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夢のような(05)

「セレンさま。今度、もう少し時間のあるときにお会いできたら、ご迷惑でなければ、いろいろお話を聞かせてくださいね」
 セレンが顔をあげると、ミルガレーテは恥ずかしそうに笑って、揺れる瞳をフルートのほうに向けた。フルートを相手にして話し始めると、姫君の言葉はやや打ち解けたものになり、セレンを複雑な気持ちにさせた。
「それでね、フルート。フィリシアのこと、竜王様に取り次いでもらえたわ。お返事を聞いた限りでは、竜王様は、この件について何もご存じないようでした。でも、さらわれたのが私の友人で、しかも人の世からわざわざ迎えが来るなら、心当たりを探して、人の世に戻してくださるって。私、フィルのことが心配で、できるだけ早く駆けつけたかったから、明日行きますと強引に約束を取り付けてしまったけれど、それで良かったかしら?」
「ああ、ありがとう!」
と、フルートは力強く肯定した。ほっとしたように、
「君がいてくれて助かった、ミルガレーテ。その<竜王>という存在も、こちらの話が通じそうで、何よりだ」
「竜王様は、お年を召していらっしゃるけれど、他者の話に耳を傾けてくださる方よ。何十年か前に、別の場所で少しだけお会いしたことがあるの」
 ミルガレーテの声に聞き惚れていたセレンは、「何十年か前」という言葉を聞いて違和感を覚えたが、すぐに腑に落ちた。ああそうか、この姫君は、人よりも精霊に近いのだ。レティカ王国が滅んだのはもうずっと昔のこと。その最後の王女なら、すでに長い時間を生きている。だが、精霊に近いから、それだけの年月を経ても、こんなにも瑞々しく、可憐で、真白に清らかな空気に包まれているのだ。
 フルートとミルガレーテは、さらに話し合って、明日の段取りを決めた。人間がぞろぞろ行って心証を悪くするよりも、フルートとミルガレーテが二人で行って、必ずフィリシアを取り戻して来よう、と確認をした。打ち合わせがおひらきになると、ミルガレーテは「おやすみなさい」を言って姿を消し、フルートはゼラルドのところに状況を説明しに行き、セレンはひとり、自分の部屋に戻って、さらわれたフィリシアのことと、会ったばかりのミルガレーテのことを、ぼんやりと考えた。
 フィリシアがどうか無事でありますように、という祈りは、もちろん強かった。ともに旅して数か月、今ではフィリシアは若者たちにとって、護衛対象であるより前に、大切な仲間だった。ほがらかで、やさしくて、前向きで、屈託がない。ゼラルドが占ったところでは、彼女は元気にしているそうだったが、どのような状況に置かれているかはわからなかった。彼女が今いる場所が、人の世界ではないため、ゼラルドの力が届かないのだ。
 そして、人の世界ではないと言えば、ミルガレーテ姫のこと。妖精や精霊に近しい、不思議な姫君。その輝くばかりに美しい容姿も、魅了されてしまう心地よい声も、くっきりとセレンの心に焼き付いて離れないが、なんだかどうしても、現実にあったことという気がしない。明日になれば、夢を見たのだと分かるのではないか。

あと1回だと思います。

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