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一角獣の角(02)

 翌朝、朝日の昇るころ、一行は湖のほとりに立った。空は東のほうから明るくなりつつあり、うっすらと一つ二つ浮かぶ雲のふちが、いちはやく陽光を受けて金色に輝いている。
 やがて、湖の向こうの森の上に、朝日が顔を出した。静かな湖面に、陽光と、森の色、空の色、雲の色が、鮮やかに映りこんでいる――。
 最初に気づいたのは、フルートだった。ひそひそと、
「ほら、あそこに」
 指さした対岸で、一頭の、馬に似た生き物が、首を下げて水を飲んでいた。馬とは違う証に、その全身は白く光り輝いており、額からは真っすぐに長い角が生えていた。
 ゼラルドは辺りを見回して、自分たちの他にも物好きな誰かが、この幻想的な光景を見ているのではないかと確認した。が、おそらく地元の人間にとっては珍しい光景ではないのだろうし、旅行客は彼らしかいないようで、他の人影は見当たらなかった。
 フィリシアは、持って来ていた黄金の宝剣を、そっと鞘から抜いて、ささやいた。
「ミルガレーテ。ゆうべお願いしたことを、やってもらえる?」
 すると、何もない空中に、さらさらと光の砂が流れるような感覚があって、まるで空気から溶け出すかのようにふわりと、波打つ金色の髪をした姫君が姿を現し、地に降り立った。
 柔らかな白いドレスを着たミルガレーテは、小さな声で「おはよう」を言い、迷うような表情で順番に友人たちの顔を見比べたあと、少しの間うつむいて、それから、そっと顔を上げて、黒髪の若者を見つめた。
「ゼラルド、あのね。本当は私、あまり気が進まないの。考えてみて。あなただって、知らないひとには、髪1本、爪ひとかけら、渡したくはないでしょう?」
「・・・なるほど、そうかもしれない」
と、ゼラルドは応じて、姫君の不安そうな視線を受け止めながら、静かに続けた。
「君の言うことは理解できる。だが、多少なりとも医術を心得る者として、ぼくにはあの聖なる生きものの角のひとかけらが必要だ。可能ならば自分で交渉しただろうけれども、それは叶わない。いやな役目を負わせて申し訳ないが、頼まれてくれないか」
 彼なりに、誠意を表そうと努力しているのだと、仲間たちには分かった。もちろん、ミルガレーテにも伝わった。姫君は、いくぶん悲しそうな顔をしたものの、
「・・・わかりました。やってみます」
 そう言って、手のひらを差し出した。ゼラルドは、その手の上に、小さなナイフを乗せた。言うまでもなく、特別な儀式によって清められた小刀なのだった。
 ミルガレーテは、湖の上に足を踏み出し、そのまま、沈むことなく、軽やかに向こう岸へと渡って行った。姫君の素足の触れたところには、小さな水の輪が広がった。
 一角獣は、水の動きで、何者かの訪れを知ったようだった。しかし、首を上げて姫君を見つけた<彼>は、警戒を解いて、姫君の近づくままに任せた。
 姫君が、角の届くほど近くまでやって来ると、一角獣は、藍色の瞳で姫君を見つめた。
≪もしや、貴女は<光り姫>ではないのか。お目にかかれて、光栄だ≫

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コメント

ミルガレーテ・・光り姫・・
一角獣・・湖・・
神秘的で綺麗な絵が頭に浮かびます。
(=^・^=)

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

一角獣を描いた絵は、古今東西にたくさんあって、私も1枚描いてみたくなったけど、絵心がないので文章を書いています・・・と、いうことなのかもしれません。
淡々と進行するお話ですが、何か美しいものをイメージしていただけるお話になっていれば嬉しいと思います。

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