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夢のような(06)

 翌朝、フルートは正装に着替え、馬車で出かけて行った。だが、幻のように美しい姫君の姿は、今朝は、ちらとも見当たらなかった。昨夜の出来事のどこまでが現実で、どこからが夢だったのか、判然としない。
 昼を過ぎた頃から、今にも馬車が帰って来るのではないかと気になったセレンは、時々外に出て様子を見ており、甲斐あって、夕方、馬車が帰って来たとき、ちょうど居合わせることができた。セレンが見ている前で、馬車からはフルートとフィリシアが降りて来たが、ミルガレーテ姫の姿はなかった。やはり、あの姫君のことは夢だったのだろう。
 セレンはフィリシアに、親しみをこめて「おかえり」を言った。青い髪の姫君は、鮮やかな青いドレスを着ており、たしかに元気そうで、力づくでさらわれていて助け出されたと言うよりも、むしろ、宴に出かけたのだが迎えが来たので帰って来ました、というふうに見えた。首には、セレンが見たことのない、銀色の細い紐がかかっていた。ペンダントの類だと思うが、誰にもらったのだろう。
 謎はすぐに解けた。あとからフルートが話してくれたところによれば、<竜王>の息子にあたる存在が、フィリシアを軟禁して求婚していたのだった。どういうわけか彼に敵視された、とフルートは言ったが、どういうわけもこういうわけもなく、当たり前だ。
 セレンは、あえてフィリシアにペンダントのことを尋ねはしなかった。水底より地上を選び、無事に戻って来てくれたのだから、今はそれで十分だ。
 そうして、1日が終わる頃、セレンはミルガレーテ姫のことを忘れることにしたのだった。夢で出会った美姫に心奪われるのは愚かなこと。それでも魅了されるなら、夢の中でだけ魅了されていよう。夢に見た姫君と現実の女性とを比べるようなことがあってはならず、だって生身の女性に気の毒だし、それ以上に、ミルガレーテ姫に対して失礼だから!
 けれども、次の日、セレンが街に出て、可愛らしい女の子とデートしたあと夕方に戻り、サロンに顔を出したら、そこにいたのだった。フィリシアと一緒に、ミルガレーテ姫が。
 目が合った。そして・・・金色の姫君は、小さく「あ」と言って、姿を消してしまった。
 セレンは茫然と立ち尽くした。フィリシアが慌てたように取りなした。
「ごめんなさい、セレン。レッティはとても人見知りするの。ああ見えて、あなたと話すのを、とても楽しみにしているのよ。ただ、会うには心の準備がいるみたいで・・・、慣れるまで、気長に待ってあげてくれる?」
「・・・うん」
 セレンは、やっと、それだけ言った。フィリシアは迷うように続けた。
「それとね、セレン。その・・・、レッティはとても純粋で傷つきやすくて、だから、どうか・・・どうか、軽い気持ちで手を出したりは、しないでほしいの。お願い」
「・・・うん」
 フィリシアは、ほっとしたようだった。
「よかった。そうしたら、もう一度呼んでみるから――」
「いや、また今度、時間のあるときに」
 セレンは言って、ごまかしてサロンを出た。泣いてしまいそうだった。
 また会えた。また会えた。手の届かないひとだけれど。
 幸せな夢だ。

(完)

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コメント

はじめまして。
完、だけど、これはまた続くのですよね?
続きが読みたいなぁ。
ジツハ、登場人物がカタカナの名前の方々だと
読むのが苦手という、読書癖があったのですが、
月路さんのお話はお部屋廻りのときに読むようになって
すこーしだけ、読書癖が直ってきたような・・・
過去の物語はこれからゆっくり読みマースconfident

おはようございます。はじめてのコメントです。
「竜王の館」を読んでから「夢のような」を読みました。
各登場人物の心の中が透けて見えるような描写がとてもいいですね。
綺麗で純粋で弱いところもあるけど、でも強い気持ちを持っていて。。。
メルヘンはあまり読んだことのないジャンルでしたが楽しく読ませてもらっています。
「夢のような」はエンディングの「また会えた。また会えた。手の届かない人だけれど。幸せな夢だ。」この文章に胸がキュンとしました。素敵な物語をありがとうm(_ _)m
続編を希望します。

kayokoさん、
コメントありがとうございます♪ ようこそ、いらっしゃいませ!

目次の並び順と、物語の順番は、実はバラバラです…sweat02
今回のお話の続きにあたりそうなものも、すでに発表済みのお話の中にあり、
「髪を編む」(日常のひとコマ)や、「風に揺れる花の中で」(夢の中の話)あたりは、
セレン&ミルガレーテのお話です。ご興味があれば眺めてみてくださいねconfidentheart04

その他、「この人の子供時代は?」とか、「こういうペアのお話は?」とか、
お探し物の際にはコメントにお書きいただければ、駆けつけてご案内いたします♪
また気の向いたときにお立ち寄りいただけるのを、楽しみにお待ちしておりますclover

ミランダさん、
わあっ、コメントをありがとうございます!

キュンとしていただけたなんて、嬉しいですheart
そしたら、たぶん、「風に揺れる花の中で」も、お気に召していただけるかも。
「夢のような」の続きに位置する、セレンとミルガレーテの、夢の中でのお話です。
あとは、すごく短い「髪を編む」も、この二人のお話で、セレンを好きとおっしゃってくださる読者様に、なぜか評判がいいお話です。

「竜王の館」も読んでいただいたのですね。長いのに、どうもありがとうございます。
すっきりしたメルヘンと、きめ細かなファンタジーの、中間あたりを行ったり来たりしています。
「王子様」「お姫様」がいっぱい活躍するおとぎ話を、楽しんでいただけたら幸いです。
またいつでもお立ち寄りくださいね。お待ちしていますclover

お邪魔してます♪
大のお気に入りの二人の話(そういうわけでもないか…竜王の館の地上サイドの話ですものね(^_^;))とあって、最初から鼻息荒くして読ませていただいてましたが、最後の最後で、胸をずきゅんとセレンにやられてしまいました~(*´Д`*)
「・・・うん」としか答えない(答えられない)ところが、特に好き。感情がすごく出てて、こっちまで「・・・うん」ってなっちゃいました。←意味不明w
「泣いてしまいそうだった。」からの「手が届かないひとだけれど。幸せな夢だ。」までのところ、本っっ当に最高です。完全ノックアウトされました。
これはもう、引き続き、『風に揺れる花の中で』を読むしかない!
いつも素敵な気持ちにさせていただいて、ありがとうございます!!

のんさん、
コメントありがとうございます♪ いらっしゃいませ~☆

「竜王の館」の地上サイドの話、と聞いて、ぴんと来る人は少ないだろうと思いながら、わざと予告には、セレンとミルガレーテの初対面の話とは書きませんでした。
セレンの持っている、ロマンチストな面と、現実主義な面と、だからこそミルガレーテを想いつつ別の・・・みたいなところsweat02が、このお話で、読んでいるかたの腑に落ちてくれたらいいな、と思いながら書きました。
このお話から「風に揺れる~」に流れてもいいし、上級者(?)の方に限っては、問題作(?)の「花嫁候補」に流れてもいいかと思います。
いつもありがとうございますheart04

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