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辻占い(03)

「人と人が出会えば、いつか必ず、別れは訪れるものだから」
と言って、ゼラルドは視線を合わせ、フィリシアに言い聞かせるように、穏やかに言葉を継いだ。
「そのときが来ても、嘆くには当たらない。むしろ、ぼくが君たちと出会い、ひとときでも共に過ごせたことを、ぼくのために喜んでもらえたら嬉しいと思う」
「ゼラルド・・・」
 フィリシアが言葉に迷うと、黒髪の若者は、いつもの冷ややかな微笑を浮かべた。
「それとも、君は、『ひとたび手のうちにあっても、そのあと失われたものは、手に入らなかったのと同じ』と考えるのかな」
「・・・いいえ。宝物になったものは、失われたとしても、ずっと宝物なのだと思うわ」
 フィリシアはまじめに答えて、うつむいた。飲みかけのお茶が、器の中で揺れている。
「私ね、なんとなく、あなたがずっと居てくれるような気になっていたの。帰り道も、一緒に帰るのだとばかり思っていたの。でも、この前、フルートと話をして、そういえば、どこまで一緒に行くのか、きちんと決めたわけではなかったのだと思い出して・・・、気になったから、お別れがいつになるのかを辻に占ってみたら、『もうすぐ』と言われたの」
「辻占は、自分のことを占うには悪くない手段だけれど、他人のことを占うのには、あまり向いていないよ。そして、その占いは外れている。まだ少し、先のことだから」
「そうね。まだ少し、先のことよね」
 フィリシアは目を上げて、自らを力づけようとするように微笑した。
「そのときが来るまで、ここにいる二番目の妹のことを、よろしくね」
「二番目の妹」
「私のこと。ローレインにいらっしゃる妹さんより年上だけれど、新参だから、二番目」
「・・・ぼくは、君の兄になれるほど、出来の良い人間ではないと思う」
「それを言うなら、私のほうこそ。でも、あなたはいつも私を助けてくれて、今日もこうして、一緒にお茶を飲んでお話してくれて、そういうことが、私、うれしいの」
「・・・そのようなことで良いのなら」
「ありがとう!」
 フィリシアは明るい笑顔になった。ゼラルドも、微かに、笑った。

 フルートとセレンは、日のあるうちに外から帰って来て、フィリシアとゼラルドが食堂の隅で語らっているのを――というより、楽しそうに話しているのはフィリシアで、ゼラルドは静かに聞いているだけだったが――見つけた。
「あの二人、あれほど仲が良かったか?」
と、戸惑ったように言ったフルートは、そのまま二人のテーブルまで歩いて行き、
「ただいま。何を話して――」
「あ、おかえりなさい! 二人とも、お茶はいかが? いま入れて来るから、待っていて」
 青い髪の姫君は、屈託なく笑って、立って行ってしまった。
「いや、その、何を」
と、フルートが視線を移すと、黒髪の若者のほうは、小さく首をかしげ、こちらも少し戸惑ったように、
「・・・君に話すほどのことは、何も」
と言った。フルートは複雑な表情になったが、じきにフィリシアがお茶を入れて戻って来ると、話題はお茶のことになって、なんとなく、それで納得してしまったのだった。

(完)

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コメント

あ~。何だかとても落ち着きます。
今のわたしのために作って下さったお話のように
感じられちゃいました・・ふふっ♪(=^・^=)
ここそこに大事な言葉(好きな言葉?ニュアンス?)が入っていて
1~3まとめて読めたのも今回は良かったです。
遅くなりましたが今年もよろしくお願い致します。
ありがとうございました(=^・^=)✿

うさパンさん、
お忙しいのにお立ち寄りくださって、どうもありがとうございます♪
少しずつ春が近づいて来ますね。もう一山越えたら、春!

「落ち着く」と言っていただけて、親しみを持っていただけて、とても嬉しいですhappy01
すこーし混ぜたメッセージも、波長が合ったようで何よりでしたheart04

一段落したら、また遊びにいらしてくださいね。
これからも、どうぞよろしくお願いいたしますshine

ゼラルドとフィリシアの組み合わせ、いいですなあ(*´д`*)
このままの関係で、ずっと一緒にいられたらいいのに…って思わず思ってしまうけど、ゼラルドが言うように、ゼラルドがひと時でもフィリシアたちといられたことを、ゼラルドのために喜ぼうと思います。
フィリシアの「・・・いいえ。宝物になったものは~」のセリフも、彼女らしくて、そして思わず考えさせられました。
そして、地味にフルートが可愛らしかったw

やっぱり「遥かな~」好きだなあと、しみじみ思ってしまうお話でした。
素敵な時間を、ありがとうございます~(*´∀`*)

のんさん、
コメントありがとうございます♪

あれこれ色合いの異なるものを読むのが好きなので、とっかえひっかえ組み合わせを変えて、その色合いの違いを楽しんでいます。
ゼラルドとフィリシアの組み合わせも、すこし地味になるけど、好きです。
自分以外にも気に入ってくださる方がいらっしゃるなんて、嬉しくて、幸せですheart

いつも温かいコメントをありがとうございます。
もう少し冷たいコメントでも大丈夫ですよ、と、ときどき心配になります。
のびのびと気晴らしして行ってくださいね。いつでもお待ちしていますcat

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