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夢のような(01)

 夏にはまだ早いはずだったが、太陽はカンカンと照っている。最近、ずっとそうだ。このあたりの気候はリーデベルクとそう変わらないはずなのに、今年の天気はおかしい。
 来る道すがら目にした、乾ききった畑の作物を案じながら、セレンとゼラルドは待ち合わせの街に入った。馬を連れて宿を探す途中で、やはり愛馬を連れたフルートと、ばったり行き会うことになった。
「二人とも、いま着いたのか。すまないが、フィリシアを迎えに行くから、遅くなる」
 それだけ言って行き過ぎようとする金髪の王子を、ゼラルドが冷ややかな声で止めた。
「待ちたまえ。雨の様子を見たほうがいい」
「この日照りに?」
 怪訝そうにフルートが問うと、黒髪の若者は、空を見渡して、静かに一点を指さした。
「あの渦を起点とし、まもなく降り出すだろう」
「・・・あれは、一体」
 示されたほうを見やったフルートは、当惑した様子で呟いた。街から少し離れた空に、ちぎれた暗灰色の雲と見えるものが、ぐるぐると渦を巻いていた。見ている間にも、渦は次第に大きくなり、もくもくと黒い雲を吐き出した。
 ゼラルドは、短い説明を加えた。
「おそらく、あの渦の下で、雨乞いの儀式が行われている。沼か湖があるはずだ」
「フィリシアは、<竜王の沼>まで雨乞いに行くと言っていた」
 気がかりそうに空を見上げて、フルートは眉をしかめた。
「雨乞いの儀式とは、これほどまでに天候を変えるのか?」
 みるみるうちに広がった黒雲は、いまや太陽を覆い隠し、街の空を半分ほど占領して、さらに勢いを増していた。辺りは急に暗くなり、ごうと風が吹いて、嵐を待つ様相だ。街の住民たちが慌てて家に入るのを見て、自分たちもいったん避難しようと、3人が馬を連れて宿を訪ね、玄関をくぐるかくぐらないかのうちに、ポツポツと雨粒が落ちて来て、あっというまに豪雨になった。一寸先も見えない激しさで、雨は滝のように降り注ぐ。
 この天候の中でフィリシアを探すなど、とうてい無理な話だ。フィリシアのほうも、きっとどこか最寄りの建物に身を寄せていることだろう。しぶしぶ、フルートは迎えに出るのを諦めた。しかし、雨は夜になっても降り続き、翌朝になっても一向に止む気配がなく、さらに再び午後になると、土砂降りの中、フルートを訪ねて来た客があった。
「ここに、ルークという人は泊まっていますか」
 ずぶ濡れになった、雨乞いの参加者が数人。フルートは応対に出て、顔色を変えた。彼らはフィリシアの乗っていた馬だけを連れており、フィリシア本人を伴っていなかった。
「フィアという人は、さらわれてしまいました。大きな鉤爪につかまれて、沼の中に・・・」
 若い娘が、泣きそうな顔で言った。彼らは、それを伝えるために来てくれたのだった。
 フルートは無言で、こぶしを固めて壁をドンと叩いた。
 痛みをともなうその鈍い音は、激しい雨の音に紛れて消えた。

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