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2015年2月

予告:人さらいと馬

タイトルは変わるかもしれません。
ルークが主人公のお話です。
全2回か3回になると思います。
よろしくお願いいたします!

それとは何の関係もありませんが、
毎年、このくらいの季節はデコポンが好きです。
ほとんど種がなくて、薄皮ごと食べられて、美味しい。
毎週のように生協で買います。今日も食べるよ~。

進捗状況報告(2015/02/25)

さて、次回のお話についてですが。
ここのところ、意外と、フルート(ルーク)とフィリシア(フィア)の組み合わせを書いていないことに気がつきました。最後に書いたのは「風の贈りもの」。
そして、それを言うなら、フルートとゼラルドの組み合わせも、もっと書いてないことに気がつきました。最後に書いたのは、ええと、「火の鳥」の後半がそれっぽい感じ?
あと、別の見方をすると、番外編も最近少ない、ので、たまには書いてもいいなあ。

というようなところを、うろうろしています。
フルートの話になりそうな気がする…かな。
誰かと組むなら、フィリシアかゼラルドだけど、フルート単独のお話になる…かも。
…彼と、馬の話になりそうな気がしてきました。

次回、予告を出せたらいいなと思いますが、手間取ったら、もっかいくらい「ひとやすみ」して、本の話をするかもしれません。
どうぞよろしくお願いいたします!

ひとやすみ:イクスピアリで謎解き(2015年)♪

週末は、ディズニーリゾート近くのショッピングモール「イクスピアリ」に、謎解きに行ってきました。
いわゆる「謎解きイベント」には、「パズル解読系」と「推理ドラマ系」があるけど、今回は「推理」のほうに主軸を置いている、イーピン企画さんのイベントでした。
イクスピアリでの推理イベントは、3回目(3年目)の開催とのこと。前2回は参加してないけど、イーピン企画さんならハズレはないだろうと、安心して友達と参加しました。

今回のイベントのタイトルは「イクスピアリ城の謎~ねらわれた革命前夜~」
王党派と革命派が争うさなか、事件発生。犯人は誰? そのトリックは? 証拠はどこに?

イーピン企画さんのイベントではおなじみの、「事件編のドラマを鑑賞」→「ヒントを集めて謎を解いて回答用紙を提出」→「解決編のドラマを鑑賞」という流れです。
ユーモアを交えた劇を見ながら、暗い客席で、がんばってメモを取る私たち…。
自由行動時間になると、早足でヒントを集め、ベンチで考える私たち…。
ヒントを全部集めてからの推理が勝負です。
「情報、これで全部だよね…」と、困惑の声があちこちから聞こえて来るのは、いつもどおり。
私たちが苦戦するのも、いつもどおり。
あっというまに「逮捕状」(回答用紙)の提出時間になっちゃうのも、いつもどおり…。

「解決編」を鑑賞して、よし、犯人は当たったよ!
証拠は半分くらいしか書けなかったな。犯行手順は、色々まちがえちゃった。
解決編を見ると、「どうして気づかなかったんだろう?」って、毎回思うんだよね。細かいところまで考えて、丁寧に作られています。
成績優秀者には、入賞できず。
友達は、採点方法を聞きながら自己採点したら入賞ラインだったようなんだけど、たぶん書き方がちょっと足りなかったのかな、やっぱり入賞できず。でも惜しかったはず。
イベント終了後は、二人で、「でもまあ、犯人当たったから、良かったよね」と。
…次回も頑張りますっ!

ちなみにお値段は、3時間のイベントで、4,500円でした。
若干ひるむけど、3時間の家庭教師を頼むよりは安いし。
「なんとなく贅沢する気がしつつ、えいと参加してしまう、絶妙な値段」だと思います。
イクスピアリで使えるお得なチケットみたいなの(ウェルカムカードというらしい)も付いて来たよ。私たちは使わなかったけど。

* * *

おまけ~。
昼の部に参加するにあたって、早く行ってブランチを食べました。
10時少し前くらいに、ハワイアンパンケーキのお店「カフェ・カイラ」に行ったら、待ち時間30分くらいで、美味しいパンケーキにありつけました。
注文から、テーブルに出て来るまでは、10分ちょっとくらいだったかな。(コーヒーはもっと早く来た。)
食べたのは、これ! オリジナルパンケーキ、トッピング全部乗せ! うふふ~。

Photo
標準はパンケーキ3枚なので、1枚追加したうえで、友達と半分こしました。
それぞれコーヒーも頼んで、1人あたり2千円くらいになりました。
パンケーキ、ふわっとしていて、美味しかったでーすheart

ひとやすみ:よそのおうちの創作物語

このブログでは、ゆえあって、現在、相互リンクというものを採用していません。
ご縁あって、うちにリンクを張ってくださっている他サイト様はいくつかあるのですが、こちらからはリンクを張り返しておらず、少し心苦しく思って…いたのですが。
そうか、常設リンクを張れなくても、記事の中でご紹介することはできるもんね!

というわけで、今日は、うちにリンクしてくださっている創作サイト様と、そのサイトで私が面白いと思っているお話をご紹介させていただきます
読み物がお好きな方は、ぜひ!ぜひ!試しに読みに行ってみてくださいhappy01book

shine 脳内ヘブンshine
よくコメントをくださる、のんさんのブログです。物語も雑談も載ります。
最近始まった「~ロドリー村より~」という短編シリーズが、とーっても素敵!
牧歌的な村ロドリーを舞台に、少年少女たちの日常が、みずみずしく描かれています。
輝きがあり、愛情にあふれ、描写が際立っているので、ささやかなお話でも引き込まれます。
シリーズの読み始めには、「沼の貴婦人」がおすすめ。仲良し女の子4人組のお話。
(なお、のんさんは他にもサイトをお持ちで、何本も連載があるので、興味が湧いたら「脳内ヘブン」経由で訪ねることができます。ただし、そちらは現在、更新お休み中になっています。)

shine Airi's weapon kitchenshine
最近お見えになっている、柚希ひろさんのブログです。長編の連載と、雑談があります。
長編は、「ノアのはこぶね」というお話。
剣の得意な魔法使いの男の子と、魔法の得意な剣士の女の子が、一緒に旅をする物語です。
テンポが良くて、躍動感があって、あったかいお話です。独特のユーモアセンスも素敵だと思います。
長編だからと敬遠せずに、試しに読んでみてくださいな。
サイドバーで10話ずつ区切られているので、そこをクリックして読むと、読みやすいです。

shine ALTERNATIVE STREAMshine
巡回させていただいている、機島永介さんのブログです。物語も、お絵描きも、雑談もあります。
面白い短編が色々あって、どれをご紹介しようか迷いますが、
SFチックな「星屑スプラリミナル」とか。
ファンタジーの「ホームレスなおっさんとうさぎ使いの冒険」とか。
時代劇ふうコメディ「住職と童女がわーってするやつ」とか。好きです!
ご本人のイチオシは、全力青春ストーリー「約束の夏」。
疾走感のあるお話が多く、シュールな感性も魅力的です。

のんさん、ひろさん、機島さん、いつもありがとうございますheart04

***

以上、お三方のサイトを紹介させていただきました。
お読みになってみて、「本当だ、このお話いいね!」と思われたら、よろしければ訪問先にコメントを残していただけたら、サイト主様も喜ばれると思います☆
(もちろん、読み逃げしてもOKですbleah
他サイトさんに嵌りすぎて、うちのブログをお見捨てになりませんよう、お願い申し上げます!

ひとやすみ:猫モチーフのチョコとマシュマロ

たまに、おさらいしておくと、お話とお話の間には平均で5回くらい、雑談記事が入ります。
「次は何を書こうかな~」と、作者が考えをまとめるために頂いている、遊びのお時間です。
物語に関係のある雑談は「こぼれ話」として。関係ない雑談は「ひとやすみ」として、お届けします。
「雑談はいらないのに」とおっしゃる読者の方も、きっといらっしゃるに違いないのですが。
きわめてマイペースにしか創作活動を進められない作者ですので。
仕方がないと、あきらめてくださいませ(*v.v)

さて、今日は「ひとやすみ」。すっごく可愛いお菓子を発見しちゃいました!
大手通販フェリシモさんで販売されている、「ねこチョコ」と「ニャシュマロ」!
(誓って、フェリシモの回し者ではありません。)

まず、「ねこチョコ」は、猫の絵がプリントされたベルギーチョコレートです。
3月3日までに予約購入すると、ホワイトデーに間に合うように届けてもらえます。
下の動画、再生しなくても「ねこチョコ」を見ていただければいいの。キュートでしょう?lovely
ただ、1箱6粒で、お値段は2,000円。買うのには勇気が要ります。でも可愛い。でも高い。
レモン風味のティラミス味、というのも、ちょっとためらっちゃうな。オーソドックスな味でいいのに。

そして、次に「ニャシュマロ」。
写真は、リンク先をご参照ください(別タブで開きます)→ 猫のマシュマロ「ニャシュマロ」誕生!
猫の顔をデザインした、大きめのマシュマロです。チョコクリーム入り。めちゃめちゃ可愛いlovely
現在は、5月下旬到着分を予約販売中とのことで、6個セットと12個セットがあります。
ただ、これも、いいお値段なんですよね…。1,800円と、2,700円。でも可愛い。でも高い。

もし身近に、猫好きな人がいて、プレゼントをあげたかったら、買っちゃうけどねsign03
とくに「ニャシュマロ」だねsign03
プレゼントして、一緒に開けて、きゃーきゃー言いながら、お裾分けにあずかりたい
deliciousheart04

自分で注文して実際に食べてから、自分で撮った写真とともにブログでご紹介するべきなのだろうな、とも思ったのですが。
今回は、それをしていると、そもそも販売期間が終了してしまうのでcoldsweats01 情報提供と割り切りました。
ご購入は自己責任でお願いしますね~。私は「ニャシュマロ」が食べたいです~catheart

ひとやすみ:トーナメント結果のご報告

先日、「風に揺れる花の中で(トーナメント参加用)」を出品した、ブログ村の「自作小説 6ブログトーナメント」ですが、今回は13作品で競った結果、1回戦で負けてしまいました。残念~。

そして、悲しかったのは、出品~1回戦終了までの間に、ブログ村からのOUT数が2件しかなかったこと。つまり、
書く人が13人エントリーしているトーナメントのページから、読みに来てくれた人は2人だけだった…。
念のため、ブログのアクセス記録を開いて、ふだんは見ない「参照元URL」という所を確認してみましたが、やっぱり2件でした。

「タイトルと、書き出し100字」が抒情的過ぎて、避けられちゃったのかなあ。
けど、せめて1000字くらいは、読んでみてほしかったなあ。
自分が「短編は全文読む」派なので、あまり読みに来てもらえなかったのは、本当に残念でした。

ともあれ、以上、ご報告でした~。

こぼれ話:みんなの初対面

登場人物同士が初めて出会ったときの物語を、けっこう色々書いて来たので、時系列順にまとめてみようと思いました。
リンク先は別窓(別タブ)でひらきます。

☆ フルート&セレン → 夏の訪れ
 フルート10才、セレン11才。リーデベルク国の、王城近くの森の中、泉のほとりで。

☆ フィリシア&ミルガレーテ → 光り姫
 フィリシア12才。クルシュタイン国の「静養の城」近く、湖のそばの洞窟の前。

☆ フルート、セレン、フィリシア → まだ書いてない・・・。
 冒険の旅が始まる前年の初夏、クルシュタイン国の王城、及び城下町で。

☆ ゼラルド&ミルガレーテ → 逃避行
 冒険の旅が始まる前年の秋、ローレイン国の西にある「白い砂漠」で。

☆ フルート&ミルガレーテ → 訪問者
 冒険の旅が始まる前年の秋、リーデベルク国の王城、フルートの自室で。

☆ フルート、セレン、ゼラルド → 訪問者
 冒険の旅が始まる前年の秋、リーデベルク国の、王城近くの森の中、及びディア家邸宅で。

☆ フィリシア&ゼラルド → まだ書いてない・・・けど、今年は書きたい。
 冒険の旅が始まったとき、クルシュタインとリーデベルクの国境近くで。

☆ セレン&ミルガレーテ → 夢のような
 冒険に出てから迎えた初夏、旅先の大きな街にあった迎賓館のサロンで。

と、このような順番で出会っています。
ご興味があったり、見落とされていたりするお話があったら、リンク先を参照してみてくださいねnote
(初期に書いた、つたないお話もありますが、今はご容赦くださいませsweat01

風に揺れる花の中で(トーナメント参加用)

どこまでも、どこまでも、見渡す限りの野原を、たおやかな白い花が埋めて、風にそよいでいた。やさしく青く晴れた空には、ちぎれた真綿に似た雲が、ゆっくりと流れている。
夢を見ながら夢だと気づくことは珍しかったが、あまりにも曇りなく心に沁みる光景だったので、彼は意識の片隅で、ああこれは夢なのだ、と理解していた。
野原の中にひとり立ち、さらさらと長い金色の髪をやわらかな風に任せて、彼は、これほど優美な夢の中になら、愛しいひとが訪れてくれないだろうか、と思った。

――夢の中で願うことは、夢の中で叶うことがある――。

少し離れた前方で、空気から溶け出すように、ふわりと。
そのひとは姿を現し、花の咲く野に降り立った。
ゆるやかに波を打つ、金を紡いだような髪。のぞく横顔の、雪のように白い肌。
うっすらと光り輝いているように見える姫君は、薄桃色の布を幾重にも重ねたような、ふんわりした長袖のドレスを着ていた。
いつものように、清らで、可憐で、瑞々しく麗しいその姿を。
いつものように、彼は、胸の奥深くに、大切に大切に刻み込んだ。

離れて見つめているだけで、幸せな気持ちに満たされた。だが、ミルガレーテ姫はあたりを見回し、セレンに気づくと、驚いたように一歩あとずさった。
思わず、セレンは呼びかけていた。できるだけ相手を怯えさせないようにと、願いながら。
「どうか、行かないでください」
「は、はい」
ためらいがちに応じて、姫君は心細そうに、胸の前で両手を組み合わせ、何かを待った。
――自分の言葉の続きを待っているのだ。と、セレンが気づくまで、少しかかった。そうか、引き止めたからには、話があると思われて当然だ。だが、彼はただ、姫君の姿をもっと眺めていたいだけ。いったい何を話したら良いのだろう。
常日頃、すらすらと口にできる社交辞令の挨拶が、こんなときには、ひとかけらも出て来ない。何か言わなくては、と焦る心だけが、空回り、空回り・・・。
結局、先に口を開いたのは、姫君のほうだった。おずおずと。
「あの・・・セレン?」
「はい」
「わたくしが、会いたいと願ったから、わたくしの夢の中においでくださったの・・・?」
「・・・いいえ。ぼくが会いたいと願ったから、あなたがいらしてくださったのでしょう」
「でも、ここは。この野原は」
姫君は、野原を見渡してから、セレンに視線を戻し、すこし緊張をほどいて、微笑んだ。
「わたくしが、いつも夢の中で訪れる場所です。だから、これは、わたくしの夢です」

否、これは自分の夢だ。
と、セレンは知っていたが、姫君の明らかに安堵した様子を見れば、異議など唱えよう筈もなく。自分ひとりに向けられた微笑みに、心はふわふわと舞い上がった。
もちろん、夢のからくりには気がついていた。つまり、夢の中だから、「こうであればいい」と願う気持ちが、見たいものを見せ、聞きたいものを聞かせているのだ。
そう、夢だとわかっている。でも、だからこそ。このひとときだけ、願いの叶う幸せに溺れよう。
ミルガレーテは、ほんのりと頬を上気させ、白い花の中をゆっくりと近づいて来た。手を伸ばしてもわずかに届かないだろうあたりで、足を止め、はにかみながら言った。
「私ね。セレンと、こうしてお話、してみたかったの」
鈴を振るような心地よい声に、セレンはうっとりと聞き惚れる。しかも、「お話、してみたかった」とは! 夢ではあっても、身に余る光栄だ。姫君は、さらに続けた。
「夢の中でお話できたから、夢から覚めても、勇気を出して、お話できるかしら」
「できますよ、きっと。ぼくも、あなたとゆっくり話せたら嬉しいと思っています」
セレンは優しく請け合った。彼自身が、この夢を見たことで励まされる気がした。ひとり静かに想っていることを、許されたような気がした。
しかし、おそらくは、あまりにも幸せな気持ちに満たされた反動で、彼は不意に、怖くなった。永遠を生きる姫君と、いつかは道を分かつときが来るのだと、鉛色の予感がささやいた。
「ミルガレーテ。臆病なぼくのために、約束してくれませんか」
「約束?」
「いつかあなたが、ぼくの前から姿を消す日が来たら。最後に立ち去るときに、そのことを教えてください。愚かなぼくが、あなたの訪れを待ち焦がれて狂うことのないように」
姫君は、びっくりしたような顔をして、
「私より先に、セレン、あなたのほうが、私を置いて、行ってしまうでしょう?」
「永遠を生きることはできなくても、この魂はずっと、あなたのものです」
静かに言い切ったセレンを、姫君は、じっと見つめた。それから、うつむいて言った。
「・・・わかりました。約束します」
ふと、セレンは、姫君がこのまま消えてしまうのではないかと思った。

――夢の中で恐れたことは、夢の中で実現する――。

気がつけば、姫君は、来た時と同じように、空気に溶けるようにして消え去っていた。見えるのは、風にそよぐ白い花ばかり・・・。
どこまでも花の咲く野にひとり残されると、途方もなく大きな喪失感が訪れた。覚えず、涙がこぼれた。

――頬を伝う涙の感触に、セレンは目覚めた。
潤む視界に、陽光の差し初める明るさを感じた。
夢で見た、どこまでも続く白い花は、くっきりと胸に焼き付いている。が、現実には、ここは、街道近くの小さな林の中だった。
木の根元に座りこみ、固い木にもたれて眠ったせいで、体がこわばっている。珍しく一人での野宿だったので、誰にも涙を見られなかったのが、せめてもの慰めだった。
幸せな夢を見たはずなのに、この喪失感は何なのだろう・・・。
苦笑しながら身じろぎしたとき、左肩の違和感に気づいた。なにげなく目をやって、セレンは目をみはり、しばし呼吸すら忘れて固まってしまった。
セレンの左の肩の下に、そっと頭をもたせかけて、ミルガレーテがすやすやと眠っていた。夢の中と同じように、薄桃色の長袖のドレスを着た姿だった。
動転したセレンの頭の中を、様々な思いがぐるぐると駆け巡る。
ここはまだ夢の中なのか? いや、そんなはずは。毛布をかけたほうが。どうして夢と同じ服を。というより、無防備に過ぎるだろう!
そう簡単に男を信用してはいけない。ことに自分のような。いや、自分だから良かったけれど。と、そこまで考えて、気が付いた。
そのとおり、セレンは、信用されたのだった。
半ば呆然としているセレンの目の前で、ミルガレーテは身動きして、目を覚まそうとしている。どうしよう、セレンはまだ身支度を整えていない、それでも、ああ、どうかどうか、この金色の小鳥が、目を覚ましても逃げないでいてくれますように。
祈るような思いで見守っていると、ミルガレーテは、金色の長い睫毛をあげて、何度かまばたきをし、セレンの腕から離れた。辺りを見回してから、セレンのほうを見上げ、目が合って、驚いたように、ひゅっと息をのんだ。
悲鳴をあげられてしまうのだろうか。誓って、何も不埒なことはしていないのに・・・?
セレンが固まっていると、幸い、ミルガレーテはゆっくりとまばたきを繰り返しながら、少しずつ落ち着いていった。時間はかかったが、怯えた様子は消えて、姫君は目を伏せ、恥ずかしそうに口を開いた。
「セレン。あなたが、会いに来てくださる夢を見ました」
セレンはどきどきした。まさか、同じ夢を見たなどということがあるだろうか? どうせ夢だからと、胸のうちを告白してしまったような気がするのだが・・・。
「約束を、しました。二度と会えなくなる日が来たら、それをお伝えすると」
間違いなく同じ夢だ。そして姫君は、それを姫君ひとりが見たのだと思っている。
やっとのことで、セレンは気持ちを立て直し、にっこり笑った。
「ありがとう、ミルガレーテ。でも、ぼくはまだ、あなたと共に日々を過ごしていたいな」
ミルガレーテは、視線を上げて、つられたように微笑んだ。
「私も、セレンといろいろお話をしてみたい・・・」
「では、今日は、人が通るところまで、ぼくと一緒に行きませんか」
「はい。喜んで」

いつか、約束が果たされる日は訪れるのだろう。だが、今ではない。
白い花咲く野で交わされた、それは、別れの約束。

(完)

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独立して読めそうな作品を選び、元は連載記事だったものを1つにまとめてみました。

約3,300字。

作者より:「夢のような」

「竜王の館」で書かなかったことを拾うだけだから、と思っていましたが、予想よりも長くなりました。
拾うだけではあっても、もう少し刈り込んだほうが良かったのかもしれません。
というか、これでも多少は削りながら書いたのですけれども…sweat02

そして、このあたりの流れは頭に入っているからと、自由に書きつつ、途中で「竜王の館」を見直してみたら、若干の矛盾が発生しており、あわててあっちを修正、というハプニングもありました…sweat02

そんなこんなで、読みづらかったら、ごめんなさい。
ただ、「竜王の館」の他、「ゆがんだ城」(そのうちに読みやすく書き改めます)や、「夢みたもの」ともつながっているお話なので、せめて、パズルのピースを嵌めるのがお好きな方には、「あれとも、これとも、つながる!」と、喜んでもらえていたらいいなあ、と思います。

次回の更新は、ブログ村のトーナメント参加用の投稿をはさんで、こぼれ話になります。
トーナメント用は、流れ的にちょうど良いので、今回のお話の数ヶ月後に発生する「風に揺れる花の中で」を、1記事にまとめて、明晩に。(〆切ぎりぎり。)
こぼれ話のほうは、登場人物たちの初対面のお話を、一度、時系列順に整理してみようと思っています。

→ 目次に戻る

夢のような(06)

 翌朝、フルートは正装に着替え、馬車で出かけて行った。だが、幻のように美しい姫君の姿は、今朝は、ちらとも見当たらなかった。昨夜の出来事のどこまでが現実で、どこからが夢だったのか、判然としない。
 昼を過ぎた頃から、今にも馬車が帰って来るのではないかと気になったセレンは、時々外に出て様子を見ており、甲斐あって、夕方、馬車が帰って来たとき、ちょうど居合わせることができた。セレンが見ている前で、馬車からはフルートとフィリシアが降りて来たが、ミルガレーテ姫の姿はなかった。やはり、あの姫君のことは夢だったのだろう。
 セレンはフィリシアに、親しみをこめて「おかえり」を言った。青い髪の姫君は、鮮やかな青いドレスを着ており、たしかに元気そうで、力づくでさらわれていて助け出されたと言うよりも、むしろ、宴に出かけたのだが迎えが来たので帰って来ました、というふうに見えた。首には、セレンが見たことのない、銀色の細い紐がかかっていた。ペンダントの類だと思うが、誰にもらったのだろう。
 謎はすぐに解けた。あとからフルートが話してくれたところによれば、<竜王>の息子にあたる存在が、フィリシアを軟禁して求婚していたのだった。どういうわけか彼に敵視された、とフルートは言ったが、どういうわけもこういうわけもなく、当たり前だ。
 セレンは、あえてフィリシアにペンダントのことを尋ねはしなかった。水底より地上を選び、無事に戻って来てくれたのだから、今はそれで十分だ。
 そうして、1日が終わる頃、セレンはミルガレーテ姫のことを忘れることにしたのだった。夢で出会った美姫に心奪われるのは愚かなこと。それでも魅了されるなら、夢の中でだけ魅了されていよう。夢に見た姫君と現実の女性とを比べるようなことがあってはならず、だって生身の女性に気の毒だし、それ以上に、ミルガレーテ姫に対して失礼だから!
 けれども、次の日、セレンが街に出て、可愛らしい女の子とデートしたあと夕方に戻り、サロンに顔を出したら、そこにいたのだった。フィリシアと一緒に、ミルガレーテ姫が。
 目が合った。そして・・・金色の姫君は、小さく「あ」と言って、姿を消してしまった。
 セレンは茫然と立ち尽くした。フィリシアが慌てたように取りなした。
「ごめんなさい、セレン。レッティはとても人見知りするの。ああ見えて、あなたと話すのを、とても楽しみにしているのよ。ただ、会うには心の準備がいるみたいで・・・、慣れるまで、気長に待ってあげてくれる?」
「・・・うん」
 セレンは、やっと、それだけ言った。フィリシアは迷うように続けた。
「それとね、セレン。その・・・、レッティはとても純粋で傷つきやすくて、だから、どうか・・・どうか、軽い気持ちで手を出したりは、しないでほしいの。お願い」
「・・・うん」
 フィリシアは、ほっとしたようだった。
「よかった。そうしたら、もう一度呼んでみるから――」
「いや、また今度、時間のあるときに」
 セレンは言って、ごまかしてサロンを出た。泣いてしまいそうだった。
 また会えた。また会えた。手の届かないひとだけれど。
 幸せな夢だ。

(完)

夢のような(05)

「セレンさま。今度、もう少し時間のあるときにお会いできたら、ご迷惑でなければ、いろいろお話を聞かせてくださいね」
 セレンが顔をあげると、ミルガレーテは恥ずかしそうに笑って、揺れる瞳をフルートのほうに向けた。フルートを相手にして話し始めると、姫君の言葉はやや打ち解けたものになり、セレンを複雑な気持ちにさせた。
「それでね、フルート。フィリシアのこと、竜王様に取り次いでもらえたわ。お返事を聞いた限りでは、竜王様は、この件について何もご存じないようでした。でも、さらわれたのが私の友人で、しかも人の世からわざわざ迎えが来るなら、心当たりを探して、人の世に戻してくださるって。私、フィルのことが心配で、できるだけ早く駆けつけたかったから、明日行きますと強引に約束を取り付けてしまったけれど、それで良かったかしら?」
「ああ、ありがとう!」
と、フルートは力強く肯定した。ほっとしたように、
「君がいてくれて助かった、ミルガレーテ。その<竜王>という存在も、こちらの話が通じそうで、何よりだ」
「竜王様は、お年を召していらっしゃるけれど、他者の話に耳を傾けてくださる方よ。何十年か前に、別の場所で少しだけお会いしたことがあるの」
 ミルガレーテの声に聞き惚れていたセレンは、「何十年か前」という言葉を聞いて違和感を覚えたが、すぐに腑に落ちた。ああそうか、この姫君は、人よりも精霊に近いのだ。レティカ王国が滅んだのはもうずっと昔のこと。その最後の王女なら、すでに長い時間を生きている。だが、精霊に近いから、それだけの年月を経ても、こんなにも瑞々しく、可憐で、真白に清らかな空気に包まれているのだ。
 フルートとミルガレーテは、さらに話し合って、明日の段取りを決めた。人間がぞろぞろ行って心証を悪くするよりも、フルートとミルガレーテが二人で行って、必ずフィリシアを取り戻して来よう、と確認をした。打ち合わせがおひらきになると、ミルガレーテは「おやすみなさい」を言って姿を消し、フルートはゼラルドのところに状況を説明しに行き、セレンはひとり、自分の部屋に戻って、さらわれたフィリシアのことと、会ったばかりのミルガレーテのことを、ぼんやりと考えた。
 フィリシアがどうか無事でありますように、という祈りは、もちろん強かった。ともに旅して数か月、今ではフィリシアは若者たちにとって、護衛対象であるより前に、大切な仲間だった。ほがらかで、やさしくて、前向きで、屈託がない。ゼラルドが占ったところでは、彼女は元気にしているそうだったが、どのような状況に置かれているかはわからなかった。彼女が今いる場所が、人の世界ではないため、ゼラルドの力が届かないのだ。
 そして、人の世界ではないと言えば、ミルガレーテ姫のこと。妖精や精霊に近しい、不思議な姫君。その輝くばかりに美しい容姿も、魅了されてしまう心地よい声も、くっきりとセレンの心に焼き付いて離れないが、なんだかどうしても、現実にあったことという気がしない。明日になれば、夢を見たのだと分かるのではないか。

あと1回だと思います。

夢のような(04)

 セレンは、足を止めて振り返った。フルートは、急いで言った。
「さっき、やっとミルガレーテを呼び出せた。妖精や精霊に近しい姫君だ。水の精霊のつてを辿って、<竜王の沼>に住む<竜王>と連絡を取ってくれることになった。結果は、早ければ今日のうちにも、教えに来てくれる約束だ」
「・・・どうして、ぼくは除け者にされているんだ?」
「君が今まで、彼女の友として選ばれていなかったからだ」
「選ばれる?」
 セレンが聞き返すと、フルートはうなずいた。
「選ぶのは、古代レティカの宝剣だ。君は宝剣と巡りあっているのに、抜けないでいた」
「この剣のことなら、この前」
 セレンが、身に帯びた剣に手をかけると、フルートは「わかっている」と制した。
「ゼラルドから聞いたし、さきほどミルガレーテにも確認できた。もう君に隠す必要はない。次に彼女が来たら、君も会える。ただ――」
と言って、フルートはセレンに釘を刺した。
「いいか、ミルガレーテは、フィリシアの親しい友達だ。君が心惹かれそうな美人だが、くれぐれも妙な気を起こすなよ」
 ふうん? セレンは少し楽しみになったので、機嫌を直し、その姫君と、姫君がもたらす知らせを待つことにした。願わくば、朗報がもたらされますように。
 そうして、さほど待つ必要はなかった。その晩、明かりを入れてもらったサロンでフルートと立ち話をしていると、突然フルートが、誰もいない空間に向かって言ったのだ。
「剣は抜いて置いてあるよ、ミルガレーテ。君を待っているのだから、隠れるのはなしだ」
 セレンがつられて視線を向け、見るともなしに見ていると――
 さらさらと時の砂が流れ、空気から溶け出すようにして、いつのまにか――
 ――薄布を幾重にも重ねた白いドレスの姫君が、柔らかそうな金色の髪に光をまとって、そこに立っていた。姫君は、祈るように胸の前で手を組み合わせ、少しの間うつむいていたが、やがて、そっと顔をあげて、セレンのほうを見た。不思議な煌めきの瞳。なめらかな白い頬に、ぽうっと赤みがさして、姫君ははにかんだように一度まつげを伏せ、もう一度あげて、緊張を見せながらも微笑むと、鈴を振る響きの声で、優しく素直に告げた。
「はじめまして。ミルガレーテと申します」
 ただ、それだけで。息が止まるかと思うほどに胸が震えて、セレンは茫然と姫君を見つめたまま、動けなくなってしまった。いつまでも見ていたい。いつまでも聞いていたい。それだけが望み・・・まさか現実ではあるまい。これは、美しく儚い夢だ。
 もし、フルートが彼の名を呼んでくれなかったら、きっとセレンは我に返ることなく、まばたきもせずに姫君を見つめたまま、姫君を怯えさせてしまっていたことだろう。だが、実際には、友に呼ばれてセレンははっとして、内心うろたえながらも、丁寧に一礼した。
「セレン・レ・ディアと申します。・・・お目にかかれて光栄です、ミルガレーテ姫」

この二人の出会いは、こんな感じでした。

夢のような(03)

 果たして、翌日になると、ゼラルドの言ったとおり、空は徐々に明るくなって雨足を弱め、昼頃、とうとう雨が止んだ。というより、まるで、朝から部屋にこもっていたゼラルドが、何かを為して雨をやませたかのように、セレンには思われた。どことなく疲れた様子で部屋から出て来た黒髪の若者は、しかし、「大丈夫なのか」と思わず尋ねたセレンに冷ややかな一瞥を投げ、何を説明することもなく、フルートと一緒に出かけて行った。
 そして、日の暮れる頃に帰って来た二人は、フィリシアを連れてはいなかった。
「ぼくたちだけでは手が出ない」
と、フルートが苦々しげに言ったのを、セレンは聞きとがめた。
「だけでは、って。他の誰なら、沼の底まで手が届くというんだ?」
「もう何日かすると、月が――」
と、フルートは言いかけたが、一瞬だけゼラルドと視線を交差させたあと、
「――なんでもない」
と言って、のみこんでしまった。
「なんでもない」とは、癇に障る言い様だ。が、ともかく、姫君は無事でいて、救い出すあてがあるらしい。
 それからの数日間、フルートは、その何かを待つことに決めたらしく、フィリシアのことをいったんおいて、最近の異常な天候による作物の被害等について、土地の有力者と話すことで気を紛らわせているようだった。都合で身分を明かし、迎賓館に泊まり替えもした。ただ、外から戻るとゼラルドの部屋に行っては、二人で何か相談しているのだった。
 セレンは、フィリシアが無事で帰って来るように祈っていたが、それとは別に、あまり心穏やかではいられなかった。いちいち気に障るゼラルドが、フルートにとっては「歓迎すべき新しい友人」だ、というのは、知っていたことだが、あまり面白いことではない。
 ある日、ゼラルドの部屋から出て来たフルートは、右手に包帯を巻いていた。たまたま廊下にいたセレンは、それを見て、また自分で切ったのだろうかと呆れたように思いかけてから、すうっと血の気の引く思いがした。では、国を発つときセレンに言ったように、再び「わが命を預ける」と誓ったのだろうか。血を流してまで。でも、今度は誰に?
 フルートが、こちらを見た。その身にまとう空気は数日ぶりに和らいでいるが、なぜ?
「セレン? どうかしたのか?」
 尋ねられて、セレンはただ、フルートの手の包帯だけを見つめて、無言だった。
「この傷か? 気にせずとも、これは自分で切っ――」
「ああ、そう!」
 セレンはくるりと踵を返した。むかむかする。フルートにも自分にも腹が立つ。
 フルートは、やっと気づいたようだった。あわてた声が追って来た。
「違う。これはミルガレーテを呼び出すために」
 それはセレンの聞いたことのない名前。いや、どこかで聞いたことのある名前・・・。
 古い言い伝えに出て来る、古代レティカ王国の最後の姫君の名前・・・?

のびてます。あと1回?2回?

夢のような(02)

 それでも、フルートは客人たちに、仲間の安否を知らせてくれたことの礼を言った。客人たちは肩の荷が下りた様子で、別の宿に泊まると言って引きあげて行った。
 フルートと共に階下に降りていたセレンは、その一部始終を見ており、このあとフルートがどうするかということくらい、もちろん分かっていたが、念のために確認した。
「沼までの道は分かるのか?」
「分かる。フィリシアと別れた場所を覚えている」
「この雨では、道など見えないと思うけれど」
「それでも、行くしかないだろう!」
 怒られた。セレンは落ち着いて申し出た。
「では、ぼくも行く。ゼラルドに話してくるから、少しだけ待っていて」
 フルートがうなずくのを確認して、セレンは急いでゼラルドの部屋に行き、簡単に事情を話した。万一、フィリシアが無事で行き違ったときに備えて、留守番を頼もうとすると、黒髪の若者は、物憂げなまなざしでセレンを見上げた。
「さらわれたとは知らなかったが、フィリシアなら元気にしている。とくに危険はない。むしろ、この雨の中を出かけたら、君たちのほうが危険だろうと思う。雨がやむまで待てないだろうか」
「何を言って・・・そうか、フィリシアの安否を占ったのか。でも、それでフルートを説得できると思うなら、やってみればいいさ」
「そうだね、やってみよう」
 ゼラルドはセレンの脇をすり抜けて、階下に降りた。
 しばらく、フルートとゼラルドは、戸口近くで静かに言い争っていた。ときどき語気を強めるフルートに対して、ゼラルドのほうも一歩も引かない。そこはなかなか感心だ、と、セレンは少し離れた場所で、長い月色の髪を三つ編みにしながら思った。何を話しているのかは雨音に消されて聞こえないが、機嫌の悪いときのフルートに異議を唱えるのは、なかなか度胸がいることだ。
 まもなく、話がついたようで、フルートはセレンのほうをちらりと見て、うなずいた。呼ばれていると気づいたセレンが近づくと、フルートは、機嫌の悪いままの声で言った。
「明日の昼までに雨が止むと、ゼラルドが言う。それが本当なら、そのほうが早く捜索が進むだろう。今日は待機して、雨が止んでも止まなくとも、明日の昼に出る」
「わかった」
 セレンがうなずくと、フルートは続けて、
「捜索には、ゼラルドとぼくが行く。セレンは残ってくれ」
「えっ」
 セレンは耳を疑った。黒髪の若者が、淡々と補足した。
「沼に引き込まれても、フィリシアは生きている。人智を超えた力が働いているのなら、君よりも、ぼくのほうが役に立つだろう」

「竜王の館(後編)(10)」を少し修正しました。

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