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辻占い(01)

 旅先で、新しく訪れた街を歩くとき。フィリシアがその街を知らないのと同じように、その街もフィリシアのことを知らない。今日のように賑やかな大通りを歩いて、たくさんの人とすれ違っても、その中の誰ひとりとして、彼女が大国の王女であることも、生まれながらに死の呪いを受けていることも、大陸の果てにある解呪の聖泉を目指していることも、知りはしない。
 そのことを、フィリシアは心地よいと思う。一挙手一投足を検分されることなく、のびのびと歩き回れるのは素敵なことだ。食べものの店や、仕立屋や、工芸品の店などを、ひやかして回るのは楽しい。行き交うひとの服装や髪形が目新しいのも、わくわくする。
 昨日より空気がつめたく感じられて、もうそんな季節になったのね、と、ふと思ったとき、茶葉を売る出店を見つけた。それならお茶を買って戻りましょう、そう思ったフィリシアの心の声が聞こえたかのように、売り子がにこにこと声をかけて来る。
「お客さん、きれいな青い髪ね、遠くからいらしたの? お茶、安くしておくわよ。よそではちょっと手に入らない、このあたりの名産品よ。ほら、こんなにいい匂い」
 茶葉を少し、フィリシアの手に乗せてくれた。くん、と匂いをかいでみると、やさしく爽やかな香りがする。
「それとも、こっちのほうが好き? 寝る前に飲むと、いい夢が見られるわ」
 もう片方の手にも、違う種類の茶葉を乗せてもらった。こちらはほんのり甘い花の香り。
「本当ね、両方とも、とても良い匂い。どちらにしようかしら・・・」
 右手と左手を見比べるフィリシアの耳に、たまたま、そばを通りすがった子供たちの声が聞こえた。小さな女の子ふたりが、「今日もお花がよく売れるといいね」と話している。「花」という言葉が、ぴょんと胸に飛び込んで来たような気がした。
 フィリシアは時々、辻占いをする。迷っていることを「辻に聞いて」、そのとき聞こえた言葉に助けてもらうのだ。だから今も、その「花」で決めた。
「こちらをください」
と言って、青い髪の姫君は、花の香りのする茶葉を買った。
 ふふ、おみやげができた!
 宿に戻ったら、おかみさんからお湯をもらって、熱いお茶をいれよう。そう思うと、自然に口元がほころんで来る。
 紙包みを抱えた胸が、早くもぽかぽかと温まるように感じながら、フィリシアは軽やかな足取りで、宿に戻って行った。

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