思う?」
「「ぼくたちだけでいい」」
 間髪入れず、期せずして、セレンとゼラルドの声が重なった。二人はお互いをじろりと睨んだが、まずセレンが先に理由を述べて、
「ただでさえ野宿などという不便を強いられるのに、よそものにまで気を遣わなければならないのは、ぼくは御免だ。野に休むときの注意点については、いやというほど情報収集したし、荷馬は念を入れて支度したから、それで十分だ」
 さらに続けようとするのを、ゼラルドの冷淡な声が奪った。
「獣、魔物、盗賊、いずれに対しても、ぼくたちだけで対処可能だろう。むしろ、見知らぬ人間のほうが、よほど危険なのではないか」
「そうか。フィリシアは?」
 フルートの澄んだ青い目が、姫君に向けられる。
「私は、どちらでもかまいません」
と、青い髪の姫君は、穏やかに笑って言った。消極的な感じではなく、むしろ、なんだか楽しそうな声音だった。セレンとゼラルドが不思議そうな視線を向けると、姫君は申し訳なさそうに付け加えた。
「でも、戦うのは不得手です。ごめんなさい」
「気にしなくていい」
 フルートが言って、にこ、と笑った。彼もやっぱり、なんだか楽しそうだった。
「決まりだ。ぼくたちだけで行こう」
 そういうことに、なった。

作者より:夜景都市(プロローグ)

「野に休む」を書いていて、1ページに収まるかどうか不安になった時点で、「夜景都市(プロローグ)」を先に載せることにしました。
ふだんとは作風が若干違うので、戸惑った方もいらっしゃるかと思いますが、たまには目先が変わるのも面白いねと、思っていただけたなら幸いです。

「夜景都市」は、20年と少し前、野阿梓さん「花狩人」にインスパイアされて作ったお話です。
パソコンはまだ普及しておらず、ワープロ専用機で書いていたのを、懐かしく思い出します。
「夜景都市」「星夜祭」「救世幻想」という三部作にするつもりで書いていたお話で、三部作を読み終わったときに、これが「遥かな国の冒険譚」と同じ世界の未来であることが判明するようにと考えていました。
実際には、「夜景都市」を半分書いたところで中断してしまったわけですが。

残念なことに、当時「星夜祭」や「救世幻想」について書いていたメモも、今では失われてしまいました。
おそらく、三部作として書き上げることは、もう無いように思われます。
「夜景都市」の、未完の本編原稿は、さて、どうしたものでしょう。すこし考えます。

次回の更新は、「野に休む」になります。
全1回か2回になるか、微妙なところをいじっています。
あさって月曜日に更新の予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。

夜景都市(プロローグ)

 彼はその時、遥か遠くに、確かに両親の悲鳴を聞いた。操作盤の上で彼の手はびくりと跳ねて誤ったキーを叩き、作りかけの浮揚球は目の前でカシャンと壊れた。
《ジュノリス!》
と、彼を呼んだ父の思念が、先に途切れた。
《父さん?・・・母さん?》
《ジュン。セラを、お願いね》
 母の思念も、やがて途絶えた。彼は衝撃に身を震わせた。声には出さず、力の限り呼ばわった。
《父さん! 母さん! ・・・セラ!》
 彼は部屋を飛び出した。そのまま玄関まで駆け抜けると、ちょうど空車で通りかかったエアカーをつかまえて、両親が今朝早く、弟を連れて出かけていった、3つ向こうの市の博物館へと目標をセットした。
《父さん! 母さん! セラ!》
 エアカーは上昇して走り出す。ジュノリスは背もたれのクッションに沈み込むと、両腕で自分の体を抱きしめた。全身が震えて止まらなかった。彼には分かっていた。二人の思念の途絶えた今、少なくとも父と母に関しては、もはや生存の望みなど無いに等しいことを。
 では、あの子は。あの子はどうしただろう?
(一緒に行けば良かった)
 体の内側からのぼって来る寒さにガチガチと歯を鳴らして、彼は悔いた。
(ぼくはひとりなんだ。もし・・・もし、セラも・・・セラも・・・死んでいたら)
 世界は空虚に乾き、彼ひとりを残して、急に薄っぺらな紙切れに等しくなってしまっていた。
《セラ!》
 彼は、無駄と知りつつ呼んだ。そして、それよりもさらに無駄と知りつつ、両親のことも呼んだ。
《父さん! 母さん――!》
 気が付くと、エアカーは速度をゆるめ、着陸態勢に入っていた。
(・・・あそこだ)
 地上が近づくにつれ、遠目にもはっきりとわかる無残な事故現場と、群がる無遠慮な青い警察の車が見えた。彼の心臓は現実に直面して再び衝撃に打たれ、同時に、狂ったような最後の希望が、渦を巻いて猛った。まだ、彼は自分の目で確かめてはいない。まだ、彼はひとり残されたわけではない。
 博物館の上空には交通管制が敷かれていて、エアカーは大きく旋回し、いくらか離れた地点に着陸した。彼は降り、エアカーは飛び去った。さあ、今こそ、目を開けて、真実を見なければならない。
 近づいて来る黒髪の少年を認めて、警備ロボットが注意を促した。それに応じて、
「事故に会ったのは、ぼくの家族なんだ」
 少年は言った。まもなく、一人の警官が少年の前に立った。
「事故にあわれた方のご家族なんだって?」
「はい、ぼくは長男です」
 少年は答えて、低く続けた。
「それで・・・ぼくの家族は、どうなったんですか」
 若い警官は、少年をじっと見た。年のころは15、6。緊張し、青ざめているが、覚悟ができているように見える。警官は、それで、言った。
「今、君のご両親をあの瓦礫からお出ししているところだ。生死はすでに確定している・・・お気の毒だった」
 少年の頬がこわばった。
「じゃあ・・・」
 彼はうわずった声で言いかけ、その言葉を飲み込み、真摯な眼差しを地に伏せた。
「入ってもいいですか」
 警官はためらった。しかし、その時、向こうでザワザワと動いていたロボットと警官たちが、
「ようし、そのまま! そこに下ろして! ・・・おい、子供がいるぞ」
 その声が聞こえるやいなや、少年ははっと顔を上げ、するりと警官の横を通り抜けて、崩れた建物に向かって駆け出した。警官は、あえて制止をしなかった。
 難破した宇宙船から発射された救命艇が、こともあろうに特権非常信号を出しながら死人を乗せて突っ込んで来たこの不幸な事故で、博物館の一部は粉々に壊れてしまっていた。破壊された展示室は、遠い宇宙の果ての、星間連合に加盟すらしていない辺境の星々についての部屋で、そこにいた3人の人間が、この事故に巻き込まれたのだった。
 瓦礫の下から、男女ひとりずつの遺体が、ロボットによって既に運び出されていた。そして、ふたつの遺体の下に庇われて奇跡的に生き残った、うずくまる10才ばかりの子供が、別のロボットによって引きずり出された。子供はよろめきながら立ち上がろうとしていて、急いで駆け寄った一人の警官に助けられて自分の足で立った、が、虚ろな目を瞬きもせずに開いたまま、放心していた。警官が呼びかけても揺すぶっても、子供からは何の反応もなかった。
「・・・セラ!」
 けれども、その澄んだ力強い声がしたとき、子供はびくっとした。背を伸ばし、目を大きく見開いて、辺りを見回した。
「なんだ、君、どこから入って来た」
 警官の制止を受けながら、もう一度、その声が呼んだ。
「セラ!」
 子供の目が焦点を結び、声の主を見つけ出した。呼んだ者と呼ばれた者は、距離を挟んで、はっきりと互いを認め、向かい合っていた。呼んだほうが駆け出した。それを制止する手は、今度は無かった。
 ジュノリスが弟をかたく抱きしめると、弟の白く凍った表情に、やがて生きた血が通いだした。見開いた目には、涙があふれた。そのまぶたはすぐに力尽きたように閉じられ、小さな体は兄の腕の中で、声にならない慟哭に震えた。そして、兄の少年は、そのとき、初めて聞いたのだった。
《・・・ジュン!》
 その思念は、激しくまっすぐに、彼の胸になだれこんで来た。
《セラ、おまえ・・・》
《ジュン!》
 それは、弟が生まれて初めて発した、音声ではない言葉だった。まだ制御を知らぬ、剥き出しで純粋な、強い思念だった。あるいは、それを発していることすら、本人は知らないのかもしれなかった。
 自分は物心ついてより心話に慣れ親しんで来た兄は、弟の思念を包むように受け止めて、腕にぎゅっと力を込めた。
《セラ・・・》
「失礼だが」
 無粋な警官が、その抱擁を妨げた。いつのまにか、人の数もロボットの数も減っていた。
「身元を確認したい。ご両親の身分証を確認させてもらったが、念のためだ。君たち、名前は?」
「ぼくは、ジュノリス・カイザー。これは弟のセルアスです」
 ジュノリスは苛立ちながら答えた。セルアスは兄の腕の中から警官を窺い、こくりと首を縦に振った。強烈な思念波は薄れつつあった。それが二度と現れないかもしれないことを、ジュノリスは怖れた。
 中年の警官は、鷹揚に頷いた。
「よろしい。では、君たちは帰りなさい。ご両親のことはお気の毒だった。このあとの手続きについては、いずれ君たちの市から連絡が行くだろう。家で待っていたまえ」
「両親は・・・両親の体は、どうなるんですか」
 ジュノリスは訝りながら聞いた。さっき着いたときと、警察の応対は微妙に違っている。最初の若い警官よりも、こちらの警官のほうが偉いようだが、理由はそれだけではなさそうだった。
 事情聴取もしなくていいんだろうか。もっとも、ぼくがどうして駆けつけることができたのか、尋ねられても困る・・・と、彼は思い、家族全員の消息を確かめた今はもう何を恐れることもなく、警官の心を読んだ。
「ご遺体はこちらで市にお送りしておこう」
 警官は答えながら、こう考えていた――うちの市民でなくて良かった。しかも亡命者だったとは。いっそ子供たちも共に死んでいたほうが、本人たちにとっても、市にとっても、幸せだったかもしれんな。
 ジュノリスは心を閉じた。
「わかりました」
 彼は冷静に言った。サイラインという星は、そういう所だった。
「大変お世話になりました。両親のこと、くれぐれもよろしくお願いします。セラ、行くよ」
「うん」
 セルアスは兄に寄り添った。ジュノリスは下層道路で、また無人のエアカーをつかまえた。人口の太陽はもう沈みかけて、辺りは暗くなりつつあった。
 家に帰ると、そこはもう、4人ではなく、ふたりだけの家だ。ジュノリスの部屋では、作り損ねた浮揚球のかけらが、つけっぱなしの操作盤の上でどろどろに溶けていた。いまさら、スクールの宿題など、やり直そうとも思わない。彼は操作盤のスイッチを消し、弟の部屋で、その夜は二人で眠った。眠る前に、少し話をした。もう2度と通じないかと懸念していたが、弟の思念は不安定ながらもちゃんと反応した。ジュノリスは安心した。そして、それはセルアスも同じだった。
 彼らは、ひとりではなかった。両親を失った涙は、もう乾いていた。

 市から連絡が来たのは、3日も経った後のことだった。兄弟は二人だけで<死者の海>に行き、両親の葬式を済ませた。
 ひと月後、一人の男がジュノリスを訪ねて来た。星間連合に属するその男が携えて来た話を、亡命者の息子は断ることができなかった。自分と、何よりも、弟の生活を守るために。
 20歳でスクールを卒業すると同時に、ジュノリス・カイザーは、星間連合の特別捜査任務に就くべく、少年時代を過ごした星をあとにした。一般人にはその存在さえさだかではない、闇の世界で密かに恐れられている、いわゆる星間特捜官である。
 ジュノリス・カイザーには、今後いかなる私的な通信も許されはしない。付け加えるなら、惑星エムの出身者に特有の心話能力をもってしても、同じ大気圏内にいなければ、意思を伝達するのは不可能である。

 しかし、それももう、今では3年前のことであった。

(プロローグ 完)

(→ Act.01 & Intermission 01 へ

500回記念、おそまつさまでした~。
次回更新は、これのあとがきです。

予告:「野に休む」、及び、500回記念企画☆

今日のこの記事は、当ブログの500本目の記事ですhappy01
読んでくださる皆様、いつもありがとうございますsign01

少し、つらつら書きます。

直近1年間(=「小人のお茶会」以降)を振り返ってみて、筆が遅いのはちょっと脇に置いておいて、そこそこバランスは取れているよね、と思いました。
旅の仲間たちを偏りなく取り上げることが出来ていると思いますし、メルヘンチックなお話、リリカルなお話、ミステリアスなお話、等々、あれこれ書けたと思います。
逆に言うと、今は「欠けている要素に対する飢餓感」が少ないので、次に書くお話を「これ!」と決める勢いが足りない気もしています…。

そんな中で考えるのは、「旅のマイルストーンとなるお話を、きちんと書かないとね」ということ。
そしてまた、そう思うと気がはやって、一気にフィリシア解呪の話まで飛んで行きそうになる心を、「待て待て」と引き止めて、その前に語るべきことがあるでしょう、と。
フルートとフィリシアの出会いの話だって、そろそろ書ける力がついたのではないかしら?
…まだかな。あと一歩で書き出せる気がするし、大したことないお話のはずなのにな。

で、次作について、ちょっと考えて。
短いお話が続いて恐縮ですが、「何ということもない日常」系を、もう1本続けさせてもらって、旅の仲間たちが初めて野宿するお話を書こうかな、と思いました。
タイトルは、「野に休む」。
すみません、たぶん、また1ページ。
ふだんの予告記事は、この結論のところだけをシンプルに書くことが多いのですが、今日は、うだうだ考えた経過を、削らずに書いてみました。

そして、今日の予告はここで終わらない!

500回記念企画として。
この冒険譚の遠い未来に位置するSF小説(未完)の、プロローグの部分を、うっかりUPしようと思っています。
タイトルは、「夜景都市(プロローグ)」。私が20年前に書いたお話です。
以前、「こぼれ話:謎は遠い未来へ・・・」で、ちらっとお話しした、ベタなSFです。
「そんなの読みたくないよ…。いいから冒険譚を書いてよ…」という読者様の呟きが聞こえる気もしますが、記念イベントなので、大目に見てやってください。

「野に休む」の進捗状況によって、どちらのお話を先に載せるか決めようと思います。
あさってか、しあさって。
「野に休む」か、「夜景都市(プロローグ)」。
どちらかのお話で、お会いしましょう。

---

追記:「夜景都市(プロローグ)」が先になりました。「野に休む」は全2回になりました。
 夜景都市(プロローグ) → こちら。 
 野に休む(01) → こちら

ひとやすみ:朝食(新宿サラベス)&宝探し(文京区2014)

今日は一日、出かけて来ました。
暑くもなく寒くもなく、ちょうどいいお天気に恵まれました。
おいしい朝ごはんを食べて、宝箱を求めてたくさん歩きました!happy01

***

まず、朝ごはんのお話。
友達から、「フレンチトーストとかパンケーキの美味しいお店、どう?」とお誘いをいただいて、「行く行く!」とふたつ返事した、「サラベス ルミネ新宿店」でのお食事。

開店は9時ですが、並ぶらしいので、朝8時半に待ち合わせ。
8時10分に着いて、お店の前に行ってみたら既に受付があって、私たちは7番目でした。
メニューをもらって、並んで開店待ち。おしゃべりしながら。

9時開店後、順番に入店。ちなみに、70分の制限時間があります。
看板メニューの「エッグベネディクト」と、シンプルな「フレンチトースト」を注文して、シェアすることにしました。
15分くらい待って、「エッグベネディクト」が登場。じゃーん。

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土台はイングリッシュマフィンで、その上にベーコンが乗って、その上に卵が乗って、ソースがかかっています。
卵が半熟なので、ぷるぷるしていますheart04
友達と1個ずつ取り分けて食べました。おいしーいlovely

食べ終わって、次はフレンチトースト。こちらです!

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二切れずつ取り分けて、バターとメープルシロップをかけて、いただきました。
思ったより、さっぱりした甘さ。これも美味しかったよ~。

あとで行く宝探しについて少し打ち合わせて、お会計を済ませたところで、ちょうど70分くらいでした。

なお、「サラベス」のホームページは→こちらです。

***

そのあとは、文京区+神楽坂で「宝探し」。参加費は無料shine
去年と一昨年は、この時期、中央区で開催されていたけど、今年は中央区はないみたい。

「宝の地図」を見て謎を解き、場所が分かったら実際にその場所に行くと、小さな宝箱が設置されていて、パカッと開けるとキーワードが書いてある・・・という趣向の「宝探し」イベント。
一応、キーワードを集めて応募すると抽選で賞品が当たる、というご褒美もありますが、「宝箱を探す」楽しみがメインのイベントです。

中央区のときは8ヶ所だった宝箱が、今回の文京区+神楽坂では10ヶ所になっています。
が、そのぶん、「宝の地図」の謎解きは易しくなっている印象を受けました。
二人とも、事前にホームページから「宝の地図」をダウンロードして、大方の「宝の場所」については謎解き済みです。(ホームページは→こちらです。)
気分は謎解きというより、オリエンテーリングに近い感じ、かな?

一日で全部宝箱を探すぞー、と気合を入れて、「神楽坂エリア」の2ヶ所からスタート。
そのあと、「地蔵・小桜エリア」で2ヶ所、「春日・後楽エリア」で2ヶ所。
後楽園の駅ビルでお昼。おそばを食べました。写真撮るの忘れた。
ここまでの6ヶ所で、所要時間は約2時間。歩数は(万歩計を持ってなかったけど)1万歩くらい。
よし、これなら一日で行ける!

「湯島・本郷エリア」で2ヶ所、電車に乗って移動、「千駄木・本駒込エリア」で2ヶ所。
ぜんぶ発見しました!
昼食やおやつ休憩の時間を除くと、だいたい4時間、2万歩でした。

休日とあって、親子連れも多かったです。
謎が易しかったこともあって、小学生くらいの子供たちが生き生きしてました☆

***

帰りは、後楽園にある「発見報告所」に立ち寄ってキーワードを報告しようか、とも思ったけれど、少し疲れたので、家に帰ってから郵送で投函すればいいね、ということに。
喫茶店で1日を振り返り、雑談もたくさんして、じゃあねと別れて帰宅して、今日の冒険はおしまい。
自宅でウォーキングシューズと靴下を脱いだら、大きなマメが出来ていました。ちょっと痛いです。

そんな1日でした。
ふだんはインドア派の私ですが、とても楽しかったので、以上、ご報告でした!

目次の更新&進捗状況報告(2014/10/10)

本当は、並び順を変えて、新しい目次を作ってみたいのですが、まとまらなくて。

せめて、初めての方が読みやすいものに印をつけようと思って、少しだけ手を加えてみました。

ちゃんと、読みやすいものにマークを付けられたかなあ。

お時間がある方は、さらっと「目次」を眺めて、ご感想などいただけると助かります。

***

そして、進捗状況報告。

ごめんなさい、次のお話の予定はまだ決まっていなくて、週末も用事があります。
(お天気が良ければ、また「宝探し」イベントに行って来ます♪)

なので、次回の更新は、おそらく、パンケーキのお店と、宝探しのご報告。
その次くらいの更新で、新しいお話について何かお知らせできるように、考えてみようと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

ひとやすみ:累計アクセス数は不明です

当ブログではアクセスカウンターを表に出していませんが、1年前、「小人のお茶会」を連載中に、累計3万PVを超えたのでした。
と、約1年前の記事、「小人のお茶会」のあとがきを見たら、書いてありました。
つまり、サイト開設から細々と、2年10ヶ月くらいかけて、3万PVに達したわけです。

じゃあ、3年10ヶ月になった今の累計PV数って、どれくらいになったのかしらん。
と思ったので、調べようとしたら…。
そうでした。
ココログでは、今年の初めにアクセス解析機能が新しくなったとき、カウンターがリセットされる不具合が起こったのでした。
つまり、表にカウンターを出していない私の場合、今の数値はゼロに戻っているのでした。
残念、サイト開設以来の累計PV数は不明です。

いずれにしても、こぢんまりとした運営スタイルは今も変わっておりません。
小さなコミュニティではありますが、様々なコメントをいただいて、いつも嬉しく有難く思っています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
過去の記事へのコメントも、どうぞお気軽に☆

…今からアクセスカウンターを付けるかどうかは、うーん、どうしようかなあ。

こぼれ話:登場人物の作り方(と言えるのか?)

「笑わない娘」のメイキングと、どっちを書こうか迷いましたが、こちらにしますね。
以前、「お話の作り方」という記事を書いたとき、人物の作り方を省いたのを思い出したのです。
ほら、うちの冒険譚はシリーズものなので、メインの登場人物って、旅の仲間たちの中から選んで組み合わせるだけなので。
でも、それじゃあ、旅の仲間たちはどうやって生まれたの?って、まだ詳しくは書いていなかったんです。

ありのままを言えば、彼らのことを、意識して「作った」ことは、ないです。
作るというより、「すでに存在している人と、知り合って、だんだん親しくなった」感じ。

具体的に書きますね。
フルートとフィリシアと知り合ったのは、中学のとき、プレハブ校舎で、何かの授業を受けているときでした。
ふと、頭の中に、どこかの舞踏会の会場が浮かびました。
きれいな服を着た金髪の王子様が、何かに腹を立てながら会場を見回して、探していた人を見つけ、「フィリシア! 相手を!」と、呼びつけていました。
呼ばれたのは、青い髪をしたお姫様で、でも、お姫様とは思えない質素な服を着て会場の隅っこにいて、ひどく困った顔をして、「申し訳ありません、お許しください」と断っていました。
そこに、魔法使いのお婆さんがやって来て、「そんな恰好では踊れないわね。今すぐ、あなたにふさわしい服にしてあげましょう」と、杖を振ると、お姫様はシンデレラのように、美しい装いに変わっていました。
金髪の王子様は、怒るのをやめて、お姫様の前まで歩いて来て、ひざまずいて、「踊っていただけますか」と聞きました。
「はい、喜んで」とお姫様は答えて、二人はくるくると踊りました。
授業中の私の頭の中で。
それが、フルート&フィリシアとの、初めての出会いでした。
青い髪って、どうなのよ。と、私は思いましたが(幼児向けのアニメか塗り絵を連想しました)、仕方ないじゃない、だって、青いんだもの。

その後、少年時代のフルート&セレンと知り合って、成長してからのセレンを知って、さらに、セレンと仲が良いのか悪いのかよくわからないゼラルドと知り合いました。
このあたりの順番については、以前、「最初に作ったお話はどれ?」に書いたとおりです。
男の子たちの一人称が、みんな「ぼく」なのは、どうなのよ。と、私は思いましたが(会話の書き分けが面倒…)、仕方ないじゃない、だって、そうなんだもの。

はい、ここで話を元に戻して、「登場人物の作り方」ですが。
そういうわけで、私は意識して登場人物を「作った」ことが、たぶん、ありません。
それは、お話の核となるものについて、「作るというより、すでにあるものを選んで拾い上げる感じ」なのと、同じことです。
私が小説家を目指さない理由のひとつでもある、かな?
プロの小説家って、意識してお話を作れる人なのだと思いますし、私はそれをやらないし、私が目指しているのも、そこではないから。

(じゃあ冒頭で言ってた「メイキング・オブ・『笑わない娘』」って、どんなふうになるの?というのは、機会があれば、そのうちに。)

作者より:「黄昏色の旋律」

今まで書いた中で一、二を争う地味なお話になりましたcoldsweats01 
運悪く、ここから読み始めてしまった方には、なんだか申し訳ありません。

「今を生きる」というのは、シリーズを通して重要なテーマのうちのひとつです。
これまでにも、たとえば「霧の中」などで、よりストレートに取り上げて来ました。
今回は、「この旅にある今」という切り口で、ゼラルドほどではないにしても、
おそらく相当の思い入れがあるだろうフルートに、焦点を当ててみています。
多少なりとも「たそがれている」フルートが見られるのは、珍しいと思います。

全員が揃っているお話をもう少し書きたい気持ちもありますが、
放置している闇姫イベントを進めたい思いもありますし、はたまた、
しばらく書いていない、フィリシアの番外編を書きたい気持ちもあって、
次のお話がどんなふうになるのかは、まだ全く決まっていません。
のんびりとお待ちいただければ幸いです。

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